取材記者BOOのアラモード

<2018年11月10日>
◆11月から年末にかけてボジョレー・ヌーボー解禁やフランスパンの日、クリスマスとパンを食べる機会が多いシーズンになる。特にフランスパンに代表されるハード系が消費者の購買意欲を活発にする季節であるだろう◆ところが、せっかく盛り上げたパンの消費意欲を和の象徴「正月」がパン気分を打ち消しているように思えてならない◆実際、総務省が出している家計消費状況調査結果でも、12月は3〜5月に次いで4番目の消費量であるのに対し、1月はパンが売れないとされる7・8月よりも少なく年間で最も消費量が落ちる。同じ寒い季節であるにも関わらず12月と1月では極端な消費低迷が示されており、1月の販売促進を具体化することによって年間で安定したパン消費が実現するのではないだろうか◆そこで、正月用パンを手掛けているいくつかの事例を紹介する。干支を模した「干支パン」やおせち料理とコラボした「季節商品」は定番であるが、煮汁入り黒豆甘煮コッペパン、栗きんとんサンドイッチ、鏡餅バーガー、正月用高級食パン、パン・スイーツおせち、外国人でも食べやすい「お節パン」など。正月用パンを作るためのパン教室を開催しているベーカリーやしめなわの飾りパンを販売する店もある◆来年1月は色々なアイデアでパンの消費拡大を実現していただきたい。

<2018年10月10日>
◆弊紙は今月で通巻1800号を迎えた。1950年10月に創業し、1951年1月の創刊以来67年10カ月という長い道のりだった◆創刊号第1面には「日本のパンに欠けるもの」と題して、次の文節が掲載されている(原文を現代漢字に変更)。『パンが主食である限り、科学的に管理された製造工程が機械化された設備の上に現れ常においしいパンが廉価に市場に供給されなくてはならない。製造に科学性のない限り安価にして良質な主食として大衆に満足を与えることはできず、遂には大衆はパンを食べないようになってしまうであろう。即ち、パンを大衆の主食とするためには製造が科学的に合理化されなくてはならないのである』◆主食として確立していることと、様々な技術の発展に伴い、機械化による品質の安定で消費者(大衆)は安価でパンを手に入れることが達成できた。しかし、合理化は今でも生産性向上や付加価値生産性などといわれており、業界の基本的課題は永久に続くもののように感じる◆ベーカーズタイムス社は、再来年に70周年を迎える。100年、150年と時代の変化とともにかたちを変えて愛されて継続する会社でありたいが、中期目標として1700号を通過した2010年6月に2000号の達成を宣言している。今後もパン産業の発展に少しでも貢献したい。

<2018年9月10日>
◆最低賃金時間額が10月以降(都道府県によって発効日が異なる)改定された。平成30年度地域別最低賃金額は全国平均で874円/時間となり、昨年比で26円引き上がった。最も高い東京都が985円/時間、大阪府でも936円/時間、最も低い鹿児島県が761円/時間となった。5年前の平成26年は780円/時間で比率にすると平均12.1%も上昇したことになる◆一方、総務省の報道資料「消費者物価指数」によると、平成26年を100とした場合、総合で101.3%、食料で106.2%になっており、最低賃金額が桁違いに高騰しているこしが判る◆これでは中小企業だけでなく大手企業でも労務費率が上がり経営を圧迫することになり、零細企業に至っては人手不足どころか、雇用が不可能となり廃業に追い込まれかねない◆パン業界の中で、兵庫県学校給食パン・米飯協同組合は、給食用パンの加工賃交渉を簡略化するため数年前から最低賃金額にスライドして上下する方式を県学校給食会との間で申し合わせているが、最低賃金額の急激な上昇にも関わらず、給食費の値上げができない状況下で学校給食会の財源が減少し、値下げ交渉を持ち掛けられないかと危惧している◆当事者であるパン業界が主体となり、この歪な経済環境を少しでも是正する取組ができると良い。

