第30回カリフォルニア・レーズンベーカリー新製品開発コンテスト
大賞はフジパン高藤いりえ氏、ポンパドウル井手優佑氏

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 カリフォルニア・レーズン協会(ジェフリー・マクニール駐日代表)は6月10・11日の2日間、アメリカ大使館後援、一般社団法人日本パン工業会・全日本パン協同組合連合会協賛の下、東京都江戸川区の日本パン技術研究所で「第30回カリフォルニア・レーズンベーカリー新製品開発コンテスト」の最終審査を開催、大賞2名を含む合計11名の入賞者を決定した。審査終了後には、江東区のホテルイースト21東京で表彰式を執り行った。

 同コンテストは、カリフォルニア・レーズンを使った新製品の開発とその商品化を目的に、製パンに携わる全ての技術者を対象に同協会が実施しており、今回で30回目となった。
 「長く愛されるアイデア溢れるレーズンパン」をテーマに「量販/インダストリーベイク/ベイクオフ製品部門(工場生産し完全包装で販売する作品とベイクオフ・QBD製法で生産し販売するパン)」と、「オールスクラッチ製品部門(店舗や工場でのオールスクラッチ製法で生産し販売するパン)」の2部門で作品を募集。全国から合計117作品の応募があり、第一次書類審査(5月17日/ベルサール飯田橋駅前)で選出された21名のファイナリストが最終審査に臨んだ。
 ファイナリストたちは、2日間に亘る計7時間以内に作品を製作し、作品の製作意図や特長などのプレゼンテーションを行った。その後、質疑応答と試食審査が行われた。審査は、マクニール駐日代表が審査員長を務め、製パン技術関係者6名が、レーズンの使い方、味のバランス、見た目、技術力や生産性等を総合的に評価した。
 審査の結果、量販/インダストリーベイク/ベイクオフ製品部門で、フジパンM高藤いりえ氏の「ミルキーレーズンにひとくち惚れ」、オールスクラッチ製品部門で、Mポンパドウル井手優佑氏の「Raisin feuille(レザンフィーユ)」がカリフォルニア・レーズン大賞に輝いた。大賞2名を含む11名の入賞者には、楯と副賞としてカリフォルニア・レーズンの故郷「カリフォルニア州フレズノへの研修旅行」が贈られた(2023年催行予定)。
 入賞者は次のとおり(敬称略)。

