松石パン本店(Angelus)〈熊本市中央区〉
地元に密着、地域に愛されるパンを提供
新しいものを取り入れながら成長する

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白石茂氏

店舗外観

店舗周辺の様子
 

店内の様子

グリッセン松石店内

通町筋にあるAngelus パンの家の外観
 

鶴次郎あんぱん

プレーン食パン

 P松石(肥後のパン屋松石本店/松石康之朗社長)は、1888(明治21)年に駄菓子屋として創業。創業者の松石鶴次郎氏が長崎からパン職人を招聘し、1904年からパンの販売を始めた。以来、問屋町として栄え古い町並みが残る同地で、焼きたて、揚げたて、作りたてを基本に126年間愛され続け、現在はAngelus(アンゼェラス)の名で多くの熊本市民に親しまれている。

 同社は、本店のほか熊本市内に「Angelusパンの家」と「鶴屋フーディワン森新町店」合わせて3店舗を展開している。
 松石パン本店は、パンの販売以外に「グリッセン松石」と呼ぶレストランを併設しており、熊本市の中心地熊本城に近い場所に立地する。創業時から同じ場所で商売を続け、約130年という歴史を刻んできた。
 製造責任者の白石茂氏は、同店のコンセプトを次のように述べた。
 「地元に密着し、地域の人々に愛されるパンを提供することです。合成保存料や着色料などは使わず、自然の材料で安心して召し上がっていただけるおいしいパン作りを心掛けています。熊本県では、おいしい野菜や果物がたくさん生産されていますので、県産品や市内で収穫されたものを出来るだけ多く使うように意識しています。季節によって材料が異なりますが、阿蘇のジャージー牛乳は通年使用するようになりました。餡は自社厨房で炊いています。減農薬で安心な冬トマト『はちべえトマト』を使ったパンも試みましたが、原価率等の関係により更なる工夫が必要で、商品化は検討中です」
 トマト以外にも県産の野菜などを取り入れた製品の商品化を急いでいるらしく熊本県の瑞々しい農作物を使ったパンが店頭に並べられる日も近いようだ。
 客層は、近隣の年配者が多いという。「ご高齢のお客様の口に合わせて、やわらかいパンを基本にしています。ハード系も販売していますが、比率は他店に比べて低いように思います」と白石氏。
 グリッセン松石は、ランチタイムに『パン・バイキング』を行っている。レストランスペース中央に置かれた6〜8種類のパンが食べ放題、数量限定だがサンドイッチもある。コーヒー・ソフトドリンク、スープ、フレッシュサラダが付いて880円。パン・バイキングに肉・魚料理・パスタのうちから一品が選べる『ランチセット(1,100円)』や1日10食限定の『和みハンバーグセット(1,100円)』などもあり、人気を集めている。15時以降のイートインタイムでは、各種のドリンクも楽しめる。
 パンの売場には、菓子パン、スイーツ系、ハード系、惣菜系、サンドイッチなど70〜80種類のパンが並ぶ。洋菓子も販売されており、構成比はパンが約85%で、洋菓子と焼き菓子を合わせて約15%。中でも目を引くのは「鶴次郎あんぱん(200円)」。創業者の名にちなんで名付けられた、自家製の餡をぎっしりと薄皮で包んだ逸品。また、黒五(黒豆・黒米・黒胡麻・黒松の実・黒かりん)を配合した生地に北海道十勝産小豆100%の小倉餡を包んで焼き上げた「黒五あんぱん(160円)」、熊本県産の渋皮栗を丸ごと一粒入れて栗餡をたっぷりパイ生地で包んで焼き上げた「栗まんじゅう武蔵(250円)」もインパクトがある。いずれも木製のばんじゅうに入れて販売されている。
 売れ筋商品は、プレーンの食パン(260円)が第1位で2位を大きく引き離しているという。2位から4位は、入れ替わりが激しく「明太フランス(1本:320円、1/2本:160円)」「5個入りあんぱん(400円)」「あぶり豚ごろっとカレー(200円)」。
 2011年3月に、九州新幹線が鹿児島中央まで全通した。観光客の増加といった効果は事前の期待ほどではなかったようだが、福岡へのストロー効果も軽微のようだ。利用客を居住地別にみると、45.5%が熊本県で19.1%が福岡県。利用目的は両県とも「仕事」が2位の「観光」の2倍の比率を占め、利用者の中心が福岡―熊本間のビジネス客であることを示す調査結果が出ている。
   また、熊本市は2012年4月、政令指定都市に移行した。経済の発展がめざましい東アジア地域への玄関口として、また、地理的・歴史的な優位性を生かした九州の中心都市として発展し、熊本都市圏だけではなく、県土全体の発展の牽引役としての役割が期待され、県としても政令指定都市誕生による波及効果を最大化し、県全体の浮揚に繋げたいとしている。
 そのような中、商売の在り方や客層に何らかの変化があったのかという質問をしたところ、白石氏は「特に目立った変化は感じられません。新幹線全通の時は、緩やかに向上し、時間経過とともに緩やかに元にもどったという感じです。政令指定都市移行に関しては、全く影響がありません」と答えた。
 以前、松石社長は「新幹線が伸びて、地方都市が潤うという予測が報じられているが、熊本や鹿児島から福岡や関西圏に人口が流出するツールになることを懸念している」と述べていたが、九州新幹線全通後1年で政令指定都市に移行したと言うことは、将来に向けて希望が持てるという現れではないだろうか。様々な環境の変化は、多角的に商売の仕方に影響するが、どのような変化が起こってもリテイルベーカリーは、同社のように「お客様から愛され続ける」ことが最も重要だと感じた。
 今後の展望を白石氏は、次のように語った。
 「今までと変わることなく、地域のお客様に可愛がっていただくことです。弊社のパンを食べていただくことにより、地元に貢献できると考えます。小さい頃から買いに来られてたお客様が、今では娘さんやお孫さんを連れて買いに来られることも少なくなく、歴史の重さを感じます。今は、県外に住まれている方でも『なつかしい』と言いながら買いに来られることもあり、1888年の創業から126年間続いていますので、今後150年、200年と新しいものを取り入れながら成長し、歴史を更に重ねる1人として努力したいと思います」

【松石パン本店】
〒860-0004熊本市中央区新町4-2-13、電話096-354-1255/FAX096-355-5424
▽アクセス=熊本市電B系統新町駅徒歩1分
▽営業時間=8時〜21時30分
▽定休日=年末年始のみ
【グリッセン松石】
▽営業時間=ランチタイム:11〜15時、イートインタイム:15〜21時30分
▽定休日=日曜日

【Angelusパンの家】
〒860-0808熊本市中央区手取本町5-6加藤ビル1F、電話096-354-2763
▽アクセス=熊本市電A系統通町筋駅徒歩1分
▽営業時間=7時〜20時30分
▽定休日=不定休

【鶴屋フーディワン森新町店】
〒860-0047熊本市西区春日1丁目14-1A棟1F(JR熊本駅前)
▽営業時間=10〜20時

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明太フランス

あぶり豚ごろっとカレー