<2018年8月10日>
◆夏休みの最中。小学生の過ごし方でおもしろいアイデアを見つけたので紹介する。スタッフや部下に置き換えると参考になるかも知れない◆一緒に好きなものの食べ歩きをする:共通の好きなものを食べ歩くのは楽しいもの。周辺散策も思い出になり、会話がはずみ、共同意識が芽生え絆をさらに深める。1度は行ってみたいベーカリーに行くなどワクワクできるような提案をする◆BBQを楽しむ:家族も参加することにより一層の連帯感が生まれる。子どもが喜ぶ顔は大人の感激◆仕事体験をして社会を学ぶ:仕事体験ができるテーマパークで、将来なりたいと思っている仕事を体験させることも素敵な思い出になるが、自店で親の仕事を実感することは未来に繋がる。制服を着用させたり、給料を出すことも励みになる。自分も家族(会社)の一員であることを認識させ、家(店舗)のためにできることを継続させることで協調性が養える◆海に行ってサーファーデビュー:海に行くだけでも子どもにとっては最高にテンションがあがるが、一歩進んでサーフィン体験をすることで友達にも自慢できるアグレッシブな夏休みの思い出になる◆大人(経営者)の都合や考えで決めない。発信している希望をキャッチし実現をサポートすることが成長に繋がる。夏休みにそんな機会を作ってみては。

<2018年7月10日>
◆立ち飲み食いでステーキとワインを楽しむスタイルでコストパフォーマンスを追求して勢い良く店舗を拡大しているチェーン店で夕食を摂った◆「レア」が推奨ということで注文すると割によく焼けた肉が提供された。元に戻せないので完食したが、レジで「レアを頼んだがよく焼けていた」と伝えると、レジ担当の若い女性は、満面の笑みで「ありがとうございます」と答えた。文句を言うつもりではないが、少なくとも礼を言った訳ではない◆店舗拡大のスピードに社員教育が追いついていないのかも知れない。どんな商売でも自店の基本的なサービスは最低把握して客とコミュニケーションを図らなければならないと思った◆テレビで観たことだが、今年後半には人にICチップを埋め込み、CVS等で買いたい商品に近づけるだけで所有するスマートフォンからカード決済ができるようになるという。このIoT技術を採り入れることにより、常時人の所在確認ができ行方不明が回避できるようだ◆これを便利と感じるか、嫌悪感を抱くかは個人差があるだろう◆更に進むと、インターネットで人と人が繋がるのではなく、人がインターネットに繋がる日もそう遠くないらしい◆「支払」という行為が今後どう変化するか分からないが、人を介する温かなコミュニケーションを忘れないでほしい。

<2018年6月10日>
◆近年、消費者が多様化していると言われるが、そのような一面的な見方では消費者を十分に理解できているとは言い難い。モノが溢れている社会で消費者は独自の視点を持ち、それぞれの分野で専門的な知識を有するようになっている。つまり、消費者は「専門化」している◆このように語るのは、昨年3月に富山県パン・学校給食米飯協同組合の60周年記念式典で記念講演を行った商品ジャーナリストの北村森氏◆同氏は続けて、専門化が進む背景にはSNSの普及があるだろう。SNSでの企業を媒介しないプライベートな情報交換が進む中で、消費者が「この商品はこうあってほしい」という理想を持つようになり、商品に対する期待値がこれまで以上に高くなっていると言える。しかし、消費者の変化に気付いて商品開発を進めている企業は思いの外少ないように感じる◆それならばマーケットリサーチで商品開発をすれば良いと考えるのだが、それではヒット商品は生み出せない。なぜなら、消費者が自身の願望を言語化することが難しいからで、消費者にほしい商品を聞いても曖昧な反応しか得られない◆これからは製品スペックを上げることに注力し消費者の願望を先取りして「そうきたか」「信じられない」といった驚きや感動が与えられる商品を提供できるかどうかが問われるという。

<2018年5月10日>
◆「春バテ」対策の商戦が活発だという。春バテとは、季節の変わり目による激しい寒暖差や新生活のストレスが原因となって自律神経が乱れ「だるい」「イライラする」などの症状が現れることを指す。医師や企業で構成されている研究会の調査(首都圏在住の20〜50歳代男女約800人対象)によると、6割以上が例年3〜4月に体調不良を感じるという結果が出ている◆ロフトでは、昨年9月から春バテ需要期を想定して快眠グッズ売場を拡大。4月時点で快眠グッズの商品数を前年同月比で約30%増やし売上は約40%増となり、ゆるく身につけられて筋肉と緊張をほぐす商品の人気が高いという。快眠グッズでは入浴剤が好調で、入浴前後に飲む専用ドリンクも売れ筋のようだ◆東急ハンズ各店でも春バテ対策商品が売上を伸ばしており、明るい光と音によって睡眠のリズムを調整し快適に目覚めさせる時計や音・光・香りによって睡眠環境を整える機器の取扱を始めた。価格は高めだが客からの問合せが多いようだ◆春バテの対策をおろそかにすると五月病に繋がる可能性もあるといわれ、消費者の関心が高まっている◆ベーカリーで使用する様々な原材料の中にも「春バテ」に効果がある食材があるように思える。効く効かないは別にして何かのキーワードにすることも考えてみては。

