パティスリー・ドゥ・ポンパドウル
パティスリー小倉店〈北九州市小倉北区〉
コンセプトはベーカリーにしかできない洋菓子店
パン業界の発展に影響する業態に

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店内全景

八尋氏(左)と間氏

接客の様子
 

生菓子のショーケース

焼き菓子のラインナップ

 M横浜ポンパドウル(三藤達男社長)は2013年11月6日、北九州市小倉北区の小倉井筒屋本館地下1階に、新業態「パティスリー・ドゥ・ポンパドウル」の第1号店となるパティスリー小倉店をオープンした。ベーカリーにしかできない洋菓子店というコンセプトが人気を博し、早くも固定客で賑わっている。

 出店以来30年以上の歴史を持つベーカリーポンパドウルと同じ小倉井筒屋本館地下1階に位置するパティスリー小倉店は、「手作り・焼き立てパンのポンパドウルがフロデュースする全国初の洋菓子専門店。一店舗一工房ならではの手作り・できたて、また全国でここでしか味わうことのできない洋菓子」を掲げている。井筒屋は、昭和10年に設立し北九州市内と山口県にグループ店を併せて5店を展開する老舗百貨店。
 同店のオープンに携わったMポンパドウル企画部製品開発課チーフの松本郁広氏は、出店の経緯と展開商品の概要について次のように述べた。
 「デベロッパーからベーカリーにしかできない洋菓子店をコンセプトに店舗を立ち上げて欲しいという依頼があったので、新業態としてパティスリー・ドゥ・ポンパドウルを立ち上げることになりました。商品構成は、シフォンケーキと皮がやわらか目のシュークリームの2本柱を軸に開発を進めました。井筒屋内の地下2階にベーカリーの工房があり、その一部でクリームやカスターなど全ての製品を自社製造しています。衛生管理体制は万全で、洋菓子製造スペースは隔離された工房内で作業をしています。
 新業態を立ち上げるに当たり、製造担当者の教育にはエネルギーを費やしました。パンと洋菓子ではノウハウが異なるということです。パン製造の熟練者でありながら、洋菓子では新入社員を教育しているようなイメージでした。
 食材にはこだわっており、国内で最も良いとされる薄力粉や太白ごま油、バターを使用しています」
 小倉周辺は以前、北九州工業地帯と呼ばれて、鉄鋼業・化学工業・窯業・造船業などで栄え、人口密度も高かったため、ベーカリーポンパドウルの売上が全国でもトップクラスであったという。しかし、大手製鉄会社の移転を皮切りに中小の鉄鋼関連企業が首都圏などに移転したことにより人口も次第に減少、現在は北九州工業地域という呼称が使用されている。そのような歴史背景の中でも小倉井筒屋のベーカリーポンパドウルは、売場占有面積の広さを武器に、品揃えや品質の高さで来店客を確保しており、パティスリー・ドゥ・ポンパドウル1号店の出店によって、両店の相乗効果が見込めるという。
 「今後の展開は、地産たまごを使用したプリンを夏場に、秋になると和栗を使ったモンブランなど、ベーカリーにしかできない商品開発を考えています。また、ベーカリーで販売しているクロワッサンやアップルパイとは、少し趣を替えた商品展開も視野に入れています。
 パティスリー・ドゥ・ポンパドウルのイメージカラーは赤ではなく白で、店舗の装飾にも白地にベーカリーと同じ黒文字のロゴを配しています。白が基調ですとオープン当初、お客様からポンパドウルだとは認識していただけませんでした。しかし、試食のお声掛けの際に、ベーカリーの赤いポンパドウルがパティスリーを始めたと添えるだけで、認知度が急上昇しました。弊社の『赤』イメージがブランド化していることを痛感しました」と松本氏はいう。
 同店舗の商品は、焼き菓子を含めて25アイテム。商品開発のコンセプトは、フランスをイメージしている。ネーミングも全品フランス語。そのような商品を束ねて秋口に、他の洋菓子店には真似のできないフランスフェアの開催を予定している。
 製造責任者の八尋しおり氏は、新業態の立ち上げ時に次のことを感じた。
   「店舗周辺のテナントはオーソドックスで昔ながらのシュークリームがありませんでしたが、当店でオーソドックスなシュークリームを取り扱うと聞いて、嬉しく思いました。また、シフォンケーキも周りにないので、2つの商品を基軸にする戦略はリピーターを獲得できると確信しました」
 入社11年目を迎える八尋氏はパティスリー小倉店に配属されるまで、パン製造全般を経験し、フランスパン生地を作るポジションを任されていた。
 「洋菓子の製造は、温度管理や生地状態の把握などパンとは全く違い最初の頃は非常に戸惑いました。洋菓子もパンも商品になるまで味見ができないことは同じですが、経験を重ねることによって、大方の予測ができるようになります。洋菓子の工房内は、一定の温度に保たれた環境下で作業ができますので、パンのように日によって作業する温度や湿度が上下することはありません。難しいのは、メレンゲの立て方やたまごの温度です」と洋菓子の特性を述べた。
 入社3年目で販売責任者の間奈月氏は、同店の売れ筋商品を次のように紹介した。
   「1位は、自家製カスタードクリームとホイップクリームを合わせて口溶けを良くしたクリームをふんだんに使用した『シュー・ア・ラ・クレーム』です。2位は、時間・数量限定の小さいシュークリーム『シュケット』ですが、1位とほとんど差がありません。3位は、薄焼きのアーモンドクッキー『チュイール』です」
 客層は、井筒屋自体が年配女性に人気があるため、圧倒的に年配の女性が多いという。次は40代前後の主婦。男性客は少ないが、土産用のまとめ買いが多く、客単価が上がるらしい。よく売れる時間帯は、午後2〜3時から夕方にかけて。
 「『ポンパドウルさんなの』と気付いていただければ、必ずと言ってよいほど立ち止まっていただけます。いろいろな買い物を済ませた後、地下に寄ってお帰りになるお客様がほとんどですので、1日の後半に集中するのだと思います」と間氏。
 ベーカリーで同店のPRをしている訳ではないが、赤い袋を持った客がベーカリーで販売している焼き菓子とは別に同店の商品を買い求める機会が多くなり、オープン半年で別ブランドという認識が芽生えているようだ。
 間氏は「『ここのシュークリームが一番おいしい』と言ってもらえることが、最高の喜びです」と述べた。  今後の展開について、松本氏は「第1号店を出店したばかりで、何事も手探りで進めています。先ずは、小倉店を軌道に乗せることが何よりも重要だと考えます。次の展開が描けるような店舗運営や、パン業界の発展に影響する成功事例を作ることが私に課せられた使命です」と語った。

【パティスリー小倉店】
〒802-0007北九州市小倉北区船場町1-1小倉井筒屋本館地下1階
電話・FAX093-522-2080
▽営業時間=10〜19時
▽定休日=小倉井筒屋の休みに準じる(但し、今年は元旦のみ)
▽従業員の公休=9日/月
▽アクセス=JR小倉駅より徒歩5分
▽従業員数=製造/正社員:2人・パート:2人、販売/正社員:1人・パート:4人
▽主な設備=ミキサー、オーブン、コンベクションオーブン、IHコンロ、冷凍・冷蔵庫など

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シュー・ア・ラクレーム

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