木もれび第76話
M木輪 芳野栄氏
四耐四不A

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 前回(第75話)では、「四耐四不」の1回目として、中国清朝末期に活躍した曽国藩の「四耐四不」という言葉の「四耐」について述べました。「冷に耐え、苦に耐え、煩に耐え、閑に耐える」ということで、これらに耐えてこそ大きなことを成し遂げることができるというものでした。
 今回は残りの「四不」について述べさせていただきます。「四不」とは「不激、不噪、不競、不随」で「激(げき)せず、噪(さわ)がず、競わず(きそ)、随わず(したが)」です。
 ものごとはうまく進まなかったり、自分の思いがなかなか伝わらないと、イライラしたり穏やかさが欠け、心が荒波のように揺れ動いてしまいます。その結果、社員にきびしい言葉や怒りをぶつけてしまうことになります。それでは穏やかであたたかな良い社風を築くことができません。どんなことがあっても感情的にならない心の穏やかさ、心の器の大きさが求められます。
 心が安定していない経営者は、数々の問題を前に右往左往してジタバタとしてしまいます。そうした経営者の姿は、大変見苦しいものです。何があっても動じない心の安定した経営者でありたいものです。また会社を経営していますと、他社のこと、とくにライバル会社の動向がとても気になるものです。場合によっては、他社やライバル会社との不要な競争に巻き込まれてしまうことにもなります。すると、自社の良いところや強みを見失ってしまい、それらが生かせないことになってしまいます。不要な競争は避け、自社の良さや強みに目を向け、淡々と自社の目標に向って行動していきたいものです。
 経営者の中には、有名な人を前にするとこれまでの自分の主張や信念までを曲げ、追従していく経営者がいます。会社の経営者として、同時に社員の幸せをあずかる者として独自の信念や哲学をもって経営にあたるべきでしょう。『損得勘定』が先に立つと自分の信念を曲げやすいものです。事を『善悪』で判断していくことで、自分の信念を曲げずにすむのではないでしょうか。
 以上のように経営者として大切な「四耐四不」の考え方を忘れないようにするために、私は自分の部屋の目につくところに「四耐四不」の額を掲げ、いつも自分自身を戒めています。

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