<2018年4月10日>
◆京都府では府民や食品関係事業者、行政等が一体になり、食べ残しなどの理由から廃棄されてしまう「食品ロス」の削減に向けた取組を進めるため、食材を使い切る工夫や食べ残しを出さない工夫等を実践している店舗を「食べ残しゼロ推進店舗」として認定する制度を始めた◆対象事業者は京都市を除く京都府内で営業する飲食店及び料理を提供する宿泊施設(出前・宅配含む)で、次の項目2つ以上を実践する店舗ごとに「食べ残しゼロ推進店」として認定する。@食材を使い切る工夫A食べ残しを出さない工夫B宴会・冠婚葬祭での食事等における工夫C食べ残しの持ち帰りができる工夫Dごみ排出時の水キリ等の工夫E使い捨て商品の使用を抑える工夫F食べ残しゼロに向けた啓発活動Gそれ以外の食べ残しを減らすための工夫◆申請方法は事業者が申請書に必要事項を記入し京都府農林水産部食の安心・安全推進課に郵送・FAX・eメールまたは持参する方法のいずれか◆先般ある外食店で「食べ残しゼロ推進店舗」のステッカーが貼られていたので『具体的な取り組みは?』と質問すると『アルバイトなので分かりません』という答え。食に携わる者として「食品ロス」を重要課題と考えるため、認定された以上全従業員に徹底して取り組みを成功に導いていただきたいと思う。

<2018年3月10日>
◆平昌オリンピックが閉幕し18日までの日程でパラリンピックの熱戦が連日繰り広げられている。次は2020年の東京オリンピック・パラリンピック。平昌では選手村の食事について酷評が報じられていたが東京大会ではおもてなしレベルでの食事が提供できるのだろうか◆オリンピックで競技を行うアスリートは、ストレス無く食べたい料理を提供してもらいたい。食は体を作るだけではなく精神にも大きく影響を及ぼす。特に記録を求めるアスリートならば食に寸分の妥協も許さないだろう◆オリンピックに参加する選手数には制限があり夏季オリンピックでの選手総数は15000名以下とし役員数は5000名以下と規定されている。日本を訪れる観光客の一部と考えれば大した数ではないが、毎日同じ場所で大勢の人たちが食事を摂るとなれば話は大きく変わる。少なくとも1000人の料理人が必要と言われ、世界が認める一流のレベルでなければならない。単純計算で約120万食以上を提供することになり、例え1000人の料理人がいてもフル稼働しなければ難しいという。加えて、衛生・栄養面、アレルギー、文化・宗教など様々な配慮、飽きが来ないメニューサイクルや日本食だけではなく世界の代表的な料理を提供するなどの工夫も課題となる◆日本の文化をどう発信するのか今後も注目だ。

<2018年2月10日>
◆社会問題に発展しつつある食物ロスと食品廃棄に一石を投じる動きがSNSで反響を呼んでいる。年を追って過熱する恵方巻きの廃棄問題について兵庫県内のスーパーマーケットが「もうやめにしよう」という広告を打ち、あえて余剰分を作らない施策を取った◆恵方巻きの文化は元々関西圏で根付いたもので、約10年で市場規模が拡大し売上も年々増加している。しかし、天候や曜日などの兼ね合いに左右されやすい商品でリスクも大きい。売上を大きく伸ばすことよりも食品のロスや廃棄を少しでも減らすことを優先したという◆綺麗事のように聞こえるが、食物資源を確保することが巡り巡って売上に繋がるという発想。スーパー業界では前年売上個数よりも少し多めに商品を作るというのが常識で、クリスマスケーキも同じ状況にあるらしい。人口減少と高齢化を考えると必ず無理が生じる◆同スーパーの従業員から「食物資源は絶対減っている。だから大事にしたい」という声から売れ行きに応じて数を増やすことはしないという異例の方針を打ち立てた。SNSでは「感心した」「かっこいい」「すばらしい」など、称賛の声が上がっているほか「このような店が当たり前になってほしい」といった声もあったという◆食品を扱う者として真剣に考えなければならない事例だと感じる。

