木もれび第68話 M木輪 芳野栄氏
わがままを抑える

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 私達は、人と人との間で生きています。人と人の間で生きている限り、人間関係が良好であることは、とても幸せなことであると思います。ところが時として、その良好な人間関係がくずれ、幸せを実感できない時があります。その原因の一つに「わがまま」というのがあります。相手にわがままを言って、相手を不快にしてしまったり、困らせたりして良好な人間関係をくずしてしまうのです。
 例えば夫婦間で、夫が妻に対して自分のわがままを押し通そうとすると、それを受ける妻としては、とても不快さを感じ、困ってしまう場合もあり、時として言い争いの夫婦ゲンカに発展してしまう場合もあります。立場が反対の場合にも、同じようなこととなります。このことは、夫婦の間だけでなく、親と子供の関係においても同じことが言えます。また会社という組織の中においても、上司と部下の間でも同じです。上司が自分のわがままや強すぎる思いを部下に押し付けてしまうと部下は不快さが先に立ち労働意欲をなくしたり、自信をなくしたりして、両者間の信頼や良好な関係は失われてしまいます。逆に部下が上司に対して、自分のわがままを押し通そうとして、その対応に上司が苦慮することもあります。部下は、自分の意見や思いが聴き入れないと場合によっては、その会社を去っていくこともあり、良好な人間関係は崩れてしまいます。社会においても同様です。自分達のわがままな思いや主張を押し通そうとすると、そのことで周囲の人に迷惑や不快さを与えてしまい、社会秩序が乱れたり、世の中の荒みに繋がることもあります。国家間においても、一国のわがままを貫こうとすれば、周辺の国々に不安な緊張を与えてしまう場合もあります。また、私達現代を生きる者たちが、自分達の今の豊かさを求め続け、自然との調和を欠くようになると、自然破壊という結果を招き、そのことで自然災害が多発しやすくなっていくことに繋がります。
 このように自分のわがままを通そうとすると、その反対側には、必ず不快さや不安を感じたり、困ったり、傷ついたりなど犠牲になっている人々や社会や国家があるということを、私達はしっかり考えておく必要があります。
 わがままとは、広辞苑によりますと、相手や周囲の事情をかえりみず自分勝手にすること」があります。わがままな主張や行動の基準は、「自分さえよければ」「今さえよければ」という考え方にあるように思います。冒頭にも述べましたが、私達は人と人との間で生きています。皆で仲よく、楽しく、明るく、平和に豊かに生きたいと願っています。そのためには、「自分さえよければ」「今さえよければ」という考え方の基準を「自分にとっても、相手にとっても、社会にとっても、また将来にとってもどうか」という考え方に改めてみるのが望ましいのではないでしょうか。また、少々のことであれば、相手に譲り、受け入れるという心の寛容さも大切だと思います。
 お互いが、わがままを抑え、良好な人間関係を築き、豊かな人生を送りたいものです。

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