テイスト・オブ・ソノマ〈前編〉
年に一度、ワイナリーやレストランが出店する飲食の祭典
圧倒的熱気でワイン愛飲家を惹きつける

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会場に並ぶテント(Photo: Bob McClenahan)

ワインの試飲エリア

ケンダル・ジャクソンブース(Photo: Bob McClenahan)

 「ソノマ・カウンティ・ビントナーズ」は8月31日に、ソノマ州立大学のグリーンミュージックセンターで、「テイスト・オブ・ソノマ」を開催した。

 ソノマカウンティはカリフォルニア州サンフランシスコの北、車で1時間半ほどの所に位置し、ナパバレーに並ぶカリフォルニアワインの名産地で、400以上のワイナリーがある。約40万ヘクタールのソノマカウンティは、その6%に当たる2万4千ヘクタールが葡萄畑。18のAVA(アメリカの葡萄栽培地域規定)で、60種類以上の葡萄が栽培され、地域によって気候が全く異なるため、ひとつの国がソノマカウンティに集約しているようだと言われる。シャルドネ、ピノ・ノワール、カベルネ・ソーヴィニヨンが多いが、中でもピノ・ノワールの生産量はカリフォルニア州で最大。
 「テイスト・オブ・ソノマ」の会場は、野外コンサートが開かれる広大な芝生に、いくつもの大型テントが立てられた。5時間の開催中、1784人の参加者が160軒以上のワイナリーのワイン試飲と、レストランやケータリング業者の料理を試食した。
 東海岸のボストンに住むワイン愛飲家、タミーさんとマイケルさんは、昨年「テイスト・オブ・ソノマ」に初めて参加し、とても気に入ったので、今年もこのイベントに参加するために来たという。
 「ピノ・ノワールが大好きなので、色々なワイナリーのピノを飲み比べられるのが嬉しいです」とマイケルさん。タミーさんは「夫は気に入ったワイナリーがあると、すぐ会員になってしまうんですよ」と話してくれた。多くのワイナリーには会員制度があり、会員の特典として、年間を通してリリースされるワインを予約でき、限定品の購入や会員対象のイベントにも参加できる。会員数を増やすことは、安定した経営につながるので、こうしたイベントで会員を勧誘するのは、ワイナリーにとって大切なことだという。
 「ワイントーク」と呼ばれる5つのセミナーも開催された。「ロシアン・リヴァー・バレー・ワイングローアーたち:私の地域にようこそ」は、「ベノヴィア・ワイナリー」「カンズラー・ファミリー・ヴィンヤーズ」「ハートフォード・コート」「ジョセフ・スワン」という4つのワイナリーのワイン醸造者のパネルディスカッション。ロシアン・リヴァー・ヴァレーという一つのAVAの中でも、いかに気候が異なり、どのように味の異なるピノ・ノワールが造られるかという話を聞きながら、各々のワイナリーのワインを飲み比べると、その味の違いに驚かされる。
 質疑応答では「良いワインを造るのに大切なことは何ですか?」という質問に「ベノヴィア・ワイナリー」のマイク・サリバンさんが「90%は観察力です」と答えた。
 「ワインの価格はどのように設定するのですか?」の質問には「ハートフォード・コート」のジェフ・スチュワートさんが「葡萄畑を所有するワイナリーなので、ワインの価格は、葡萄の収穫量や人件費によって毎年変わります。他のビネヤードから葡萄を買うワイナリーの場合は、葡萄の価格が均一なので、状況は違います」と答えた。
 「何年寝かせたワインが一番美味しいのですか?」という質問に、ジェフさんが「同じワインの小瓶を10本買って、毎年味わうと、自分の好みの年数がわかります」と答えていたのが印象深かった。また「カンズラー・ファミリー・ヴィンヤーズ」のアレックス・カンズラーさんは、ワイントークの際に2017年のピノ・ノワールの試飲を提供し、会場の試飲ブースでは、2011年のピノ・ノワールの試飲も実施して、参加者に飲み比べを勧めていた。ワインを寝かしておくことで、まろやかな味になることが実感できた。
 160社ものワイナリーが一堂に集まり、ワイン愛飲家を惹きつける熱気は圧倒的で、ワインクルーズなどを提供するクルーズ客船会社主催の、サイレントディスコ(ヘッドホンで音楽を聴きながら踊り続ける)テントがあるなど、盛り沢山な内容だった。
 次回は、ワインに合うメニューの試食を提供したレストランやケータリング会社を紹介する。

写真・文/田原知代子

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タミーさんとマイケルさん