<2018年1月10日>
◆あけましておめでとうございます。平素は弊紙をご愛読いただき、誠にありがとうございます。今年も何卒変わらずご愛顧賜りますようお願い申し上げます◆私は毎年、延べ約100〜120回パン関連の取材(店舗・講習会・講演会・コンクール・式典など)をする。年々で採り上げられている傾向や感じることが異なり明確な答えを伝えることは難しいが、進化していることだけは間違いない◆昨年1年を通じて印象深く感じさせられたのは「継続は力なり」という日本人が昔から大切にしてきた精神であった。アメリカンマネジメントが導入され始めた1980年代初頭から「即効性のある商品構成」「即戦力の人材」などがクローズアップされたように記憶する◆それらの手法を決して否定する訳ではないが「真面目にコツコツ」という日本の商習慣や文化とは真逆で、急成長や一発逆転が良しとされるアメリカンドリームとは根本的な隔たりがあると思う。ベーカリーの基本的な業態は、近隣住民に愛され、ほしいパンが何時でも買え、客とのコミュニケーションからニーズを識り商品化するという循環で地域になくてはならない存在になることではないか◆少しずつ商品を磨き、日々の成長を喜びながら人を育んで、2018年が皆様にとって無事で素晴らしい年になることを切に願う。

<2017年12月10日>
◆今年も残すところ僅かになった。時の経つ早さが年々早くなるような気がする。一説によると、子どもの頃は物事に対する経験が少なく、初めて体験することが多いため、時間がゆっくりと流れているように感じるのだという。大人になると、様々な経験を積んで生きてきており、未体験が少ないため短く感じるらしい◆私の年齢になると、年間で未体験という事象が極端に減っていることから、1年があっという間に過ぎ去ってしまう。そのように感じたら、何か新しいことに挑戦しなければいけない。今後の人生が今までのコピー&ペーストに終わってしまうような気がするので、新年を契機に是非、新しい何かを見付ける年にしたい◆島根県西部に仁摩町というところがある。全国で有数の鳴り砂の浜「琴ヶ浜」があり、同町は仁摩サンドミュージアムを建設し「一年計砂時計」を設置している。この大砂時計は「砂暦(すなごよみ)」と名付けられ、1トンの砂を一年かけて落とす世界最大の砂時計。全長5.2m、直径1mという容器を使い、僅か直径0.84mmのノズルから刻々と砂が落ちる。1秒間に0.032g、1時間に114g、1日で2740gの砂がコンピューター制御により時を刻んでいる◆来年の計を立てるに当たり、僅かを積み重ねる重要性を参考に挑戦を模索したい。

<2017年11月10日>
◆出前のイメージが様変わりしている。料理の配達代行サービス「ウーバーイーツ」が日本に上陸して1年。対抗する国内勢3社とサービスを競い合い、店や料理など消費者の選択肢が飛躍的に広がった◆内食・中食・外食に加えて「出前食」という第4の市場が成長。首都圏を舞台にした「胃袋争奪戦」が益々激しくなっている◆ウーバーイーツは2016年9月の上陸当初、登録する飲食店は150店ほどだったが、今では約1000店舗にまで増えた。一般人が店の代わりに配達をするという独自のビジネスモデルを打ち出し、自前で配達員を抱えられない地域の人気店などが続々と参加。消費者にとっては出前で注文する料理のバリエーションが一気に広がった◆アプリは使いやすく写真も見栄えが良く、料理メニューのおしゃれな見せ方がSNS世代の心を掴んでいる。アプリから配達先の住所を入力すると利用可能な店舗が一覧表示され、店舗ごとのメニューを見ながら注文できる◆市場調査会社によると、2016年7月から2017年6月の出前市場規模は前年同期比で14%弱増加し、4095億円になっているという◆ベーカリーでも宅配が課題視されているが、ウーバーイーツのようなモデルに乗るのかは別として、出前市場を積極的に捉えなければいけない時期にきているように思う。

