P長田製パン工場〈宮崎県宮崎市〉
後ろを向かず前向きに物事を捉える
次々世代にパンの面白さを伝える

BACK

 

 

工場内の様子

店舗内の様子

メロンパン

 P長田製パン工場(長田寛社長)は、1951年4月に現社長の父が創業。学校給食が始まった1975年頃から給食事業に参入した。工場敷地内には、リテイルベーカリー「nagata pan」を有し、創業期から製法を変えない「メロンパン」は現在も人気No.1を堅持している。

 長田社長は1947年生まれ。東京の大学を卒業して帰郷し、同社に入社。P長田製パン工場を継いだ。
 「宮崎県の学校給食は開始が遅く、小学校の米飯給食の開始と同時に中学校のパン給食が始まったと記憶している。小学生の頃は、パンと副菜の給食ではなく、弁当持参で脱脂粉乳が提供される程度の給食だった。さらに遡って幼少の頃は、自転車にリヤカーを連結してパンを載せ、売りに行っていた父の姿を覚えている」と長田氏は黎明期の学校給食と同社を振り返った。
 同社は、宮崎市の北部佐土原町に位置する。佐土原町は2006年1月1日、 他2町とともに宮崎市へ編入され、合併特例区「宮崎市佐土原町」になった。現在は、先端産業が集積する工業の町と宮崎市のベッドタウンの顔を併せ持つ。
 事業構成比は、学校給食が約80%、市販(リテイルベーカリー「nagata pan」と一部高校の売店)が20%。卸等は取り扱っていない。
 学校給食は、北の都農町から宮崎市の大淀川から北の範囲の小・中学校に納入している。
 市販パンのコンセプトは、出来立て、焼き立て。ロングセラーのメロンパンは、横に胴割りしてバタークリームを塗る。配合も製法も創業期から変えていない。売れ筋商品は、メロンパン、菓子パン類、サンドイッチ、調理パン。揚げパンや食パンもよく売れる。カレーパンは辛い方が人気。
 コロナ禍でHACCPが制度化になった。予定では2021年6月に義務化になる。長田製パン工場での対応について「最も頭を抱えている難問。学校給食事業を主軸に行なっているので、宮崎県製パン協同組合の組合員と相談をしながら、保健所の指導を受けながら、取り組まなければいけない。佐土原町商工会会長を拝命していることから保健所との付き合いも長く、連携を密にして全組合員が取得できる方法を考えたい。基本的には、全日本パン協同組合連合会の手引書に準拠して進める。製パン業者は、規模の大中小が様々で、私たちの規模では大手と同じ衛生管理基準ではハードルが高過ぎる。実情に則したHACCPに取り組みたい」と述べた。
 コロナウィルス感染拡大防止の影響はそれほどなかったという。
 「一時的に来店客が減ったが、すぐ普段に戻った。持続化給付金などで、マイナス分は補えている。最低限のマスク着用や手洗い・うがいの励行、全商品の個包装化を実施している。緊急事態宣言下での対応よりも、withコロナをどのように過ごすかの方が重要で、コロナの感染状況を把握しても商売が上手く行く訳もなく、後ろを向かず、常に前向きに物事を捉えようと思っている」と長田氏。
 学校給食をメインに小規模のリテイルベーカリーを営んでいる業態で、新規事業への着手や新商品開発に力を入れても差別化は難しいと言い、同社では人材の育成に力を入れて明るい将来を構築したいとしている。
 そのようなことから、長田氏は次のような将来展望を語った。
 「息子の3代目が確定しており、現在は製造部門の責任者に就いている。若い世代の考え方を経営面で発揮することにより、私が想像もしない道が拓けると確信している。今後のことは全て息子に託したい。次々世代の孫をどう鍛えるか、パン製造業の奥深さと面白さをどうして伝えるかが私の人材育成だと思っている。少子化がさらに進み、同業者の存続が難しくなると、1社が受け持つ学校給食のテリトリーが拡大することが想定されるため、どのように対応するかを念頭に置かなければいけない。私の代では、多店舗展開などの野心はなく、事業継承を考えている5年先に繋がる基盤整備を着実に進めようと思っている」

【P長田製パン工場/nagata pan】
〒880-0211宮崎市佐土原町大字下田島9199
TEL0985-73-0046、FAX0985-73-0899

新聞最新号へBACK

店舗・工場外観

店舗スタッフ