学校給食を考える 3

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新型コロナウイルス
政府対策基本方針を決定
 政府は2月25日、総理大臣官邸で新型コロナウイルス対策本部を開き、感染の拡大に備えた対策の基本方針を決定した。
 基本方針では、現在の状況について「国内の複数地域で感染経路が明らかではない患者が散発的に発生し、 一部地域には小規模な集団感染が把握されている状態だ」としている。
 その上で、感染経路について「飛沫か接触感染で空気感染は起きていないと考えられる」とする一方「閉鎖空間で近距離で多くの人と会話するなど、一定の環境下であれば、咳やくしゃみがなくても感染を拡大させるリスクがある」と指摘している。また、重症度は、致死率が極めて高い感染症ほどではないものの、高齢者や基礎疾患がある人は重症化のリスクが高いと分析。そして、感染拡大の防止策を講じ、患者が増加するペースを可能なかぎり抑えるとして、国民や企業に対して発熱などかぜの症状がみられる場合には、休暇を取得したり外出を自粛したりすること、テレワークや時差出勤の推進を強力に呼びかけるとした。
 そのような状況下2月28日、仕事で東京に出張した。外出の自粛や企業によっては出張禁止を指示していることから、新幹線などの公共交通機関は通常よりも空いているものと思い京都駅の新幹線ホームに立った。指定した列車が入線して驚いた。回送列車と間違えるような状態に思わず切符を見直したが、確かに「のぞみ316号」だった。乗車すると1輌に乗客6人。席数は5×20列で100席。乗車率は僅か6%。前後の車両も同じような状態であった。名古屋に到着し1人が下車したが、乗車は0人。5人の乗客になった同列車はそのまま東京に向けて出発した。
 車内では、放送とテロップで何度も政府の要請として「外出の自粛、テレワークや時差出勤への協力」が呼びかけられており、車内の様子からも感染防止に備えた対策の基本方針が多くの国民に認知され実践されていると感じた。

新型コロナウイルスによる経済への影響緩和策
 自由民主党政務調査会は3月3日、経済成長戦略本部及び新型コロナウイルス関連肺炎対策本部の合同会議により、経済面からの対応について検討を重ね、@インバウンドへの影響。Aサプライチェーンへの影響。B中国はじめ世界経済の成長鈍化。といった諸点への対応を図るため、次のとおり経済面からの第一弾の緊急対応措置を政府に提言するとした(抜粋)。
《事業活動の縮小への対応》
◇中小企業・小規模事業者等に対する資金繰り支援
▽日本政策金融公庫において、金利等の条件を更に緩和した「コロナ対策特別貸付け」を創設するとともに、セーフティネット保証の要件を緩和し、対象を拡大すること
▽セーフティネット保証について、迅速な手続き、柔軟な適用に努めるとともに、申請書類作成の煩雑さを解消するための支援措置を実施すること
◇民間金融機関による緊急対応等
▽民間金融機関に対し、中小企業・小規模事業者等からの経営の継続に必要な資金の借入の申込みや貸付条件の変更等の申込みに適切に対応するよう、更に要請すること
▽大規模イベント等の再開等に伴って必要となる資金供給等について、クラウドファンディングをはじめとして民間の創意工夫を活用すること
◇中小企業・小規模事業者等への支援の強化
▽令和元年度補正予算に計上した中小企業対策費の柔軟・迅速な活用▽令和元年度補正予算で措置した生産性革命推進事業について、例えば、IT補助金を通じたテレワーク等の導入による緊急時の対応力向上支援や持続化補助金を通じた国内販路開拓支援の強化など、可能な限りの前倒し執行に努めること
《拡大防止策に伴って生じる課題への対応》
◇従来の雇用調整助成金でカバーされない場合の支援の枠組みの検討
▽学校等が休校になることに伴い休業せざるを得なくなった場合の新たな助成金の創設について政府より発表されているが迅速に実施すること
▽雇用調整助成金について、業種の拡大にあわせてクーリング期間の撤廃を図るとともに、急激な感染の拡大などが見られ地域経済全体に深刻な影響が及んでいる一定の地域等において助成率の引上げや非正規雇用を含めた対象の拡大などの特例を設けること
▽様々な影響に伴い休業せざるを得なくなった非正規雇用者や個人事業主の厳しい生活を緊急的に支援するための新たな枠組みについても速やかに検討すること
◇政府の要請に伴い影響を受ける事業者への支援
▽休校により給食が停止されることに伴い損失を被る生乳事業者、食品納入事業者、給食調理関係者への支援を行うこと▽政府要請を受けての大規模イベント中止に伴い損失を被る関係者への支援に努めること
◇人手不足に関する支援
▽従業員の感染による休業や技能実習生の受入れ停止に伴う代替従業員確保のための支援を行うこと
▽テレワークを推奨するとともに、ソフトウェアの充実などテレワーク普及のための環境整備に努めること
◇働き方改革の中小企業への適用の柔軟化
▽働き方改革に関する中小企業への監督指導に当たっては、閣議決定にある「労働時間の動向、人材の確保の状況、取引実態その他の事業への配慮」に新型コロナウイルスの発生や感染拡大が中小企業に与える影響が入ることを明確にし、通知を発出すること等により速やかに周知徹底を行うこと
▽コロナウイルスの感染拡大を防止するための時差出勤やテレワークの推進などを中心に指導を行うこと