<2017年10月10日>
◆大手外食チェーンで値上げの動きが相次いでいる。人件費や食材費の増加に耐えきれな くなったためで外食デフレの勝ち組だった鶏貴族も10月から全商品の価格を28年ぶりに引き上げた。人件費の高騰に加え6月から酒税法改正でビールなどの卸価格が上昇し、想定していた以上に販売費率・原価率が上がったという◆10月オープンする新店では、12月まで時給を近隣飲食店より200円高い1,300円にした。人集めは年々厳しくなっているが新店には一時的に多くの人材を必要とするためオープニング時給を導入している。商品の値上げは不可避だが、客離れは最小限に留めなければいけない。人件費などを考慮すると商品価格を300円台にしたいが、それでは値上げのインパクトが大きいのでギリギリの選択肢288円とした◆人件費・食材費・酒税法改正の三重苦で、今春から夏にかけて大量閉店に踏み切った居酒屋チェーン店もある。3月末に約2千店だった店舗数はすでに約1800店に減少。半年で約200店もの閉店は極めて異例だという◆物理的な労働力不足、労働年齢人口の減少問題への対策として週休3日制を目指すベーカリーがある。その理由をオーナーは「労働環境改善を続け、給料も遜色ないと思うが、業界基準ではなく大手企業と比較した改善が必要」と語る。

<2017年9月10日>
◆オーストラリア統計局は、4〜6月期の国内総生産(GDP)は実質で前期比を0.8%上回ったと発表した。景気後退の一般的な定義である2四半期連続のマイナス成長を経験していない期間が104四半期(26年)となり、オランダの世界最長記録を更新した◆移民流入による人口増と自由貿易協定(FTA)が不況知らずの経済に寄与しているようだ◆オーストラリア経済は、2008年の世界金融危機を大規模な景気対策で乗り切り、その後は中国が牽引する資源ブームに乗って経済が拡大した◆底堅い景気の基盤になっているのは、移民受入による人口の増加。オーストラリアのシンクタンクは、現在の人口2464万人から2050年には3800万人に増えると予測している◆日本企業は規模の大小や業種を問わず人手不足に悩んでいる。超高齢化社会の到来と若者の人口減が理由であることは言うまでもないが、高額の時間給でも採用が難しいベーカリーをはじめとする食品業態は異常としか言えない◆パン業界で、徐々に取り入れられている外国人技能実習制度などがさらに拡大し、優良な外国人とともに業界の健全な発展と日本経済の活性化が望める具体的な策を出してほしいものだ◆人々の営みと健康を支える「食べ物」が高騰する社会に歯止めが掛かることを心から願う。

<2017年8月10日>
◆どの市町村からも天の川が見え流星群の時期でなくても流れ星が見えやすい鳥取県は、夜空を見上げれば星に手が届きそうなほど。そんな鳥取県を皆にもっと堪能してもらおうという想いから「星取県」を名乗ることにしたという◆鳥取市は環境省が実施する「全国星空継続観察」で1位になった唯一の県庁所在地。また、定点観測地やその他観測地点において複数回、日本一に輝いている◆同県では次のイベント開催を予定している。〈あおや夢灯ろう(8月25日まで)〉鳥取市青谷町の伝統産業である因州和紙を通じて、川面に浮かぶ灯りのようなあたたかい町をつくりたいという地域の思いが込められている。暑い夏の夜、川面にゆらめく灯ろうのほのかな明かりが楽しめる。〈星取県大山フェスティバル〉星空観測の絶景スポットが多く存在する星取県西部の大山。9月まで連続して「星取県」イベントを開催(8月27日江府町、9月17日大山町)。〈クリスタルボウル&砂と波の月星ヒーリングYOGA〉9月までの新月・満月・夏の夜に鳥取砂丘で体験できるヨガ。◆以前は「蟹取県」とも呼ばれていたらしいが、くれぐれも「歳取県」のようなイメージが持たれないようロマンチックな県名を拡大してほしい◆暑い日が続く中、たまには夜空を眺めて心のリフレッシュをしてみては。