〈量販/インダストリーベイク/ベイクオフ製品部門〉
▽金賞=藤井恵(フジパンM)「レーズンとチーズのキャラメリゼ〜オレンジの香りとともに〜」
▽特別賞=山本咲耶(山崎製パンM)「ガトーショコラ ラムレーズンサンド」、二階堂桃花(敷島製パンM)「恋するレーズン〜酸味とのマリアージュ〜」
▽ファイナリスト=西川志穂(M神戸屋)「カマンベールレザン〜チーズと果実の出会い〜」、城所聡(Mオールハーツカンパニー)「フォンダンショコラ・レザン」、高木咲恵(M神戸屋)「レザンホワイト〜アップルビネガーとはちみつ仕立て〜」
〈オールスクラッチ製品部門〉
▽金賞=中野明人(Mドンク)「レザンエリブラン〜和の香り〜」、池田匡(ブーランジュリーグルマン)「Pain des raisins violet(パンドレザンヴィオレ)」
▽特別賞=吉田賢治(Mポンパドウルアソシエ)「エキゾチック・レザン」、田熊大幹(M神戸屋)「Trio de raisins」、田澤友希子(いまいパン)「泡盛珈琲Raisins」、小林健吾(M志津屋)「京抹茶のツヤヤかレーズン」
▽ファイナリスト=川和邦光(みなとパン)「レーズンとほし芋のライブレッド〜太陽と大地の恵み〜」、岡田昌樹(M満寿屋商店)「シャインレザン100」、相田綾(グルマンマルセM)「Meal fermented raisins(ミール ファーメンテッド レーズン)」、大西潤(HIJライブラリ)「南の島のレーズンBOX」、庵原那美(ラブレド)「ぐるぐるサンドレーズン」、山中祐史(Mオールハーツカンパニー)「レザンキャラメルサレ〜カリフォルニアの風を受けて〜」、小嶋慎一郎(ブーランジュリーグラムオム)「Pain aux raisins a la japonaise(パン オ レザン ア ラ ジャポネーゼ)」
 審査員は、第一次書類審査:川瀬幸司氏(服部栄養専門学校)・目黒誠一氏(ベーカリーコンサルタント)・梶原慶春氏(辻製菓専門学校)・伊藤常至氏(東京製菓学校)・佐藤淳氏(日本パン技術研究所)・安藤慎一氏(同)、最終審査:西村一雄氏(ベーカリーコンサルタント)・山崎豊氏(ベーカリーコンサルタント)・渡邉睦氏(同)・高江直樹氏(東京製菓学校)・伊藤快幸氏(辻製菓専門学校)・高家正史(全国パン専門新聞協会代表)。
 表彰式では、開催に先立ち、主催者を代表してマクニール駐日代表が次のように挨拶した。
 カリフォルニア・レーズンベーカリー新製品開発コンテストは、今年で開始してから30年目に節目を迎えた。この間、5000件を超えるレシピの応募があった。当コンテストの受賞者の中には、クープデュモンドやibaCUPといった世界的な一流ベーカリーのコンテストに日本代表として選出されている人もおり、大変嬉しく思っている。この場にいる人も、今後そのようなチャンスを得られることを願っている。
 新型コロナウイルス感染拡大防止の影響により、今年も困難な年になっている。今回のコンテストを実現するために、最終審査中もソーシャルディスタンスのガイドラインを遵守した。また、遠方からの参加者には、参加の決断をしてもらったことに当協会として深く感謝申し上げる。
 今回の最終審査に残った作品は、どれも優れたものばかりで、全国から参加したファイナリストたちの独創性と高い技術が反映されていると感じた。審査員の一人としてファイナリストは、全員が勝者であり、自身の才能を誇りに思っていただきたい。
 パン作りで名高い国をはじめ、世界各国を旅してきた私自身の経験からいうと、日本の製パン技術、ブーランジェの質は世界一だと思う。世界のどこを探しても、パン一つ一つの細部に目を配り、品質に配慮している国は日本以外にはない。
 最後に、優れた技術と素晴らしい作品を披露したファイナリストに重ねて御祝い申し上げる。全ての作品を試食審査でき光栄に思う。今後、益々技術を磨かれることを期待する。
 続いて、審査員が紹介され、ファイナリスト全員にゴールドメダルが授与された後、各賞が発表された。
 その後、最終審査総評を伊藤氏が次のように述べた。
 今回のコンテストは、ハイレベルな作品が多く完成度が高かった。内容は、僅差の戦いが結果に現れた。特に、量販/インダストリーベイク/ベイクオフ製品部門では、この製品が設定価格で提供できるのかということを審査員の口々から出ていた。コストパフォーマンスが非常に高く、かつ美味しいものばかりだった。また、オールスクラッチ製品部門は、食事パン系が多く素材の特長を生かしつつレーズンの味がしっかりと引き出されている作品が多く見受けられた。レシピを見て感じることは、第三者が再現できるという部分で、型のサイズや種の場合、市販か自家製なのかなどをしっかりと見直す必要がある。製品化されても短期間で販売終了にならないよう、沢山の人に末長く愛される製品に育ててほしい。
 表彰式終了後に催されたレセプションでは、審査員を代表して西村氏が乾杯の発声を行い開宴となった。
 宴中には、大賞受賞者2名へのインタビューも行われ、同協会の富山斎氏が「このコンテストが将来も継続でき、皆さんの後輩方がカリフォルニアに行けるようなり、レーズンを使った新しいパン製品が販売され、カリフォルニアのレーズンは日本市場になくてはならない環境にしていただきたい」と中締めの挨拶をして終了した。

【大賞受賞者インタビュー】
質問内容:@コンテストの挑戦は何度目かA作品のアイデアやポイントはB今後の目標あるいは夢は ◇高藤いりえ氏
@2回目。前回は最終審査まで進むことができなかった。Aレーズンの甘味やどのように旨味を引き出すかにこだわった。レーズンと相性の良いカスタードをどのように合わせるとレーズンの旨味が引き立つかを考え、具材を3パターン作りその中で最も良いと思ったものを作品とした。B作品をベストな状態で全国の消費者に食べてもらうこと。今後も自ら勉強することを忘れず、学びながら仕事に励みたい。
◇井手優佑氏
@3回目。一度も最終審査まで進めなかった。A髪の毛を切ってもらっている時に、前髪を見て葉脈を連想し、レーズンの葉をモチーフにした。試行錯誤を繰り返し作品の形状に辿り着いた。ポイントは、誰が作っても同じクォリティで大量生産できること。B数々のコンテストに挑戦したい。そのためには、食材や材料の使い方を研究し、パン職人として一歩ずつ確実に進みたい。また、自分の経験や技術を部下や後輩に継承することを目標にする。

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入賞者と審査員