エラヤ食品工業 〈岡山県倉敷市〉
学校給食における食の安全と子どもたちの健康を護る

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妹尾社長

パン工場全景

パン工場入口

 エラヤ食品工業M(妹尾光雄社長)は、会社の安定的継続を揺るぎなくするため市販パン市場から撤退、学校給食のパンと米飯に絞り込んだ。その後、構造改革が順調に推移し、学校給食に特化した業態を堅持している。

 妹尾氏は会社の歴史と沿革を次のように語った。
 会社の設立は1953年(昭和28年)4月。当時、すでにパン製造事業を行なっていた。元々弊社は、製麺業(うどん)を生業としており、工場の軒先で麺を食べさせる店舗を営んでいた。はっきりとした記録が残っていないため定かではないが、1887年(明治20年)頃には玉島の地で商売を始めていたらしい。玉島地区の歴史を綴る文献では、明治20年の頁に弊社の屋号看板が入った挿し絵が掲載されており、それ以前から製麺所直営のうどん店を開業していて人気を博していたと推測できる。会社の歴史は、1887年から起算すると百年は有に超え、法人化後でも67年になる。現在はカタカナで「エラヤ」だが、漢字では「江良屋」。江良とは地名で、現在でも「岡山県小田郡矢掛町江良」という住所が存在し、その江良から小麦などの原材料を仕入れていたため屋号とした。従って「北海道産小麦の〜」と同様に産地から連想するイメージを屋号に抜擢したものと思われる。法人化後もしばらくは「江良屋」を名乗っていたが、エラヤ食品工業Mに社名変更した。
 製パン業は、戦後の学校給食パン導入にあわせて多角化を図り、パン業界に参入。学校給食パンと市販パンの両輪で事業を進めた。学校給食パンは当時増加傾向で、スーパーマーケットでの市場拡大が相まってパンの増産が相次いだ。しかし、市販パンは、スーパーマーケットをはじめ街の小さなパン販売店の市場がCVSに移行し、売上構成比が見る見るうちに低くなった。また、病院や工場内の売店等にも卸していたが、先の見通しに不透明感を感じるようになった。
 一方で製麺業は、取引先である従来からのうどん店が大部分を占め、市場が急激に縮小して売上が低下していったため約20年前に辞め、現在も取り扱っていない。
 2004年(平成16年)4月、すべての市販パン市場(卸含む)から撤退し、学校給食のパンと米飯一本に絞り込んだ。
 学校給食の専業化には、様々な予測と好転見通しを感じたという。
 先ず、学校給食を提供する同業者が後継者不在等を理由に廃業が相次ぐが、地域の業者いずれかが提供しなければならないことから、受け持ちが増えたこと。先代社長(光雄氏の父)が岡山県パン協同組合理事長時代から、廃業を余儀なくされる同業者を予測できたこと。1989年(平成元年)には組合員59社であったが現在12社。学校給食の食数は、事業開始当初から2500食程度で長く続いたが、徐々に廃業・撤退が進み7000食にまで達し、そうなると市販パンが思うように製造できなくなり、人員や設備の効率化を勘案して学校給食一本化を決断したという。
 「当時、正社員は17〜18人だったが3人にし、あとの必要人員は全てパート・アルバイトに切り替えた。構造改革には約1年半を要したが、利益が生み出せる体制にできたと思っている。完全に学校給食の主食だけで経営が成り立っている会社は全国でも珍しい。家賃を支払う必要がなく、減価償却済みの機械設備と最小人数での製造でしか採算は取れないと思う」と妹尾氏はいう。
 妹尾氏は、2002年頃より構造改革に関係する全取引先を訪問して、会社変革の理由と趣旨を説明して理解を求めたという。将来像が描けているとはいえ、売上のおよそ半分を失うことに対し、金融機関の理解を得るまでには長い時間を要し、事業計画書も幾度となく見直した。5年ほど前から予定していた利益がでるようになり経営が安定してきた。現状では、給食がなくならない限り順調に推移するものと考えられるそうだ。パン給食の比率は、倉敷市が最も多く週に1.5回。岡山市は週に1回。県北部などは月に2回。
 工場設備としてパン工場には、リールオーブンをメインにミキサーなどの機器類。リールオーブン(36枚さし)の生産能力は、1千食/時間。炊飯工場には、4升炊きガス炊飯器を24台並べて連続炊飯している。曜日によって多少の食数・比率変動があるものの、パン・米飯ともに毎日あって1日の平均は合計約12000食。  「以前は、市販パン用と学校給食米飯用でトンネルオーブンが2基あった。米飯給食の危険性は学校炊飯。また、市町村合併により給食センターが新設され炊飯ラインが導入されると、その瞬間に米飯の提供がゼロになる。しかも、その瞬間は突然やってくる。パンと米飯で均衡を保っていた業者から米飯がなくなり、パンは従来通りの提供を求められる。そのことが原因で廃業・撤退に追い込まれている」と妹尾氏。
 約15年前に大きな方向転換を行い、学校給食に特化した業態を堅持しており、同社にとって『学校給食における食の安全と子どもたちの健康』は、社是・社訓を超越したキーワードとなっている。
 妹尾氏は、将来の会社展望を次のように述べた。
 会社が目指す方向性は、今も将来も不変的に『学校給食における食の安全と子どもたちの健康』。働く者全員が「子どもが口にするもの」という意識を持っている。このような分かりやすい展望は、学校給食がある限り継続し、変わるものではない。

【エラヤ食品工業M】
〒713-8102岡山県倉敷市玉島1595-1
TEL0865-26-6655
▽業務内容=学校給食用製パン・炊飯製造
▽従業員=22人
▽アクセス=JR山陽本線新倉敷駅より車6分

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炊飯釜

パン工場内部

炊飯工場内の様子