<2017年7月10日>
◆全国に店舗を展開する大手ファミリーレストランチェーンでは、巨額を投じて2017年末までに厨房機器を刷新するという◆揚げ物の調理などを自動化できるようにし、品質の安定と従業員の作業負担軽減に繋げる狙いで、人手不足の中でも少ない人員で効率的な店舗運営ができる体制を整える策◆同チェーンでは、フライヤー、ゆであげ機器、オーブンなどを順次刷新し、1店舗当たりの投資額は約750万円にのぼるらしい◆フライヤーは食材を油から引き上げる工程を自動化、パスタボイラーはゆで時間を自動管理、オーブンは扉の開閉をせずにコンベアのように自動出し入れできる。これらの作業は従来、従業員がタイマーを確認しながら手作業で対応していた◆厨房の自動化が進むことにより、土・日ピーク時の調理スタッフを1人減らすことが可能。また、客の少ない時間帯では1人での対応も実現でき、品質をより安定させ、顧客満足度の向上に繋がると考えられる◆同チェーン昨年の売上高は、対前年比マイナス1.4%。人手不足を背景に全店で24時間営業を廃止した。働きやすい環境整備を一層進め、今年はさらに営業時間短縮を目指している◆手作りを強調するリテイルベーカリーでパン製造の自動化は考えられないが、より効率的な設備機器が必要になることは間違いない

<2017年6月10日>
◆そごう・西武百貨店は6月3日から「昭和」をテーマにした夏のスイーツを売り出した。20〜30歳代の婦人服PB「ハニカムモード」を展開するカフェ「ハニカムキッチン」で近年人気を集めているフルーツサンドやかき氷を販売し、婦人服売り場でのメニューを充実させ売り場に興味を惹くことが狙いだという◆インスタグラムなどの交流サイトで喫茶店やレコードなど昭和に関連したものに女性の人気が集まっていることに注目し、懐かしさを感じるメニューの開発を決めた。展開するのは、フルーツサンド2種、かき氷3種、フルーツジュース4種◆フルーツサンドは、全粒粉を使った低糖質のコッペパンに旬のシャインマスカットやアメリカンチェリーを挟んだ。クリームチーズやカスタードクリームを入れることで独特な味わいの全粒粉コッペパンが食べやすくなる。価格は各税込486円と高め◆かき氷は、食べながら美しくなれるスイーツを目指し、イチゴ味には満腹感を感じやすく栄養価の高いチアシードをトッピング。抹茶あずき味には中性脂肪を減らす「オメガ3脂肪酸」が豊富な生ミルクなどを入れ、美容の悩み別にスーパーフードでも商品が選べるなど懐かしさの中にも新しさを採り入れている◆このような事例を参考に売上が下がる夏場を乗り越えていただければ幸い

<2017年5月10日>
◆自分の店を開きたい夢はあっても、年齢や準備期間を考えると躊躇して踏み出せない人は少なくない。インスタント職人を養成する各学校は若者や中高年などそれぞれの世代の不安や不満を上手く吸い上げている◆特に若い世代は長い下積みを嫌がり効率性を求める傾向が強い。短期間で即戦力になれるのなら100万円近い投資も高くないらしい◆人気ベーカリーが運営する研修センターでは、感覚という職人技を排除し、徹底したデータ化(数値化)で未経験者でも5日間で製パン方法がマスターできるという。国産小麦粉を数種類ブレンドしたオリジナル粉を使用することにより、約200種類の無添加生地のパンが作れ、独自開発のミキサー・小型オーブンなどの設備を導入することで初期投資を軽減して開業できる正に夢のシステムがあり、修了者は20〜60歳代の男女約500人。独立開業したベーカリーは約130店舗にのぼるという(日経MJに掲載)◆修行の経験を持つある寿司提供企業の事業部長は「短期間の学校を卒業した時点では、ある程度の技術が身に付いているかも知れないが立ち振る舞いなどに深みが出ない。間合いや手際の良さなど下積みで得られるものは多い」と話している◆にわかパン職人が作るパンに深みがないことは、消費者がいち早く見分けることだろう

<2017年4月10日>
ある講演会での話。講師は数年前から各地で行われている官民共同プロジェクトの事例を次のように紹介した◆地方都市で県・市が企画して、民間企業の知られざる食品の情報を発信しするとともに全国的認知度を高め、参画商品が売れ観光客誘致に繋げて、町の活性化を図るというもの◆同地域の人だけが知っていて他の地域や県外の人が知らない隠れた人気やこだわりの食品をクローズアップすること。参画企業が少ない場合でも知名度のある商品を仕方なしに入れるのではなく、主催者が様々な情報を収集することによって銘品を見つけ出す。というコンセプトが掲げられた◆公募と推薦によりコンセプトに合った食品で一定数を満たしたが、どうしても納得できる商品数点を見つけ出すことができず、数点であれば知名度があっても良いのではというコンセプトから外れた意見が出た◆しかし、官の担当者はそのような意見に耳を傾けず、掲げたコンセプトを貫く姿勢を崩さなかった結果、隠れた銘品を発掘できプロジェクトが成功、町興しの起爆剤となり、現在も改善しながら継続させている◆一つでもコンセプトと違うものが入ると全体に影響を及ぼし、企画の全体像がぼやけてしまうという実例であった◆店に並ぶパンが自店のコンセプトに合致しているか定期的に確認する必要があると思う

