パンドレ〈京都市右京区〉
作り手の温かい気持ちが地元に浸透
生食パンや土産商品の開発にも挑戦

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店舗外観

田中潤社長

健氏と販売スタッフ
 

店舗内の様子

アンバタ

食パン類

 Mパンドレ(田中潤社長)が展開する「パンドレ」は1987年12月、京福電鉄嵐山本線鹿王院駅すぐ前に嵯峨本店を創業した。以来、32年間「毎日味が変わらないように」と1つ1つに愛情を込めて100種類以上のパンを手作り。家族経営の温かさから地元ではなくてはならない存在として定着している。

 創業時より良質の材料を使用し、原価高は承知の上で一人でも多くの人に食べてほしいという想いから、リーズナブルな価格で商品を提供、その甲斐あって2012年5月には北山店をオープンした。
 潤社長はベーカリー創業前、親の代から続いた運動具店を営んでいたが、将来を考えてパン職人であった弟と共同経営で起業。志津屋などで短期間の修行をした後、弟から実務のパン作りを習ったという。ところが、数年後に弟がベーカリー経営の厳しさに直面し他の職に就いたため、潤氏が一人で店舗を切り盛りすることになった。
 運動具店主に嫁いだ由理夫人は、幼い子どもを育てながらパンの販売員を始めることになった。
 7年前から嵯峨店を任されている息子の健氏は37歳。大学卒業直後の23歳で同社に入社し父からパン製造技術を学んだ。現在は、仕込みから成型、焼成と全工程を熟している。健氏が発酵具合を見極めた上で、由理夫人が一部の成型と焼成を担当することもある。
 潤氏は、創業時の想いを振り返り次のように述べた。
 「水を使わず牛乳だけでパン作りをしようと思い店名をパンドレ(=ミルクパン)と命名した。余談だが、日本に住むフランス人にそんな言葉はないと言われたこともある。暫くは構想通りに運んだが、雪印の不祥事以降、牛乳が思うように入らないようになり、今は水に低脂肪乳を1対1の割合で混ぜて仕込み水にしている。北山店は7年経過するが順調に顧客数が増えており、パンの激戦区でありながら安定してきた。加えて、嵯峨と北山では客層も異なり、価格に対する感覚も違い、安い=美味しくないという関係性があるようだ。2店舗のほかに下鴨のフレンドフーズ本店などに北山店で作った商品を卸している」
 果実や穀物・樹液など自然界から分離したままの「野生酵母」を使用していたが、2004年の新潟県中越地震で提供してくれていた会社が被災し廃業に追い込まれたため、それを期にイーストに変えたという。
 健氏は「間違いのないミキシングと焼成、徹底した温度管理を心掛けている。
やはり、発酵が最も難しく時間との闘いなので神経を遣う。約15年間パンに携わっているが明確な答は出せていない。材料でのこだわりはバターで、よつ葉バターを創業時から使用している。しかし、問屋でも入荷数量が制限されているので思うように使えていない。どうしようもない時は、近くのスーパーで家庭用を買 っている。クロワッサンとデニッシュは、低温長時間発酵で作っている」また、由理夫人は「室温や湿度、窯の状態など同じ状況がほとんどないので難しく、数秒の違いで焦げてしまう」と製造現場での思い入れを語った。
 売れ筋商品1位は、35年前に潤氏が考案した良質バターと最上級あづきのコンビネーション。30年間No.1の「アンバタ(税別160円)」。次いで「塩バター(同100円)」。JAL機内誌「SKYWARD」でベスト食パン5選にも選ばれた「プレーン/イギリス食パン」なども人気。チーズを載せた「ピザ系」は惣菜系パンの中でもよく売れている。「お好み村(同230円)」はお好み焼きの具材が全て入っており原価比率が高いが根強いファンを獲得している。
 店舗内には、パン商品の値上げについて顧客の理解を求める張り紙があった。消費者にとって、リーズナブルな価格での販売は有難いことだが、美味しいパンが食べられなくなると困る。長く継続するという意味でも社会情勢を鑑み、必要だと受け入れてもらえているようだ。
 「地元の人に可愛がっていただき、30年以上商売を続けられてきた。軽減税率制度に抵触しているので、税抜価格を上げるのは抵抗がある。しかし、消費増税で10%になる材料もあり、最低賃金も京都府は26円上がって882円になる。販売員などのパートタイマーを延べ6人雇用しているので、再値上げする方向を考えている。パンを買っていただき、喜んで食べていただくことに幸せを感じているので、なかなか思い切ったことができない。最近の傾向だが、嵐山が近いこともあって外国人観光客も立ち寄ってもらえるようになったが、色々な店でパンを味わいたいらしく少量しか売れない」と由理夫人。
 潤氏は、今後力を入れたい商品と展望を次のように語った。
 「生食パンに挑戦しようと思う。また、観光地の利を活かして土産になる商品を開発し嵐山に出店したい」。

【パンドレ】
《嵯峨店》
▽住所=〒616-8345京都市右京区嵯峨折戸町29-4
▽電話=075-861-9070
▽営業時間=6時30分〜18時30分
▽定休日=火曜日
《北山店》
▽住所=〒603-8247京都市北区紫野泉堂町5
▽電話=075-492-7825
▽定休日=火曜日

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