木もれび第69話
M木輪 芳野栄氏

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手間を惜しまない、心を省かない

 私は、手間を惜しまない、心を省かない生き方をしたいと思っております。そのようにいうと何か大げさなことのように聞こえそうですが、一つひとつ事を実行するにあたって、「そこまでやるか」と思えるくらい事前準備に手間と心と時間を惜しみなくかけ対応したいと思っているのです。
 事を成す人というのは、このように何事にも「そこまでやるか」と思えるくらいに徹底してやっておられるように思います。表面には見えない、表面に表れないところに手間を惜しまない、心を省かない努力をされていらっしゃるようです。
 私の人生の師であるI先生は、私たちにご講話される際、それはそれは、十分すぎるほど丁寧に丁寧に手間と心と時間をかけられ、私たちが理解しやすいようにと心をくだかれていらっしゃいます。ある時、勉強会が始まる前、心の中で何度も何度も講話しようとする内容を確認され、納得されながら準備されている姿を拝見いたしました。先生でさえ、これほど入念に準備されているのだと驚きました。話を聴く側の私たちに対して失礼のないよう、又理解が深まるようにとの思いやりの心のあらわれであろうと思われます。
 このように、心を省かず手間をかけ、時間をかけ、「そこまでやるか」の心で事に対応するのは、自分にできることの100%以上の準備をおこなっていることで、上手くいかないはずはありません。こうしたことを一つの事にとどまらず、多くの事に実行していく人生を歩むならば、その人生は確実に良くなっていくことでしょう。
 反対に、一つの事に対して、手間を惜しみ、心を省き、そこそこの努力で良しとし、その結果にも妥協していくことは、自分の力の100%以下しか発揮できていないことになります。これが繰り返されれば、人生の結果は、自分が思うようにはいかないこととなるでしょう。
 「そこまでやるか」と思うくらいやるのと、そこそこでお茶をにごすのでは、一つのことでは差はあまり生じないかもしれませんが、これが人生という大きなスケールとなるとその差は、想像を絶するものとなるでしょう。
 わかりやすくするために、このことを数字であらわすと、仮に「そこまでやるか」と努力することは数字であらわすと自分の持つ力1.0に対して1.01とします。そこそこでお茶をにごすことは1.0以下の0.99とします。「人生」という長い期間と考えると、1.01×1.01×1.01×…となるのか、0.99×0.99×0.99×…となるのかでは最終的には大きな差となります。
 一つひとつの小さなことに対してでも手間を惜しまない、心を省かない心で臨むよう心がけていくことが人生をよりよいものとしていくと思います。手間を惜しまない、心を省かない生き方が大切だと思います。

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