学校給食を考える 7

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再開した学校で給食?
自治体で割れた対応
 大阪府内の公立学校は6月1日から授業を段階的に再開したが、子どもたちに給食を提供するか、自治体によって対応が分かれた。新型コロナウイルスの影響で給食は出すものの、量を抑えた自治体もあった。15日の通常授業再開に合わせて給食を始めるところも多かったという。
 大阪市は1日から給食を再開したが、12日まではパンと牛乳、おかず1品という簡易なものにした。児童・生徒を2班に分け、午前と午後に時差登校させた。給食の時間を班ごとに2回にずらさなければならず、食品衛生上、従来通りの品数を出すことができなかったという。市教育委員会の担当者は「できる範囲で給食を提供したいと考えた」と話した。
 岸和田市や豊中市なども、メニューの品数減や主食を個包装のパンに変更するなどして1日から給食を再開。
 富田林市では、中学校は1日、小学校は2日から通常の給食を再開。12日まで時差登校ではなく、半数ずつが1日おきの登校にしたため給食を2回に分ける必要がなく、通常通りの品数を提供することができた。再開に当たっては、机の間隔を1m以上空け、子ども同士が向かい合って会話しないよう各校に通知した。
 堺市は1日から時差登校を始めたが、給食の提供は見送った。感染収束の先行きが見通せない中、食材を事前に準備することが難しかったという15日から給食を再開するが、はじめの数日間はパンと牛乳、おかず1品にとどめ、徐々に通常通りに戻すという。

給食を提供する納入業者が疲弊しない体制を
 全日本パン協同組合連合会監事、岡山県パン協同組合理事長でエラヤ食品工業M代表取締役の妹尾光雄氏は、新型コロナウィルス感染拡大防止による影響を次のように話した。
 岡山県は、安倍首相の3月2日から春休み終了時まで全国の公立小・中学、高校を休校にするという宣言以降に影響が出た。それまで県内の発症例がなく、北海道や首都圏では休校する学校が出てきていることから、いずれ岡山県にもその影響が及ぶだろうと覚悟をしていたが、突然の全国一斉休校に驚いた。
 3月は給食ゼロのため100%減。4月8日から一部地域で分散登校が開始されたが、約2週間で全国に緊急事態宣言が発令され再び休校となったため、4月は対前年比の約40%に落ち込んだ。その後、5月28日まで緊急事態宣言が続き、5月は約8%の売上しか上げられていない。
 3月の学校給食費返還事業等は、文部科学省が全国学校給食会連合会を通して通達していることから、支給されると思っている。6月に入りようやく正式な請求書を学校給食会に提出したが、入金は未だされてはいない(6月18日現在)。他県では、学校給食費返還事業等の支給に対し否定的なところもあると聞いているが、岡山県学校給食会ではどの行政単位でも反対意見が出ていないようだ。しかし、年度が改まった4・5月は、新たな地方創生臨時交付金に変わり、同制度の活用例に沿って行政と個別交渉しなければならないため、ほぼ交付金請求ができないだろうと思っている。
 6月1日から通常登校に戻り、コロナ以前の状態になった。6月は学校行事がすべて中止になっており、全日授業のため対前年比では100%を超える。倉敷市の場合、夏休みが8月1日から3週間に短縮されるので、7・8月も6月と同様に100%を超える見込み。それらを併せると、4月に減った分程度は取り戻せると思っている。そう考えると、5月分を地方創生臨時交付金で賄ってもらうことで、ほぼ年間の収入が得られることになる。
 6月1日の学校給食再開に当たり、学校給食会から特別な要求が提示されていることはなく、従来通り「学校給食における食の安全と子どもたちの健康」を保持が最大の条件とされている。
 学校給食制度の問題点は、例えば、民営ならある程度相手を思い遣る意見交換が可能だが、決定事項としての要求ができるかできないかの二択。できないと答えれば、その分の仕事は他社に取られ、できると答えるとどれだけ損をしても補填もなく継続しなければならないこと。炊飯センターの新設がその最たるもので、何十年もの納入実績があるにもかかわらず、行政の都合だけで収入が「0」になる。納入業者とその家族が、以降の生活をどのようにするかなど考慮されないこと。
 全パン連給食委員会や学校パン給食推進協議会では、パン給食を週に2回にするという目標を掲げた活動がなされている。週2回のパン給食は望ましく、実現すると納入業者にとって有難いことだが、実現への課題も多く存在している。長い時間をかけて週に1回の生産体制の構築と利益の出る仕組みを作り上げてきたが、平均して倍の食数を製造するためには、設備・人員を抜本的に見直さなければならず、すぐには対応できない。  前述の炊飯センター新設で、米飯がなくなることにより、パンとの併用で企業として成立していた納入業者が、パンだけでは到底採算が取れなくなり、パンも提供できなくなってしまう。その構造を教育委員会が理解していない。究極は、全都道府県に対応できるパンと炊飯のセンター工場を設立し、必要な時に必要な数だけを取りに行くという製造方式が考えられるが、配送はさらに大きな問題として残る。
 給食事業の今後の展望を次のように述べた。
 児童数は今後も減り続ける。児童一人に対する重みは益々大きくなるため、一人一人により安全で、より美味しい給食を届けることが第一。それと、給食を提供する納入業者が疲弊しない体制を実現してもらうこと。今後も給食事業から撤退する業者が増えると予測しており、1社当たりの受け持ち食数は増加すると考えられる。
 主食・副食の総合給食センターは、5000食が目安になるような気がしている。5000食を超えると、副食を製造するのに大きなエネルギーを要し、主食の炊飯に手が回らなくなるようで、5000食の米飯給食を受け持っている会社は、総合給食センターが仮に新設されても仕事がなくなるようなことはないと考えられる。

