 チアバッタ
|
 コンプレ スミ
|
グルマンマルセM(鈴木政裕社長)は5月16日、岐阜県不破郡のGURUMAN VITAL垂井本店厨房内で、フランスMOFディディエ シュエ氏を講師に迎え、GURUMAN VITALベーカリーキャンプ2023を開催した。
同講習会は、製パン・製菓のプロを対象にしたもので、バゲット トラディション アン フロワ、コンプレ スミとそのバリエーションなど8品が実演された。また16日10〜16時には、リモートによる映像配信や質疑応答も行われた。
オープニングミーティングでディディエ シュエ氏は「3年ぶりに日本に来て講習会ができることを嬉しい。日本とフランスはパンの食文化が異なるが、日本には素晴らしいパン製造の技術があり私自身も学びたい。今回はフランス的な考え方や技術を中心に皆と交流し、交換し合いパンの製造技術を高めたい」と述べた。
続けて鈴木社長が「今回の主旨は、パンの製造技術向上のほか、正しいパン文化を有するフランス人MOFと触れ合うことにより、最新のフランス事情を学ぶこと。有意義な一日にしてほしい」と挨拶した。
シュエ氏は、次のように最近のヨーロッパで注目されている小麦粉について述べた後、実演を始めた。
◇灰分の高い粉:ミネラル分が豊富で栄養価の高いヘルシーなパン作りのため。
◇国産・地元の粉:安心・安全、原点・伝統見直し、エコロジー・地球環境、スロフード・地産地消から。
◇無添加/改良剤の粉:身体に良い。粉が持つ旨味を酵素と長時間発酵で最大限に引き出すため。
◇石臼挽き粉:酸化が少なく、風味が良く、穀物が持つ栄養価をそのままに粉にでき、特徴的なパン作りができるため。
◇古代品種の小麦粉:品種改良がされていないため、粉の個性が強く風味豊かで、身体の消化に良く栄養価が高いため。
◇グルテンフリー/グルテンが少ない粉:小麦・ライ麦のタンパク質であるグルテンにより発症するセリアック病がヨーロッパで社会問題になっている中、グルテン量の少ない食品の需要が高まっているため。
◇有機・ビオ・オーガニックの粉:健康と地球環境(エコ)の面から有機栽培の食材が人気のため。[有機・ビオ・オーガニックとは、農薬や化学肥料を使わず、自然の力で栽培・加工する方法または生産物。環境を守り、次世代にも豊かな自然環境を託すことを目的にしている。毎日食べるパンやシリアル・乳製品、ベビーフードなどは特に人気が高く、ヨーロッパでは有機商品の消費量が年間約10%の上昇を続けている]
《フランスの製パン事情についての質疑》
▽フランスでもパンの消費量が減り量より質が重視されているようだが、消費者が求める商品はどのような傾向か?
A:栄養価の高いパン、健康志向のパン、グルテン量の少ないパン。全粒粉BIO、ライ麦パンBIOは特に売れている。グルテンフリー、糖質オフのパンの売上が伸びている。
▽日本では人手不足で苦労しているが、フランスの労働事情は?
A:労働環境を改善している。週40時間労働、週休2日、6〜7週間のバカンス(有給)など。それほど高くない給料でも良い労働条件なら人は集まる。高い給料でも過酷な労働条件だと人は集まらない。但し、現実は条件を良くしても人手不足は解消していない。
▽原材料高騰の対策は?
A:分割量や製品重量を正確に測るようにしている。バターの量を減らすことや商品の値上げ。
▽フランスの職人養成制度について、MOFの取得保方法と取得のメリットは?
A:1カ月のうち3週間が店舗で1週間は学校。16歳から2年間。給料ももらえ、学校の授業料は無償。MOFには予選と本選があり、それぞれに筆記と実技試験がある。実技の配点が高い。海外での研修機会が増えるが、自己達成欲の部分は多いが、銀行の信用度は変わらない。
▽フランスは2006年までパンの専門店数が減少したらしいが、それでもパン市場の約6割を専門店が占めていると聞いた。2006年以降は安定しているようだが、その背景は?
A:伝統的にパン専門店でパンを買う習慣がある。現在でも少しずつ減っている。
その理由は、若者がベーカリーをやりたがらない、銀行が若者に投資しないこと。ベーカリー経営者は後継者不在に悩んでいる。などが挙げられる。
前へ戻る