木もれび 第80話
M木輪  芳野栄氏
継続は克己なり

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 『継続は力なり』という言葉があります。一つのことを継続することで、大きな力が生まれるということだと思いますが、そうは言っても一つのことを継続することはとてもむずかしいことです。
 私が一つのことを継続できるようになったきっかけは、息子が大学に通っていた四年間、帰省している時をのぞいて、息子へ毎日一枚のハガキを書き続けたことです。お店のことや家庭のこと、世の中のできごとに対する私の考え方などを書き続けました。その枚数は四年間でちょうど千枚に達しました。四年間書き続けた結果、「自分もやればできる」という自信が心にわいてきたのを覚えています。その時期と並行して書き続けていたのが『木々のささやき』という個人紙です。毎月感じたことを書き続け、現在三五五号となりました。創業以来書き続けていますが、当初は不定期に、そして平成六年より毎月一回書き続けるようになりました。現在まで二十七年間近く続いたことになります。
 ここまで継続できた秘訣は何だろうと考えてみますと、まず自分の心を強くしたいという思いが強くあったように思います。それまでは何をやっても続かない、そこには気まぐれな心、弱い心がありました。経営をおこなっていく中で、自分の心を本気になって鍛え強くしないと何も成就できないという危機感を感じていました。息子へのハガキは毎日です。一人の人に毎日書き続けるのは、とてもむずかしいものでした。書くための話題や感動を毎日求め続け、日々自分自身を変化させ続けました。そして、その時の思いを書くようにしました。ときに、つらい日々もありましたが継続することで私の感性のアンテナが磨かれ、継続するにしたがって書くことの苦痛から少しずつ解放されていったように思います。
 継続できている秘訣の二番目は継続することの大切さを真に理解できたこと、つまり『継続は力なり』という言葉の意味が理解できたことです。継続することが多くなるにつれ会社の業績にも良い変化があらわれはじめました。このような変化があらわれると、何事も継続しないわけにはいかなくなります。
 そして三番目は継続している中「ここでやめてしまってはこれまでの自分の努力が無駄になってしまう」とこれまでの自分の努力を無駄にしたくないと強く思ったことです。これまで継続してやってきたことは、中途半端などうでも良いようなものではない。真剣に取り組んできたはずだという思いがありました。以上のようなことで継続することについての抵抗がなくなり、一つのことを続けることできるようになりました。
 継続していると途中でいろいろな誘惑にかられます。その誘惑をはね返す強い心ができ上がるまで、一つのことを継続するのは大変なことだと思います。『継続は力なり』という結果を得る前に『継続は克己なり』。つまり自分の弱い心に克つことが求められると思います。
 継続することの大切さを述べた言葉に『継続は本気さの証明』という言葉もあります。また『本物は続く、続けると本物になる』という言葉もあります。継続したあとに自分にどんな変化があるのだろうか、どんな新しい発見があるのだろうか、遠い将来に思いを馳せて、まず身近なやさしいことから「今日一日だけやる」の連続にチャレンジしてみませんか。

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