木もれび第85話
M木輪 芳野栄氏
感謝の気持ちを伝えよう

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 平成二十九年度から、社員の誕生月にはそのお祝いとして、それぞれに少額ですが『お祝金』を支給するようにしました。少額ですので充分ではありませんが、自分を産み育ててくれた両親に、感謝の気持ちを伝える足しにしていただきたいという思いからです。ですから『お祝金』というより『親孝行補助金』といった方が良いのかも知れません。
 十七年前に母を亡くして以来、もし母が存命なら私の誕生日に「心から感謝の気持ちを伝えたいなあ、自分の現在の姿を見せて安心させたいなあ、喜んで欲しいなあ」と思ってきました。「親孝行したい時に親はなし」と言われますが、社員にはそうあって欲しくありません。両親が健在な今、誕生日には「産んでくれてありがとう」という感謝の言葉とともに、その感謝の気持ちを行動で示して欲しいと思っています。そのようにすることで両親も大人として成長したわが子に、喜びを感じるはずです。
 半年間のうちに11人の社員がそれぞれの誕生日に両親へ感謝の気持ちを伝えてくれています。ありがたいことです。その報告を読ませていただくと、誕生日は、これまで自分を産み育ててくれた両親に感謝する日だということ、さらに両親に感謝し、安心させ、喜ばせてあげることが何よりの親孝行であることを体験できたことが伝わってきます。
 社員は、自分の誕生日が近くなると、まずどのようにして両親に感謝の気持ちを伝え喜ばせようかと心を動かし始めます。ありきたりでなく、一工夫も二工夫もして。両親の喜ぶ顔を思い浮かべながら…。すでにこうしたことが感謝の気持ちのあらわれだと思います。
 ある社員は、両親へおそろいのスマホケースをプレゼントしました。おそろいのケースに両親は恥しさを感じながらもとても気に入ってくれた様子がその報告書に綴られていました。両親のほほえましい光景に私もとても幸せな気持ちになりました。両親のほほえましい光景は他の社員の報告書にも綴られていました。両親に「おとうさん、おかあさん○○年間ありがとう」とプレートに書いたケーキをプレゼントし、ろうそくに火をともし両親で一緒にろうそくの火を消してもらいました。二人とも照れくさそうでしたが、とても嬉しそうでした。また母の料理の中で私が好きだった料理を、今度は自分がつくってあげて両親とともに食べ、懐かしい味に舌鼓をうち、幸せな時間を過ごした社員。
自分や兄たちの出産時の大変だった話を両親から聴き、普通であることが一番ありがたいことだと気づいた社員。結婚し、出産し、子育てをこれまで一所懸命やってきたが、今回のことが、両親のことや両親のありがたさに感謝できるきっかけになった社員もいました。さらに、両親への感謝の気持ちをしっかり言葉にして伝えることで、子どもから大人へと心の成長を遂げてくれた社員もいます。
 自分の誕生日を自分が祝ってもらう日ではなく、両親へ感謝の気持ちを伝える日だと決め、行動していくことで自分や両親はじめ周囲の人々の心の中に幸せの種まきができていることを実感させざるを得ません。種から芽が出、美しい花を咲かせて欲しいと心から願っています。
 社員はじめ社員の両親や周囲の人々の幸せを願い、これからもこうした幸せの種まきを続け、社員が幸せを実感できる会社づくりを目指してまいります。

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