ダンマルシェ明石店〈兵庫県明石市〉
従業員が喜び愛する会社であること
1人当たりの生産性向上を実現する

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左から山本氏、雅章専務、上村店長

店舗内の様子

 M中市大福堂(中市浩嗣社長)は大正13年(1924年)に和菓子屋として創業した。以来、家庭で食することの美味しさ・楽しさを90年間創造し続けている。昭和60年には、ベーカリーショップ・ダンマルシェ1号店を西明石にオープン、現在12店舗を展開している。ダンマルシェ明石店は、JR山陽本線明石駅のステーションプラザ明石東館に位置する。JR明石駅は、兵庫県内のJR駅で1日の乗降客が約10万4千人と第3位を誇る。

 同社は平成8年、本社を現在の場所に移転、同時にP中市大福堂からM中市大福堂に改組した。
 「当社の創業は、ホームページや会社案内で大正13年としていますが定かではありません。昔は、厳格な届け出等がなかったようなので大正13年よりもう少し前だと言われています。私の祖々父が淡路島の洲本で和菓子屋を創業したのが始まりです。そして1966年、明石に本拠地を移しました。ダンマルシェを展開して28年になります。現在、中市大福堂は会社名で残っているだけで屋号としては使用していません」と取締役専務の中市雅章氏は同社の歴史を語った。
 ダンマルシェ(dans March氏jの由来は、中市という名字が市場の中という意味から、フランス語の〜の中にというダン(dans)と市場のマルシェ(March氏jを組み合わせたという。
 雅章専務は高校を卒業後ケーキ職人を目指したが、ダンマルシェの前身が近畿食品工業(現オイシス)のフランチャイズ店を明石市大久保に1号店を出店し、その店舗を手伝ったことがパンを手掛けるきっかけとなった。
 「当時は、冷凍生地を使用しており、思うような製品を仕上げられなかったので、熟練者を雇いスクラッチ製造に切り替えました。しかし、社長の息子であるがために、技術的なことは教えてもらえず、見て覚えるしかありませんでした」と専務。
 会社の経営理念は、地域・問屋に愛され、従業員が喜び愛するベーカリーであること。
 代表取締役会長の中市正也氏は、オフィシャルサイトで次のように挨拶している。
 「職人による手づくり、確かな素材の吟味、お客様を第一に考える姿勢など、品質にこだわった商品づくりには、頑固に守り続けなければならないものが沢山あります。それに加え、時代の味覚や志向に合わせた商品、技術の開発、人々が和み語らうようなシーンを演出する新しい商品づくりも私たちの使命であると考えています。
 時代と共に人々の味覚や志向、ライフスタイルは移り変わりますが、私たちは、より美味しく、良質の商品をお客様に召し上がって頂きたいと願う心を大切にしながら、常に素材の品質や製造技術の向上に努力し、これからも時代に即した商品をお届けしてまいります」
 店長の上村洋次郎氏は、新卒で入社し今年で9年目になる。店長になって5年三たて(焼きたて、揚げたて、作りたて)を重視して店舗運営に当たっている。
 製造責任者の山本佳宏氏は、ビゴの店やドンク東京で技術の習得を重ねた後9年前同社に入社、パン製造歴は30年になる。「良質で出来たての製品をお客様に食べていただいて、喜んでもらうことです」とパン製造のコンセプトを述べた。
 客層は、通勤・通学途上が圧倒的に多いという。「特に帰宅途中に買って帰られるお客様が多く、高齢者も沢山お住まいなので、餡系や小さ目のパンがよく売れます」と上村店長。山本氏は「冷蔵中種を使用したバゲットやカンパーニュは人気があります」という。
 「ハード系の構成比率は小さいのですが、翌日や翌々日に食べても、パサパサ感が出ないように製法を吟味しています。270gのバタールはよく売れており、それよりも小さいパンは180gと食べ切りサイズにしています。ダンマルシェの展開をはじめた時から、神戸まで行かなくても明石でおいしいフランスパンが買える店を目指していましたので、定着してきたのではないかと自負しています。当店ではフランスパンを1日に6回焼きます」と専務は述べた。
