ヨシダパン〈大阪府豊中市〉
全国で週2回のパン給食を早期に実現
府内全域の中学校給食を取り込む

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吉田社長

工場内の様子

 吉田M(吉田日士光社長)は1946年、吉田収一氏により創業し翌年2月に法人化した。「奉仕の心、喜ばれるパンづくり、自分を大切にしよう」の社訓に沿って74年間の歴史を刻み、地域や社会に「在らねばならぬ、必要とされる」会社を志している。納入先からは「ヨシダパン」として親しまれている。

 2代目の日士光社長は1954年生まれ。66歳。大阪府学校給食パン・米飯協同組合の理事長として全国を活躍の場にしている。同社は、売上の90%以上を学校給食パン・米飯が占め、学校給食制度とは別の病院や保育所のパン給食を製造している。学校給食パンは、大阪府北部の約120の小・中学校を担当しており、1日に多い日で約100校、少ない日は約30校に提供している。配送範囲は、往復で約100kmの能勢町まで運んでいる。
 吉田社長はコロナウィルス感染拡大防止による緊急事態宣言の影響を次のように話した。
 「約60名が製造部門に携わっているが、現在は1日平均3名程度の出勤で稼働している。当初、3月末で収束すると思っており、春休みの前倒しだと考えると年間計画には大きな影響がないだろうと思っていた。学校給食パン納入業者は毎年、春・夏・冬の長い休みを利用して機械設備や建物の集中点検・補修期間に当てているため、その時期が若干早く来たとだけだと思った。ところが、新年度の予定が伝えられないまま4月7日に5月6日までの緊急事態宣言が発令され、4月の全面休業を余儀なくされた。通常ならば、年度始めに社員全員によるミーティングを行い、1年間の士気を高め、安全衛生の重要性を再認識して翌日からの業務に臨むのだが、今年は全員ミーティング前日の4月7日に緊急事態宣言発令となり、病院や保育所などの製造のみという寂しいスタートになった。3月中にはメンテナンスや大清掃が完了していたので、必要最小限の人員での稼働となり、非効率な製造計画を立てざるを得なくなった。事務部門は交代で週に1〜2日、配送部門は週1日の出勤体制にしている」
 戦後の食糧難からパンの学校給食が始まり、日本におけるパン食文化は飛躍的に発展し、数年前には米の消費量をパンが上回った。パン食文化の定着を振り返ると、学校給食パンの及ぼした影響は大きな功績であったが、将来、学校給食パンを基軸にパン産業は発展を続けられるのかという質問に対し、吉田氏は次のように答えた。
 「子どもの時にパンの美味しさを知ることは、将来において大きく影響する。『三つ子の魂百まで』ということわざのとおり、パン産業にとって絶対に必要なことだと考える。学校給食でのパンの提供は、週に2回が黄金比率だと思うので、早期に全国で達成したい。味の嗜好は、1〜2年で大幅に変化するものではない。20〜30年という長いスパーンで考える必要がある。全粒穀物が食物繊維を摂取する上で、極めて有効だと言われており、全粒粉や全粒穀物、雑穀入りのパンは、食品産業の永遠のテーマであるヘルシーという観点から挑戦したい気持ちはあるが、先ず、グリホサート(残留農薬)問題、通常のパンに比べ美味しくないと思うのではないかというだけではなく、異物混入と認識されることを恐れている」
 大阪府学校給食パン・米飯協同組合は、全大阪パン協同組合との共催で毎年「パングランプリ大阪」を開催している。同組合の部門テーマは「学校給食パン」。毎年、多くの作品が寄せられ、2019年度は同社塚本裕樹氏の「オレンジクロワッサン」が最優秀賞・大阪府知事賞(グランプリ)に輝き、審査委員長から「子どもたちが楽しく食べ、かつ成長を促す素材がしっかりと組み込まれた提案だった」と評価された。
 パングランプリ大阪は、優秀な成績だが府内各市町から新メニューとして採用されることは少ないという。  「学校関係者に対してコマーシャルする機会が少ないことが最大の要因。また、学校給食会が調達できる材料に限るという制限があるため。パングランプリ大阪の場合、10〜11月に審査会を催し、新年会で発表・表彰されるが、それに先駆けて毎年7月後半、当組合と大阪府学校給食会が栄養士を対象にパンと米飯の展示試食会を開催し、新作パンなどを披露する。その場にパングランプリ大阪の作品が出品されることは少ない。コンテストと展示試食会は関連性を持たせなければいけないと思うので、コンテストの在り方を再検討しなければならない」と吉田氏はいう。
 展示試食会向けの新作パンは出品者も多く、子どもたちに美味しいパンを食べさせたいというモチベーションが上がるようだが、パングランプリ大阪にも、その勢いで積極的に挑戦し学校給食会からの採用確率を向上させてほしいと感じた。
 吉田氏は、今後の会社と学校給食の展望を次のように述べた。
 「会社と学校給食は切り離すことができない。学校給食の安定維持こそが会社の明るい将来像に繋がっている。大阪府では、中学校給食をどのようにして取り込むかが課題で、現在選択制の学校でもいずれは全員喫食になると予測している。全員喫食になるタイミングが一つのターニングポイントだと思っている。大阪市は、令和元年度を最終年度とし5年間かけて小学校と同じスタイルの給食を提供するようになった。従って、週に2回パン給食が実施されており、米飯の自校炊飯も少なく、毎日市内のどこで当組合員が提供した給食が食べられている。そのスタイルの実現が府内に拡大することを当面の目標にしている」

【吉田M】
〒561-0894大阪府豊中市勝部1-2-32
TEL06-6841-3456(代)、FAX06-6845-0981
▽主要業務=学校給食用パン製造及び米飯、一般市販用パンの製造、ファーストフード事業
▽従業員=約70名
▽主要納入先=豊中市・池田市・吹田市・茨木市・守口市 ・高槻市・寝屋川市・摂津市・能勢町・豊能町各小学校、支援学校、保育園・こども園・障害福祉施設、川西南中学校・川西中学校、医療法人北斗会さわ病院・国立循環器病研究センター等病院施設

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工場外観

オレンジクロワッサン