第11回辻静雄食文化賞
千葉県いすみ市と小林寛司氏に栄冠

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 公益財団法人辻静雄食文化財団(辻芳樹代表理事=辻調理師専門学校校長)は、食分野の教育と研究に生涯を捧げた辻調グループ創設者・辻静雄の志を受け継ぎ、2010年に「辻静雄食文化賞」創設。このほど「第11回辻静雄食文化賞」の受賞作品・受賞者が決定した。8月4日に東京都港区の八芳園で、贈賞式を開催する予定だったが、全国的に新型コロナウイス感染症拡大の状況を鑑み、中止することに決定。代わりにweb会議システムZoomを用い、オンラインで贈賞式を実施した。

 同賞は、我が国の食文化の幅広い領域に注目し、よりよい「食」を目指して目覚しい活躍をし、新しい世界を築き上げた作品、もしくは個人・団体の活動を対象に選考し賞を贈るもの。また、特別部門として専門技術者賞を設け、調理や製菓等の現場で活躍する技術者を顕彰している。
 第11回辻静雄食文化賞の本賞には、社会的課題の解決を図りながら農業を振興し、地域の食文化を豊かなものにするモデル的取組みが高く評価された千葉県いすみ市有機農業による地域の食文化の創成が、専門技術者賞には、地方を拠点に、畑で野菜栽培を行いながらレストランを経営し、季節とともに変わる畑を厨房と一体化させることによって独自の料理を構築している「villa aida」オーナーシェフの小林寛司氏が選定された。

◆第11回辻静雄食文化賞
千葉県いすみ市 有機農業による地域の食文化の創成
《受賞理由》
 地元の有機栽培米を学校給食に使うことによって、よりよい食をめざす活動が、生産者と消費者双方に無理のない形で持続的成果をあげている。地方自治体が主導して人々の意識をゆるやかに変え、社会的課題の解決を図りながら農業を振興し、地域の食文化を豊かなものにするモデル的取組みとして高く評価された。
《作者と作品》
 千葉県の東南部に位置するいすみ市。行政と住民が協力して、生物多様性を軸とした環境保全の町づくりに取り組む。2013年に始めた有機米栽培は年々規模を拡大し、子どもへの安心安全な食の提供を目指して給食に導入。2018年、全国でも例のない全量有機米使用の給食を実現した。食農教育を行い、環境に配慮した農産物をブランド化するなど、持続可能な産地経営の実現と有機稲作による農村の環境再生を志し、将来の世代へと続く循環型社会形成の機運を醸成している。

◆第11回辻静雄食文化賞専門技術者賞
小林寛司氏(villa aida オーナーシェフ)
《受賞理由》
 地方を拠点に、畑で野菜栽培を行いながらレストランを経営し、季節とともに変わる畑を厨房と一体化させることによって、独自の料理を構築したことが高く評価された。芸術的感性で錬磨されたその表現世界は、食べる人に深い感動を与える。これからの時代に料理を志す人にとっての大きな指針となり、勇気と希望を与える存在といえる。
[villa aida(ヴィラ アイーダ)、〒649-6231和歌山県岩出市川尻71-5]

◇第11回辻静雄食文化賞選考委員会
委員長:石毛直道氏(国立民族学博物館名誉教授、文化人類学者)
委員:辻芳樹氏/鹿島茂氏(フランス文学者)/湯山玲子氏(著述家、プロデューサー)/福岡伸一氏(青山学院大学教授、分子生物学者)/西山嘉樹氏(元文藝春秋編集者)/八木尚子氏(辻静雄料理教育研究所副所長)
◇同小委員会
委員:犬養裕美子氏(レストランジャーナリスト)/門上武司氏(「あまから手帖」編集顧問)/君島佐和子氏(「料理通信」編集主幹)/柴田泉氏(フードジャーナリスト)/戸田顕司氏(日経BP社経営メディア局長補佐)/長沢美津子氏(朝日新聞編集委員)/西山嘉樹氏(元文藝春秋編集者)/山田健氏(サントリーホールディングスMCSR推進部チーフスペシャリスト兼サントリーグローバルイノベーションセンターM水科学研究所主席研究員)/淀野晃一氏(「月刊専門料理」編集長)/山内秀文氏(辻静雄料理教育研究所元所長・顧問)/八木尚子氏

 贈賞式には、受賞者のほかに辻芳樹氏、石毛直道氏、門上武司氏が登壇した。

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有機農業による地域の食文化の創成

小林寛司氏