 売れ筋商品第1位は、ファミリーWalkerメロンパン部門で金賞を受賞した「焦がしバターのメロンパン」。第2位は、神戸ワインに漬け込んだ牛肉と淡路産の玉ねぎを煮込んだカレーを包み込んでサクッと揚げた「牛肉ゴロゴロカレーパン」。今は、和歌山県『ゆの里』の天然温泉水100%で仕込んだもっちり生地にフレッシュバターをたっぷり使用して淡路島の藻塩をトッピングした「塩バターパン」が人気を博している。ほかに、専務が2011年度兵庫県パングランプリチョコレートパン部門で優秀賞を受賞した「パン・オ・マダム」、森良将氏がアメリカ産チーズアイディアメニューコンテストピザ部門で金賞を受賞した「りんごのデザートピザ」など冠商品が並ぶ。
 餡系では、粒・こしあんぱん、かりんとう饅頭、アンドーナツなど客の嗜好に合わせた商品が充実、惣菜系はドッグ・サンドイッチともにバリエーション豊かにラインナップしている。
 上村店長は「食パンや食卓パンは、毎日食べるものなので一層の充実が必要だと考えます。それらを使った調理系パンは、客単価を引き上げられるので更に種類を増やそうと思います」と今後の力点を示した。
 新製品は、毎月4品程度を出す。それ以上出すと、販売側からどれに力を入れて売ったら良いのか分からなくなってしまうと言われるという。売れ行きの悪い商品と入れ替えるのだが、それだけを極端に行うと同じような商品ばかりになるので、バランスを考えて調整している。
 「デニッシュやクロワッサンが弱いので、止めることも考えましたが、なくなると困ります」と専務。
 4月からの消費税増税では、今まで通り内税表示にするという。
 昨今の厳しい衛生管理について同店では、定期的に本社の衛生検査を受けるほか、ステーションプラザからJRの検査を年に4回受審している。手洗いを徹底し、ダスターの使い分けや器具類のアルコール洗浄は毎日行っている。
 「JRの検査基準は非常に厳しいのですが、その基準を満たすため全員が敏感になっています。全ての機械の底辺に煉瓦を噛まして、ほうきやモップが入るようにしました。検査が実施されることで厨房内の意識が変わったと思います」と店長。
 社員教育は、先ず、月に1度の店長会議、販売会議、製造会議で意思疎通を図るという。講習会等の情報は全店に告知し希望者を募る。スタッフのモチベーションを高めるためには「セクショナリズムにとらわれず、製販が一体になって店の仕事を遂行すること」だと上村店長は言う。現在は、何事も製造責任者の山本氏と相談しながら運営している。
 上村店長は、店舗の将来像を次のように語った。
 「明石店は、ダンマルシェで1番の売上ですので、如何に利益を出すかを考えなければなりません。明石店の利益増大によって会社に大きく貢献できると考えます。そのために、お客様のニーズに合わせることが重要です」
 雅章専務は、会社の将来展望を次のように述べた。
 「ベーカリーの従業員は、給料が低いと思います。労働に対する低賃金が理由で辞めたり、異なる道に方向転換することは現実です。近い将来は、世間並みに対価としての給料が出せる企業にしたいと考えます。そのためには、1人当たりの生産性を向上させる方策を真剣に考えなければなりません。少量多品種生産と生産性向上の相反する課題を一気に解決できないジレンマがありますが、少しずつでも改善したいと思います」

【中市大福堂】
本社〒673-0028兵庫県明石市硯町3-4-23
電話078-923-3231、FAX078-923-3022
▽事業内容=パン・和菓子・ケーキ・調理パン製造販売
▽従業員数=280名(正社員65名、パート・アルバイト215名)
【ダンマルシェ明石店】
〒673-0891兵庫県明石市大明石町1丁目1-23ステーションプラザ明石東館内
電話078-914-2058
▽営業時間=7〜20時
▽定休日=不定休
▽従業員数=30名(正社員9名、パート・アルバイト21名)
▽店舗面積=42坪
▽パンの構成比=ハード系15%、菓子パン50%、食パン10%、惣菜系等25%
▽最寄駅=JR・山陽電鉄明石駅から徒歩約1分
▽駐車場=無

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ハード系

焦がしバターのメロンパン

塩バターパンなど