【岡山県パン協同組合】
〒700-0927岡山県岡山市西古松2-9-7
TEL086-243-7701、FAX086-243-7702


世の中の流れに併行する学校給食に
 全日本パン協同組合連合会理事・ブロック長、香川県パン協同組合理事長で(有)へんこつパン代表取締役の森嗣喜氏は、新型コロナウィルス感染拡大防止による影響や学校給食の在り方について次のように話した。
 学校給食は、パンのみを製造している。週に2回のパン給食が原則だが、実際には概ね1.6回。センター方式に切り替わってから食数が減った。センターでは、パン製造ができないため、米飯への移行が進められており、週に1回のパン給食が提示されている。
 香川県は、7社で全県の学校給食を提供している。香川県パン協同組合には学校給食を提供していない組合員もいるので10社。ピーク時には70社が加盟していた。
 ようやく6月から平常時に戻った。5月は最終週だけが分散登校になった。3月2日の安倍首相宣言で春休み終了時まで全国の公立小・中学、高校が休校になった。文部科学省は、全国学校給食会連合会を通じて学校給食費返還事業等を通達し、申請手続きを経て遅くても7月初旬には請求金額に相当する額が振り込まれる予定。しかし、4・5月分の地方創生臨時交付金については5月28日に要望書を提出したが、県職員から「要望には応えられない」という連絡が入った。再度6月17日に要望書を提出し、パン産業議員連盟に属されている参議院議員に電話で直接願い出ている。期待どおりの結果が出るとは思えないが、何らかの形で交付金が支給されると思っている。
 会社の売上構成比が学校給食2、市販(卸)8で、学校給食だけではなく市販パンにも影響が及んでいるため3〜5月で約50%減。しかし、学校給食だけで会社が成り立っている会社は3カ月間ほぼ収入0で窮状極まりないと察する。何とか全国的な温度差を少なくして3〜5月の交付金を支給していただきたい。
 学校給食パンでは、塩分が問題視されている。香川県は以前、2%だったが1.8%になり去年まで1.7%、今年から1.6%になっている。1.6%が美味しさを担保する限度だと考える。学校給食で味気のないパンを提供すれば、パン離れに繋がる。市場には「塩パン」などに人気が集まり、リテイルベーカリーでは競って塩パン系商品の開発に力を入れている。パンの提供回数減と重ね合わせると、学校給食の世界は世の中の流れに逆行しているように思えてならない。毎日食べる訳ではないので、バラエティー豊かなパンを提供する方が良いと思う。
 少し前までは、各県学校給食会の方針を自治体が受け入れていたが、最近は自治体が意のままに動き、学校給食会との連携に変化が生じているように感じる。とは言っても何か問題が起こると制度に沿って処理されてしまう。
 コロナによる給食休止を例に挙げるならば、交付金は国から県に支給され、県の裁量で市町村の企業に振り分けられると思っていたが、国が企業への交付金を決定してその総額を県に支払うという構造だと聞いた。従って、学校給食が始まった頃の契約形態や経緯はほとんど加味されていない。給食を提供する側から言えば、正確な歴史的背景を理解し、然るべき措置が取られていなければならないと思っており、正しい共通認識を持たなければいけない。
 今後の給食事業として必要なことは、前日焼きを早期に実現してさらなる安定供給を図ること。また、地産地消を積極的に実践し、原則週2回のパン給食を守ること。

【香川県パン協同組合】
〒760-0049香川県高松市八坂町2-20
TEL0878-21-4450、FAX0878-21-4450

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