マザーグース〈東京都練馬区〉
拡販に繋がるコミュニティーに取り組み
時代のニーズを先読みする

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萩原社長

店舗外観

店内の様子

 Mマザーグース(萩原ひとみ社長)が展開する「ベーカリーマザーグース」とイートイン・レンタルスペース「フェアリーテイルズ」は、1916(大正5)年に東京都豊島区の巣鴨で創業した。1926(昭和元)年ごろに現在の江古田を移転した。創業103年の老舗は、数少ない活況な商店街のシンボル的存在として、乳幼児からシルバーまで幅広い客層に愛され続けている。

 創業者は、萩原社長の祖父賢一氏。当時パンは、ハイカラすぎてなかなか買っていただけなかったので、大八車で売り歩いたという。
 「祖父は器用な人で、カステラや和菓子、甘食、シベリアパン、玄米パン、そばも作り、小麦粉を上手に使い美味しいものを沢山造っていたと聞いている。2代目の父栄一は、池袋サンシャインシティにベーカリーレストランを出店するなど営業力に長けた人だった」と萩原社長は思い出を振り返る。
 1945(昭和20)年終戦直後には、練馬区内の小・中学30校以上に学校給食を供給し1日約4万食のパンを製造。学校給食は区役所を通して長い間貢献した。
 店舗の立地は、西武池袋線江古田駅北口から栄町本通商店街に入ってすぐのところ。池袋ターミナルから3つ目の駅で都心へは至便。武蔵大学・武蔵野音楽大学・日大芸術学部と三大学があり、朝夕の通勤・通学時、通りがかりに来店できる。この栄町本通商店街が活況を呈しており、昭和の良き時代を彷彿させる賑わいを見せている。
 3代目のひとみ社長は、大学卒業後、銀行・ホテルを経て、結婚・出産後には保険会社で子育てをしながら営業として約10年務めた。また、日本パン技術研究所の100日コースで学び、同社に入社。父と一緒に店に立った。現在に至る経緯を次のように話した。
 「父の勧めでパン技術研究所に通い、パンは化学であり奥深い。人間の生活にとって一番大切な衣食住の食文化を高めていきたいと思うようになり「長く続けてきた店を継ぎたい」という思いが芽生え、店を継ぐことを決心した。父他界後しばらく母が社長を務めていたが、約8年前、社長に就任した。銀行で学んだ資金繰り、ホテルで身に付けたサービス、保険会社での営業活動など、全てが経営に活かされている」
 1970(昭和45)年、マザーグースに改名。店名は、世界的に活躍しているアートディレクターの北川フラム氏が命名。英米を中心に親しまれているイギリスの伝承童謡から名付けられた。イートイン・レンタルスペース「フェアリーテイルズ(妖精のような物語)」も北川氏が命名した。また、店舗建築には原広司氏が携わった。
 パン製造の基本は、日本人が一番好む「食パン」造り。プレーンな食パンと自家製酵母(レーズン/レモン/りんご)・全粒粉を使用した食パンを造っている。パンの種類は、食パン・フランスパン・調理パン・惣菜パン・菓子パン・デニッシュで、約80〜100アイテムを店頭に並べている。こだわりは、生地改良剤を一切使用せず、自然な製法で材料の味を活かすこと。
 売れ筋商品は、ラム酒に漬けたフルーツを練り込み、女性に人気の「フルーツミックス(食パン)」、生地にシナモンを練り込んだ「シナモンレーズン」、地元の茶屋とコラボした抹茶あずき(食パン)、ボリューム満点で午前中に売り切れる「バーガーパン(厚切りロースかつ・えび・チキン)」、「ハンバーガー」は肉厚で上にスモークチーズとコルビージャックチーズが溶けている。パン生地の上に焼きそばと目玉焼きを載せマヨネーズをトッピングした『嵐にしやがれ』で紹介された「焼きそばパン」、練馬区特産のトマト「華小町」を使った「ピザ(きのこ・ベーコン・フランク)」。
 パンの価格について「10月1日より、全商品およそ10円値上げした。消費税増税に伴い原材料費が上がったこと、最低賃金の引き上げで人件費も上がったことを理由にしている。食料品全体が上がっていることを認識してもらうためにも必要なことだと考える」とひとみ社長。
 学校給食パンは撤退したが現在、店舗での販売以外に、練馬区内の保育園30園以上に週3回「おやつ」としてパン(ミルクパン、バターロール、アレルギーパン、デニッシュなど10種類)を納入、1回に計約2000食を供給している。
 「小・中学校のように長い休みがないので、年間を通じて製造でき安定した売上が見込める」と社長。
 その他に、近隣のレストランやカフェなど十数軒が「パリジャン」や自家製酵母を使ったハード系のパンを定期的に購入してくれるという。病院、図書館、介護施設などにも納め、パーティーにはサンドイッチオードブルの注文も承っている。
 地域で開催されるイベントや催し物には積極的に参加するメンバーのひとりだというという。
 「11月29日〜12月1日の3日間、練馬文化センターなどで『世界都市農業サミットin練馬』が開催される。ベーカリーは、主催者の練馬区とコラボして、練馬産の野菜や柑橘類を使った製品を提供。普段、農家とベーカリーが直接繋がることは流通などの関係で難しいが、今回は特別に農家に出向き分けてもらっている。当店では、練馬産トマト『華小町』を使用したベーコンウィンナーのピザやきのこピザ、練馬産のイチジクとイチジクジャムを使用したデニッシュを作り販売している。成果は上々で、特にベーコンウィンナーのピザがよく売れている。
 練馬パンカーニバルには、立ち上げから参加しており、今年で4回目を迎え「練馬区の『パン屋』さんと絵本の『パン屋のイーストン』がコラボしたおなかも心もふくらむ秋のイベント」と題し、11月30日まで26店のベーカリーの中からスタンプを3つ集めると抽選でイーストンからXmasプレゼントの「シュトーレン」がもらえる「スタンプラリー」、11月23日にフェアリーテイルズで「パンマルシェ」が催される。
 フェアリーテイルズは、ベーカリーマザーグースに併設されているイートイン・レンタルスペース。
 イートインスペースは、バターロール・食パン・菓子パン・惣菜パン食べ放題に飲み物付きで税込500円。
電子レンジ・オーブントースターも完備されている。ほかにも「つけコッペパン(ジャムやあんなど/同230円)、(玉子・ポテト・ツナ/同250円)」、ドリンクバー(同110円)もある。来店していた男性客は「たまたま入ったら素晴らしい店だった。近かったら毎日来店したい」と称讃した。
 レンタルスペースは、グランドピアノが用意されており、主に音楽会などのイベントに使用される。ベビーカーや車椅子でもそのまま入場でき、気軽に演奏やライブが楽しめる。入場は有料だがパンとドリンクのサービスが必ず付いている。また、江古田音楽祭(武蔵大学、武蔵野音楽大学)などのコンサートチケットも取り扱っており、地域のコミュニティーとしても重要な役目を果たしている。
 ひとみ社長は、今後力を入れたい商品と展望は「沢山の種類が食べられるようにポーションを小さくした商品作りに心掛けること。時代のニーズに対応した国産小麦などを使ったシンプルな商品を開発すること」と話した。

【マザーグース】
▽住所=〒176-0006東京都練馬区栄町29-2
▽電話=03-3994-2121
▽営業時間=8〜20時
▽定休日=盆・正月
▽アクセス=西武池袋線江古田駅北口より徒歩3分

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