UNCLEタカオカ〈熊本市東区〉
調子に乗らず、地元の客を大事にする
ネギパンを越える商品の開発を

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高岡辰生社長

店舗外観

店内の様子

 UNCLEタカオカを展開する合資会社高岡製パン(高岡辰生社長)は、日本全国ご当地パン祭りでシルバーブレッドを受賞した「ネギパン」をはじめ、同祭で上位入賞を果たした「ネギパンdeチキン」などの、シンプルで素材の味を活かしたパンを目当てに県外からも多くの来店客を集めている。

 高岡製パンの創業は、昭和27年(1952年)。高岡社長は、2代目で同年に生まれた。元々熊本市内で学校給食工場を創業者の叔父が営んでいた。戦争から復員して八幡製鉄所で働いていた創業者は、同工場に招聘されパンを学ぶことになった。暫くして、叔父の息子が同工場を継ぐと同時に独立開業を果たした。
 UNCLEタカオカの建物は、パン事業を興す前からあり、高岡社長の祖父が建材を山から切り出して木製の荷車で運んで建てたという。近代的なビルにして作業環境の改善を図りたいという気持ちはあるが、代々引き継がれた店舗・工場に愛着があって踏み切れないらしい。道路を隔てた向側にも工場があり、高岡製パンの名で卸しのパンを製造している。
 「以前は、卸専門業者で熊本市内約500カ所に提供していました。しかし、大手の参入に伴い卸専門業者は、リテイルベーカリーに移行したり、職種を変えるようになりました。弊社は、市内から離れたところに位置していることが幸いし、あちこちの売店とUNCLEタカオカで繋ぐことができました」と高岡氏。現在は、UNCLEタカオカ1店舗と学校の売店2店舗、ネギパンコーナーとして九州自動車道北熊本サービスエリアと熊本西港に設置されている。加えて、百貨店やスーパーマーケットの催事等でのオファーも多い。また、病院・幼稚園・企業等にパンを卸しており、物販と卸の比率では、卸が若干多いという。
 店舗の隣は駐車場になっているが最近、プロパンガスの会社が廃業したため、将来の店舗建て替えや駐車場用地として購入した。タイミング良く「ネギパン」のブレイクと重なり、ツアーバスで来店する客にも対応できた。国土交通省がバス2台を連ね視察に来たこともあるという。熊本の老舗百貨店鶴屋にもネギパンコーナーがあったが、くまモンの事務所に明け渡した。さすがの「ネギパン」も、くまモンには勝てなかったようだ。
 高岡氏は、高校を卒業後上京、日本菓子専門学校で2年間菓子・パンの基礎を勉強した。洋菓子系の食品会社に就職し2年間勤めた後、熊本に戻りスイーツの専門学校リッチモンドで半年間勉強して、高岡製パンに入社、洋菓子部門を立ち上げた。洋菓子部門は、順調に顧客の購買意欲を捉え3店舗を展開するまでに成長した。平成18年には、厚生労働省が定める1級パン製造技能士を取得した。
 基本的な考え方は、手を抜かないこと。「時間を惜しまず手を掛けた商品は違います」と高岡氏はいう。  客層は、昔なじみの客が多く、親子3代に渡って同店のパンを楽しんでいる。
 「年配者が多かったのですが、ネギパンのお陰で若い層が来店してくれるようになりました。それが2〜3年続き、最近では男性客が目立つようになりました。その理由を考えてみると、ネギパンのメディア露出が主婦や中・高校生の目にとまる時間帯に多く、昼間働いている男性は見る機会が少なかったのでしょうが、インターネットや情報誌でも紹介されるようになったため、知ることができたのだと思います」と分析している。
 売れ筋商品No.1は、ダントツで熊本県産小麦ミナミノカオリを使用した「ネギパン」。No.2は、食パン。12〜13種類のバリエーションの中から2〜3種類を日替わりで出している。No.3は、ネギパンとタンドリーチキンのおいしさが出会った「ネギパンdeチキン」。
 ネギパン開発の経緯を高岡氏は次のように述べた。
 「高校生の悪ふざけが起源です。弊社の製品を納めている全寮制男子校売店から、ネギが嫌いな友人にネギの美味さを教えたいので分からないようにネギ入りパンを作って欲しいという要望がありました。私もおもしろがって、コッペパンにベーコンや天カス、野菜炒めなどを入れて3個ほど作ったところ、ネギ嫌いの高校生が完食しました。
 パンにネギを合わせるという発想がなかったため、商売ベースでも製品が生み出せると思い、改良を重ねて現在のネギパンの原型を発売しました。当初は、あまり人気を博す商品ではありませんでしたが、平成20年に第5回くまもと食品科学研究会大賞で最優秀賞を獲得し、地元紙で紹介され注目を浴びるようになりました。翌年、日本全国ご当地パン祭りが初めて開催され、出展すると人気投票No.2(シルバーブレッド)になることができました。当日、熊日新聞も取材に来ており、熊本県代表が全国で2位になったとカラー写真入りで報道されました。そのことを知らずに熊本に戻った私は、見知らぬ人から『おめでとうございます』と声を掛けられ、びっくりしました。
 その後は、様々なメディアに取り上げられ、問い合わせも殺到し、製造が追いつかなくなりました」。
 しかし、無理をして生産しても寿命が短く、反動を懸念した高岡氏は、生産設備や人員等の体制を変えずに最大限の製造を考え、あくまでも自社の生産能力を基準にした。その甲斐があって、5年以上経過しても安定した売上を持続し、イベント等の引き合いが絶えない。
 熊本県下のテレビ局は全社取材に来たという。また、ラジオや雑誌等の取材には応じるが、生産に対する考え方は変えたことがない。熱の冷める期間が長いほど次の新商品を考えることに余裕が出ると考えている。
 「インターネットの恐ろしさは身に染みました。知らないところで店のPRをしてもらえることは有り難いですが、誹謗中傷もある訳ですから。調子に乗らず、日々来店される地元のお客様を大事にしなければ失敗するということだと思います」。
 新商品は、不知火菊(食用)を使ったパンを模索しているという。有明海に面した不知火地域でしか採れない菊で、昔の人は癌に効果があるとして煎じて飲んでいたらしい。そのほか、味噌やトマトなど多くの材料を提案されており、その中から引き算をしてシンプルな食材でパン作りの材料を決定する。
 高岡氏は「足し算ばかりしていると訳が分からなくなります。旨味を引き出すのと同じで、引き算から生まれたシンプルな商品は飽きが来ません」と自負し、「ネギパンに次ぐ新製品は来年、発表したいと考えています。2匹目のドジョウはなかなか見つかりませんが、ネギパンを越える商品開発に燃えています。店舗の新装も具体的に考えなければいけません」と今後の展望を語った。

 【UNCLEタカオカ】
▽住所=熊本市東区栄町1ー11
▽電話番号=096-368-2550
▽営業時間=8〜19時
▽定休日=日曜日
▽従業員数=15名(パート・アルバイト含む)
▽駐車場=8台(バス2台)
▽アクセス=熊本市電健軍町停留所から徒歩4分、商店街を抜けた通り沿い

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食パン類

ネギパンdeチキン