ダイナモ・ドーナツ+コーヒー〈カリフォルニア州〉
アーティサン・ドーナッツ専門店の先駆け
情熱と品質が集客の源

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店舗外観

裏庭は都会のオアシスのよう

店内の様子

 アメリカではここ数年、アーティサン・ドーナッツが流行っている。ドーナツ自体は、昔から不変的な人気商品だが、高級感のあるアーティサン・ドーナッツという新しい切り口で第2の波が来ている。テレビや雑誌で特集が組まれる中、「ダイナモ・ドーナツ+コーヒー」は、いつもサンフランシスコ代表として紹介されている。

 オーナーのサラ・スピアインさんは、19年間レストランでペイストリーシェフとして働いた後、夜ではなく朝働けるようにと、ベーカリーに転職しベーカーをしていた。しかし、8年前、妊娠中に子どもを生んだ後の身の振り方を考えていた時にアーティサン・ドーナツ専門店のアイデアがひらめいた。
 「特にレシピがある訳ではなかったので、一からレシピを考えました。サンフランシスコで、ベーグルもパンもなくアーティサン・ドーナツだけを販売したのは、私が最初だと思います。開店当初は、こんなに流行るとは思ってもいなかったので嬉しく思います」
 小規模でオーガニックの食材を使い、スクラッチで手作りするアーティサン・ドーナツは珍しく、開店して1年後に全国区のフードネットワークテレビ番組で紹介されたことがきっかけで、軌道に乗ったという。
 最初は5種類のドーナツから始めたが、今では毎日12種類を販売している。「メープル・グレーズド・ベーコン・アップル」は、ベーコンのみじん切りとソテーしたりんご入りドーナツに、メープルシロップのグレイズ、カリカリベーコンをトッピング。甘さと油気のある塩辛さの組み合わせが絶妙。週に一度だけ作っていたが、あまりにも人気が出たので、毎日作ることにしたそうだ。今でも人気No.1を堅持している。
 「バニラビーン」は、オレンジの皮を入れたバニラ味のドーナツにバニラビーンのグレイズで。ほんのりとしたオレンジの味と香りがバニラを引き立てている。「チョコレート・スターアニス」は、チョコレートドーナツにチョコレートとスターアニスのグレイズ、チョコレートニブのトッピングで、アニスの独特な香りとチョコレートの組み合わせが楽しめる。
 「スパイスド・チョコレート」は、チョコレートドーナツに、シナモンとチポトレ(燻製した唐辛子を使った香辛料)をコーティングしたもので、甘さと辛さが混ざった不思議な味。「ハイビスカス・ハート・ビート」は、ビーツ入りドーナツにチョコレート・ハイビスカスのグレイズなので中が赤くて美しい。
 「ヘーゼルナッツ・チョコレート・ラベンダー」は、ヘーゼルナッツ味のドーナツに、チョコレートラベンダーのグレイスとヘーゼルナッツの砂糖漬け付きで、ヘーゼルナッツの香ばしさと微かなラベンダーの香りが上品にマッチしている。他にも、旬の果物やローズウォーター、ギネスビールを入れたものもあり、あくまで大人のドーナツ。しかも、どのドーナツもふわふわで軽く、いくつでも食べられそうだ。
 客の要望に応えて、3年前からグルテンフリー・ドーナツを始めた。レシピの考案に時間を要したが、玄米粉・米粉・ココナッツ粉・タピオカを混ぜ、「キャロットケーキ」「ラズベリー・黒胡椒グレイズのチョコレート」「レモンバターミルク」の3種類が出来上がった。「キャロットケーキ」は、粒が見えるぐらいたっぷりの人参とカラント入りドーナツにシナモン・黒砂糖をコーティングしている。グルテンフリー・ドーナツは、甘くてしっとりしているので、まるでケーキを食べているようだ。
 価格は2〜3.75ドルと高めだが、飛ぶように売れる。1ダース(12個)注文すると1個おまけが付く。平日は、勤め先などにドーナツとコーヒーを持っていく人が多く一日840〜960個売れる。週末と夏期は、パーティ・結婚式に持っていく人や旅行者が多く、平均1560個売れるそうだ。
 「朝7時半に開店して、もし11時に売り切れになっても、作るのに4時間ほどかかるので、新しく作ることはできません。朝、ベーキングした後、家に帰って家族の世話をしています」
 コーヒーショップやレストランにも卸しているが、ミッション地区(サンフランシスコの南側)にある同店舗でほとんどのドーナツを販売している。店の窓口で購入し、中に入ると、長いカウンターとテーブルが並ぶ。裏にある緑豊かな庭で食べることもできる。昨年には、サンフランシスコ市のマリナ地区で、販売用の小さなキオスクを開店した。サンフランシスコで路上駐車するのは大変だが、このキオスクの駐車場は広く、サンフランシスコ北側の端(店舗とは反対側)に位置するため、新たな客層を取り込むことができたという。  事前注文もできる。定番の10種類は前日に注文でき、グルテンフリーや旬の味を含めた30種類以上から選びたい場合は、2日前までに注文する必要がある。
 「お客様にも喜んでいただいており、事前に準備できるので助かります」とサラさん。
 成功の理由を聞いてみると「私達の情熱と品質がお客様に届いているからだと思います。ほんの少しの運もありますが」という答えだった。
 「今のままの規模が最適で、大きくする気も支店を作る気もありません。毎日、コンスタントに良いものを作りたいのです。イーストは、天気によっても働きが違い、小麦粉によっても異なるので、細心の注意を払っています。5人のベーカーとローテーションを組んでいますが、ベーキングが好きなので、早朝の静かな時間に生地を作っている時が一番楽しいです」
(文・写真:田原知代子)

【Dynamo Donut + Coffee】
▽住所=2760 24th Street San Francisco, CA 94110
▽電話=(415) 920-1978

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サラ・スピアインさん

メープル・グレーズド・ベーコン・アップル

グルテンフリー3種類