アイガー社本店〈兵庫県加東市〉
客からの感謝メッセージ届く
パン専門店として更に特化し商品を磨く

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店舗外観

オープンカフェ

接客の様子
 

スタッフの皆さん 左端が西嶋社長、2番目が黒石知子店長

感謝メッセージ

賑わう店内

 西嶋パンM(西嶋直也社長)は、和菓子舗が起源で100年を超える歴史を刻み、常に地域に愛され続けながら時代とともに力強く業態を変化させている。現在は加東市と小野市のアイガー2店舗に特化している。最近では、カフェのテーブルに匿名で感謝のメッセージを残す客が現れるほど、関係性が密になっている。

 ベーカリーは、祖父が昭和27年(1952年)に創業した。創業当時より、卸しや大手の下請けのパンを製造、2代目社長が学校給食用パンの製造をはじめたが、10年ほど前にすべてから撤退した。
 「私が会社を引き継いだ時、売上構成比の90%が卸し・下請け・給食で、僅か10%しか小売りがありませんでしたが、現在は、99%が小売りで、残りの1%は喫茶店で提供されるパンというように、構成が逆転しました。しかし、生産工場でしかパンを製造したことがない者が、路面店に進出した訳ですからノウハウが全くありません。現在の地位を構築するまで様々な困難を乗り越え、長い時間を要しました」と西嶋社長は苦労の経緯を振り返った。
 同店は、平成8年9月にオープン。今年で19年目を迎えている。
 「オープン時は、私たちに作ることができるアイテムが商品でした。それでは商売繁盛とは言えません。今は、お客様の目線でどのような商品が喜んでいただけるのかを最優先にしています」
 同店が位置する加東市は兵庫県南部の中国山脈東端寄り。平成18年に社町・滝野町・東条町は合併して加東市になった。瀬戸内型気候の特色を備え四季を通じて比較的温暖な気候。両隣は家電量販店とドラッグストア、道路を隔てて向かいが社警察署、その隣が兵庫県県民局で人が集まり易く店舗立地に恵まれている。  「オープン当時は、両隣が食品スーパーとホームセンターでしたが、全部替わりました。約20年間変わらないのは当店だけです」
 会社を挙げて力を入れているのは、国産小麦・県内産小麦を使用すること。春よ恋を100%使った食パンは、売れるようになるまで約10年かかったという。今では、予約注文で店頭に並べられない日もあるようだ。また、兵庫県産のミナミノカオリで作る菓子パン・ハード系やふくほの香を使った天然酵母パンなど。
 「これらは皆、レトロバゲットなどで表現するのではなく、お年寄りでも食べられるパンでチャレンジを続けています。地方都市なので、人口の増加は期待できませんが、シニア層で客数が増える傾向です。毎日のようにパンとコーヒーを召し上がる高齢の方が沢山います」
 西嶋社長は1969年生まれ。高校卒業後すぐに同社に入社したが、2代目の父が急逝したため、半年間しか父と一緒に仕事ができなかったという。以降、母が会社を継ぎ、先輩から仕事を習った。社長就任は10年前で現在に至っている。西嶋氏は「父を早く亡くしたことが、起爆剤になって様々な経験ができ、失敗も数々しましたが成長できたのではないかと思います」と語った。
 店名のアイガーは、山が好きで訪れたスイス・グリンデルワルト。トレッキングしながら仰いだアイガー北壁に因んでいる。オープンカフェは、アルプスにあるヒュッテのテラスを思わせる。以前は、スイスパンも焼いていたらしいが、今は休止しているようだ。
 売れ筋商品のトップは「春よ恋食パン」、次いで牛スジと赤ワインに漬け込んだ牛肉を40時間かけて煮込んだマイルドなカレー入り「カレーパン」、県産卵と牛乳を使用した自家炊きカスタードクリームと生地に県産ミナミノカオリを使った「播州クリームパン」、バターの風味とサクサクした食感で本格的な「明治のクロ ワッサン」、細かいザラメ糖とグラニュー糖をブレンドして、やみつきになる「極旨メロンパン」と続く。この5アイテムで日々の総売上が20%確保できるという。
 ハード系は約20種類あるが、品切れを起こすほどの売れ行きで全商品の構成比率でも10%を超す。
 「オープン時は、ハード系に力を入れ過ぎて、クリームパンやクロワッサンも作っていましたが、商品を磨くことを怠り、店頭で目に付く場所にも置きませんでした。今は、売れ筋商品に磨きをかけることが私の仕事だと考え、更に売れるようにするため材料の質や品質を向上させる製法を取り入れています」と西嶋氏。
 製法は、長時間発酵または湯種。ストレートや中種で当日仕込みのパンは作っていない。
 来店客は、95%が自家用車。市内以外に加古川・姫路からも多く、神戸市から定期的に来店する客がいるという。フリーダイヤルからの予約が売上の5〜10%を占め、店頭に並ばない商品もある。
 販促セールはしない。チラシも一切打たない。商品がものを言い、口込みが唯一の営業活動。それは、いずれもタダではできないもので金をかけてチラシを作って金をかけて配るよりもその分、材料費に金をかけて客に喜んでもらいたいという精神に由来している。
 西嶋社長は、今後の展望を次のように語った。
 規模を大きくすることが目的ではありません。お客様や従業員を喜ばせるために何をすれば良いのかを第一に考え、加東市・小野市・西脇市・三木市などの北播地域で一番店になることです。更に、災害やパン業界が窮地に追い込まれるような事態になっても、細く長く継続できるベーカリーで在りたいと思います。作業は複雑にせず、効率を上げて、パン専門店として更に特化し、商品に磨きをかけ続けます。
 経営計画は「具体的ではなかった」という西嶋社長だが、兵庫県が行っている経営革新計画支援事業の承認をベーカリーとして初めて得て、経営課題の解決や目標設定の重要性を改めて認識した事例が、ひょうご産業活性化センターが発刊する冊子で紹介された。

【アイガー社本店】
〒673-1431兵庫県加東市社1211-1
▽アクセス=JR加古川線社町駅から神姫バス社・教育センター行きで7分下車すぐ、車:中国自動車道滝野社ICより5分・山陽自動車道三木・小野ICより10分
▽営業時間=7時30分〜19時30分
▽定休日=月曜(但し、祝日は営業)
▽カフェ(テラス含)=20席
▽オーブン=4枚差3段・4枚差2段各1台
▽平均売上=平日:約30万円、土・日・祝:約40万円

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春よ恋食パン

播州クリームパン

バタールなど