木もれび第66話 M木輪
芳野栄氏
自然の中を歩く

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 自然の中に身を置きたいと思い自然の中を歩いてみました。たった一人ぼっちで二日間自然の中にどっぷりと身を置くと毎日の生活や仕事や騒音などから解放されました。静かに自分と向き合え、心が浄化されたように思えました。自然の持つリズムと自分の心があったからでしょうか。心が日頃の緊張から解放され心地よさを感じることができました。
 自然は私の目や耳や鼻や身体などすべてを喜ばせてくれているように思いました。色とりどりの花や野草や木々の葉もそうでした。木々の間をぬって入ってくる日光は、若葉をとても美しく見せてくれ、若葉もエネルギーに満ち満ちているように感じました。山々を望めば「緑色」という色がこれほど多くあるのかと驚かされました。とても言葉では言い表わせません。うぐいすやほととぎすはじめ小鳥のさえずりが心地よく耳に入ってきます。水をはった田からは、蛙の鳴き声、そして小川のせせらぎの音。心のよごれも一緒に流されていくようでした。耳に入ってくる音はどれもバランスよく調和がとれていてとても心地よいものでした。自然の中には新緑の香りがあり、そのすがすがしさに思わず深呼吸をしたくなりました。おいしい自然の水を口に含むと、のどの渇きも癒え、そのおいしさを味わうことができました。
 このような自然の中を一人で黙々と歩いていると、自我や業といった心のクセから解放され、本来の心の状態を取り戻すことができました。昼間のやや強い日差しの中、歩みをとめてみました。遠くの方で鳥の鳴く声がかすかに聞こえてくるだけで、あとは、シーンと静まり返りいっさい何の音も聞こえてきません。車ももちろん通っていません。風もやんでいます。その瞬間時間が止まっているように感じました。大自然の中にポツンとただ一人。しばらくじっとそこにたたずんでいました。何とも言えない気持ちです。現実とは違う別世界にいるようでした。自分も自然の中の一員として自然の分身であることが自覚できました。
 自然の中で過ごした二日間を終え、現実の生活に戻ると生活のあわただしさをとても感じてしまいます。車の音や人の声やいろいろなものの音があまりに多く、あわただしさを余計に感じてしまいます。心のバランスを失いやすく、本来の心の姿から離れてしまいやすいように思えます。今までの自分がこのような場に身を置いていたかと思うと、改めて自然の中に身を置くことの大切さを感じます。
 今回のことで自然の中に身と置く上で自然を心から楽しむ秘訣は、一切の情報を遮断し、入れないことだと思いました。何も思わない、何も考えないで自然を楽しみながらただひたすら歩くのみ、これからも時間をつくって自然の中を歩きたいと思います。

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