<2017年3月10日>
◆先月、旧友と青森県の津軽地方を旅行した。伊丹空港6時半集合で、パン製造をしない私にとって未知の時間帯に起床し、暗闇の中を空港に向かった◆搭乗手続きを済ませ、保安検査場へ。そこで、トラブルが起こった。前日に調達したターボライターが持ち込みも手荷物扱いも禁止と言われ、唯一のライターを没収されかけた。禁煙が大きなストレスになることを伝えると普通のライターを貸してくれ事無きを得た◆無事、晴天の青森空港に着き、レンタカーで五所川原に向けて走り出した。途中、完璧に除雪された高速道路から冠雪の岩木山が眺められた。なぜ五所川原かというと、ストーブ列車に興味を持ち一度乗ってみたいと思っていたから。津軽の冬といえば、鉛色の雲が低く垂れ込め、背を丸めて歩く人に容赦なく横殴りの雪が吹き付けるイメージだが、当日は新雪が眩しくて、明るく楽しそうな雰囲気が伝わってきた◆待望のストーブ列車、酒とスルメを用意して乗車するのかと思いきや楽しむグッズは全て列車内で販売されていた。しかも、若くて愛想の良い女性が2人添乗。スルメを買うと車載ストーブで、かじり頃に炙って席まで運んでくれた。30分程の乗車時間だったが普段では味わえない満足感を感じた◆厳しい状況が続くが、たまにはリフレッシュすることも必要だろう

<2017年2月10日>
◆世の中には様々な方法で「付加価値戦略」を追求している。少子高齢化や人口減少社会突入などマイナス志向が占拠し、消費低迷に拍車をかけているため、その打開策として用いられている◆時の流れとともに言葉の意味も変化するように、辞書通りの「付加価値」が今、当てはまっているのかと疑問を持つ◆例えは飛躍するが、かつてパリ地下鉄にはファーストクラスがあった。それは、硬いシートを軟らかいシートに替えて居住性と乗り心地を良くして価値を高めた。それが当時の価値観であり、ステイタスであったのだろう。現在の女性専用車両はそれに相当しないが、さらに時代が進むと70歳以上や10歳以下専用車両ができるかのかも知れない。そこで、予測もしない価値観が生まれ、そのニーズに応じることが「付加価値」の創造になるのかも知れない◆今あるものに何かを加えて価値を高めるのではなく、先を読んで行動することや消費者が求める真の満足度を追求することになる、すなわち「先回りする」がキーワードになる◆既存より価値ある商品を高値で販売することは、パン業界の就労条件や環境改善に繋がるため大賛成で、顧客に喜んでいただく製品を提供することは基本だが、もし「先回りする」工夫を加えたならば、さらに顧客との強固な信頼関係が築けると思う

<2017年1月10日>
◆あけましておめでとうございます。平素は弊紙をご愛読いただき、誠にありがとうございます。今年も何卒変わらずご愛顧賜りますようお願い申し上げます◆昨年は予想もしない自然災害が各所で起こった。被災された方々には、心からお見舞い申し上げるとともに一日も早く日常生活を取り戻されることを祈念する。また、様々な想定外の事象が多い年でもあった◆企業や地方自治体、日本、世界の国々などが連携という横の繋がりで生じる共生の精神が少し薄れ、個人や自国の営利を優先しているように思える◆英国のEU離脱賛成、トランプ次期大統領への投票は、世界的な立場よりも自国の繁栄だけを期待した結果のように映る。国内では、東京オリンピック・パラリンピック開催にまつわる誘致や施設建設で利害が右往左往しており、主役である選手を気遣う心が感じられない。事の大小に関わらず周りを構っていられない状況かも知れないが、世界中が組織や集合体の持つ力、周りとの関係性を軽視して自己の利益主義に走ってしまうと1940年代のような結末を繰り返すことにならなかいと危惧する◆このような時こそ、会社同士、組合同士が相手を思い遣り硬く手を組み、組織力で対抗しなければならないと思う◆2017年が皆様にとって無事で素晴らしい年になることを切に願う


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