モンシェル〈愛知県春日井市〉
絶対条件は継続
特色を出し魅力あるパン業界に

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社本社長と冨志副社長

店舗外観

店内の様子

 Mモンシェル(社本太郎社長)は、愛知県春日井市内にブーランジェリー&カフェ2店舗と学校給食米飯工場を運営、創業42年を迎える。創業当時は、人通りも少なく将来に不安があったらしいが、名古屋から17分のベッドタウンとして人口31万人に増大、順調に業績を伸ばしている。

 戦後間もなく、父の副嗣氏がカスガイパンを起業、社本太郎氏19歳の昭和40年に他界してからは副嗣氏の実家が経営に携わっていた。太郎氏は、大学を2年で辞め東京の三越百貨店子会社でパンを修行、昭和47年に春日井駅前にモンシェル1号店をオープンした。2年後には別会社Mモンシェルを立ち上げ、本社を勝川に移し勝川本店をオープン。1年後に冨志夫人と結婚。以降、社本社長と副社長の冨志夫人が二人三脚で同社を経営するようになった。黎明期、副嗣氏が積み上げた人脈が生き、様々な先生の指導を仰ぐことができたという。平成5年4月には、勝川本店を改装し今年で21年を迎えた。
 社本社長は、店舗数拡大に情熱を傾け、ピーク時には10店舗を数えるチェーンベーカリーになったが、生産効率や利益の有効活用を念頭に大幅な事業改革を行い、現在の状況を生んだ。売上等は、改革前と大きな変化はないという。
 同社は「モンシェルが目指すのは、『わたしのまちのパン屋さん』」というモットーの下、お子様からお年寄りまで、家族みんなで楽しく安心してご来店いただける店でありたい。毎日気軽に利用して頂ける、価格でありたい。できるかぎり焼きたてのパンを食べて頂きたい。常に丁寧で、親切な接客。春日井のランドマークでありたい」を基本理念にしている。
 「地元の人に愛され、ニーズに合ったパン屋を目指しています。奇をてらうような商品構成ではないため、中京圏向けのグルメ情報誌等に掲載されることはありませんが、地元に密着することが本質だと考えており、掲載が全てに繋がることだとは思っていません」と社本社長は言い切る。
 また、冨志夫人は「当社の絶対条件は継続です。5〜10年の中長期目標をたて、社長以下全ての従業員が役割を持ち、それぞれが日々の役割分担を成し遂げることによって、会社の目標が達成できます。そして、それを繰り返し行うことにより、経営者は、頑張ってくれてありがとう。従業員は、モンシェルで働いていて良かった。という関係が会社を長く繁栄させるのだと思います。30〜40代従業員の成長をはかるため、様々な人の縁や指導を受け、次世代に繋げていきたいと考えます」と語った。
 売上構成比は、パン販売約70%、カフェ約30%。
 勝川本店の売れ筋商品は、1位博多ふくやの明太子を使用した「メンタイコフランス(税込270円)」、2位クロワッサン生地の中にフランス産スティックチョコレートを入れた「サクサクシュコラ(同1本76円/3本216円)」、3位ソフトフランス生地によつ葉バターを包んで焼き上げモンゴル産岩塩をアクセントにした「塩パン(同1本87円/3本238円)」。その他にも、季節限定の「丸ごとポテトフランス(同184円)」や子どものおやつにピッタリな「たまごパン5個入り(同200円)」、デニッシュ生地にカスタードクリームを敷きリンゴを載せて焼き上げた「リンゴカスター(同195円)」などにも人気がある。
 ハード系は、売上比率の約5%で、今後力を入れる商品のひとつとだという。但し、人気No.1の「メンタイコフランス」や冬期限定の「丸ごとポテトフランス」は含まれていない。
 食パンでは、米粉80%(グルテン20%)を使用したもっちりやわらかな食感の「米粉食パン(同1本356円/ハーフ178円)がよく売れる。また、信州のおやきを米粉パンで再現しシャキシャキの野沢菜をマヨネーズで和えた「野沢菜のおやき(同173円)」なども隠れたベストセラーとして固定客が付いている。
 50年ぶりに復活したという、新鮮な卵と身体に優しいはちみつを使ってしっとりと焼き上げた「ピーナツケーキ(同238円)」は、徐々に頭角を表している。
 同社は、全国のパン職人有志による東北応援活動「ハートブレッドプロジェクト」に参画し、売上の一部を東日本大震災の被災地に寄付している。
 「月平均2万円程度が寄付出来ています。このような社会貢献を通じて、店の業績もUPしているように感じます」と社本氏は言う。また、奥本製粉のモデル店としてパン用粉やミックス粉などの新製品発売に際し、パイロット製品の試験販売を行っている。
 カフェの一番人気はパンセット(400円)。ドリンクとカフェまたはショップ(パンセットOKの表記)から約60種類の惣菜・菓子パン、ドーナツが選べるカフェ併設店ならではのメニュー。パン2個+ドリンクのセット(500円)もある。モーニングは、パンセット、バタートースト、サンドイッチ2種類など。ランチは、サンドイッチが推奨で、16時までセットメニューが楽しめる。
 春日井店は、JR春日井駅の改良工事に伴い、改札口が同店の正面に位置していることから、売上が順調に伸長している。「しかし、来年秋に完成するとどのように変化するか心配な面もありますが、知名度の拡大と固定客が獲得できたという事実が、維持拡大に繋がることを期待しています」と社本社長はいう。
 アイテムは、勝川本店とほぼ同じだが、辛さ控えめでヘルシーな「チキンとポテトの焼きカレー(税込162円)」や人気者同士がドッキングした「メンタイピザ(同227円)」などは春日井店でしか買えない。
 同店のカフェでも、パンセットが人気。カウンターのみで、気軽にパンと飲み物が楽しめ、380円と本店よりも少し安い。

 今後の展望を社本社長は次のように述べた。
 「以前に比べ生地やパンの種類が倍増し、生産効率が悪くなっています。それを優先的に整理・改善しなければなりません。次に労働環境の整備も含めて、商品アイテムを絞り込み、自店の強みを強調する商品を育てることです。本や写真のように構造の根本的な変化が生じた業種の場合は再生が困難だと思いますが、食べ物を製造するパン業界は、上手く特色を出して棲み分けをすることによって魅力ある商売に転化できると思います。商品で特定すると、内麦の価格が下がることから、内麦を使ったおいしいコッペパンに挑戦したいと考えます」
 また、冨志副社長は「リテイルベーカリーの総数が減少しつつあるとは言え、各所で顧客の多様なニーズに対応している中、選ばれる店にならなければ商売は成り立ちません。瞬間的に繁盛店として取り沙汰されるだけでは、無意味です。弊社が自負するように、30〜40代従業員との良好な関係を構築し、労働時間の長さを顔に出さず、頑張ってくれる心を見逃してはいけないと思います」と語った。

【モンシェル】
《勝川本店》
▽住所=愛知県春日井市八光町1の2
▽電話番号=0568-31-2104
▽営業時間=7時30分〜19時30分
▽駐車場=10台
▽アクセス=JR中央本線勝川駅から徒歩5分、メイン通りから1本入った公園の向かい
▽カフェ=46席
《春日井駅前店》
▽住所=愛知県春日井市中央通り1-92
▽電話番号=0568-85-7553
▽営業時間=7時30分〜20時30分(日曜日は19時30分)
▽駐車場=2台
▽アクセス=JR中央本線春日井駅改札口前
▽カフェ=14席

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メンタイコフランス

季節限定の丸ごとポテトフランス

カフェの様子