突然の休校給食業者に衝撃
 感染拡大防止のため実施される小中学校の一斉臨時休校は、滋賀県内の学校給食現場にも甚大な影響を及ぼしている。
 納品業者は「大打撃」と悲鳴を上げる。「これほどの規模で納品がキャンセルになったことはない」。全19市町に200〜300品目の食材を納品する栗東市の嶋林食品センター嶋林慎悟社長は、損害額は約5千万円にも上ると説明。「補填や補償がないと厳しすぎる。子どもの安全のためとは言え、どこに不満をぶつけたらよいのか」と語った。
 県学校給食協同組合専務理事で、11市町に毎月約22万食分の給食用パンを納品している長浜市の丸栄製パン辻井孝裕社長は「売上の8割が学校給食。涙が止まらない」と声を詰まらせる。組合として、近く国に何らかの補償や穴埋めを要望する予定で「セーフティーネットを張ってからにしてほしかった」と憤った。
 学校給食用のパンを製造する水戸市の安蔵パン村沢秀聡社長は、突然の休校にこう憤る。「弊社は、水戸市と日立市、城里町の小中学校50校以上に提供。1日7千〜1万食分を作っているが、今回の休校措置で製造がストップ。幼稚園や病院にも納入しているが、月に300〜400万円の減益になるという。給食用パンの材料である小麦粉は、購入費に県の補助金が使われていることから、一般販売に転用できない。同社は収入を給食に頼っており、給食がなければ、存続も危ぶまれる。工場で働く14人の中にはパート従業員もおり、村沢社長は「賃金を維持できなければ、ただでさえ人手不足なのに、従業員が離れてしまう」と頭を抱える。春休みや夏休みの長期休暇中に行っている機械のメンテナンスを前倒しでやることで、従業員の仕事を何とか見つけたいとしている。

給食パン工場「収入ほぼ0に」
 宮城県パン・米飯協同組合共同工場は、3月の収入がほぼ「0」になる恐れがあるという。1日に多いときで8万食を作っているが、3月3日に製造したパンは僅か190個。同工場は、県内の公立幼稚園、小・中学校、高校、特別支援学校合わせて570校分の給食用のパンを製造している。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、ほとんどの公立学校が臨時休校となり、3月の収入は97%の減少が見込まれている。
 政府は、約2700億円の予備費を使って、緊急対策を実施する方針だというが、具体的な支援策はまだ明らかになっていない。同工場では、パート従業員を含め57人が働いており、賃金の支払いなどについて不安を募らせている。

「週休6日状態」で大ピンチ企業も
 小・中学校全校及び近隣の市町村の学校給食にパンを納入している神奈川県藤沢市の長後製パン齋藤社長によると、1日平均1万2千〜1万3千食の給食用パンを製造し、惣菜パンを高校の売店で販売しているが、休校の影響で製造ラインが8割止まっている状態で売上は、70〜80%減の深刻な影響を受けているという。年間計画によって経営が成り立っており、今回のような予期せぬ出来ごとが起こると、経営に大きなダメージを与える。さらに「事業が継続できなくなると設備の面からも他の企業が引き受けることが困難で、給食事態が危うくなる」と懸念している。「給食パン業界が、4月以降に経営が成り立たなくなる恐れがあるため、融資ではなく早急な国からの補助金や補填が必要だ」と述べた。
 同じようなことが土浦市でも起きている。市内の高校5校及び筑波大学の売店で、パンを販売している栄パン。店舗を持たずに、工場で生産したものを出張販売している。1日に2千〜3千食分製造しているが、休校の影響で「週休6日状態で大ピンチ」と話す。

「裸売り」食品で感染の危険
 窮状を訴えるのは学校給食パン製造業社だけではない。スーパーマーケットやベーカリー、デパ地下惣菜等のバラ売り(裸売り)の危険性。ベーカリーは、数多くの焼きたてパンが裸のままで売られている。また、不特定多数の客が数多く来店する。コロナウイルスに汚染された食品でも、各種病原菌と同様、中心部を75℃で1分間以上加熱すれば安全だといわれているが、パン類等は、購入後そのまま食べることが多く加熱しないことの方が多い。そのため、急遽袋包装に変更するベーカリーも少なくないという。しかし、元々裸売りを前提に製造されているパン類は、包装材料という原価と包装加工という付帯業務が必要になるため、販売価格への転嫁をどのようにするかが危惧される。

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新幹線「のぞみ」の車内