トランドール博多駅店〈福岡市博多区〉
ホールセールとの歴然とした差を出し
圧倒的な商品力で激しい競争に臨む

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店舗外観

デニッシュバー

店内の様子
 

ミルクパン

パニーニ・ベーコン

祇園山笠明太子フランス

 九州7県と山口県で「トランドール」「グレンドール」「ランジュドール」などのベーカリーブランド42店舗を展開するMトランドールは、ベーカリー業態の拡大だけに留まらず、新幹線車内や空港ターミナルといった移動空間全体でのサービス向上を視野に入れ、事業の充実に力を注いでいる。

 ベーカリー経営は、国鉄時代の直営事業として昭和60年に発足した。第1号店は博多駅店で昭和61年にオープン。国鉄の分割民営化後もJR九州が引き継いだが、平成4年4月に分社化、規模拡大を重ねて現在に至る。株主は、JR九州(65%)とアンデルセングループのマーメイドベーカリーパートナーズ(35%)。
 「鉄道会社が、いきなりベーカリーを始めようとしても思うようにならないため、アンデルセングループ様に販売・製造の両面で指導いただきながら事業展開を進めてきました。ベーカリー店舗の開発と運営を基軸に、店舗以外への卸しや供給をしています。ベーカリーの業態は、立地や客層によって特長が出せるようJRの駅にトランドール、郊外のショッピングセンター等にグレンドール、昨年から開始した百貨店にはランジュドールと大きく分けて3つのブランドを展開しています」と取締役総務企画部長の江崎史隆氏は、同社の歴史と概要を語った。
 企業理念は「お客様に心のこもったおもてなしで最高の商品を提供する」。いつでも爽やかな笑顔とともに、焼きたてパンの美味しさを提供することをモットーにしている。
 それぞれの店名は、トランドールが「黄金の列車」、グレンドールが「黄金の穀物」、ランジュドールが「黄金の天使」を意味する。どれも黄金繋がりで耳に馴染み易く、覚え易い。
 コーポレートカラーは、JR九州のカンパニーカラーと九州男児の燃える「赤」。しかし、郊外にグレンドールを展開するようになってからは、ブラウンや黒を使う店舗を増やし、立地によってカラーを変えている。また、昨年からは、定期的なリニューアル等でお客様に新鮮さを届けるために、今までのトランドールにはなかった「藍」を基調にした店舗をオープンしている。
 製造構成比で約10%を占める食パンと食パンを使ったサンドイッチは、セントラル工場でスクラッチ製造し各店舗に配送する。それ以外は、アンデルセングループから冷凍生地を仕入れて、店舗の厨房で分割・成型、焼成を行っている。42店舗の内、カフェ併設店は8店だが、イートインスペースのある店舗を含めると20店になるという。
 トランドール博多駅店は、JR博多駅1Fのコンコース中央に位置し、トランドールの旗艦店として、駅構内の駅弁販売店とともに一日の乗降客約215000人の胃袋を支えている。インターネットでは「朝から閉店の時間までお客さんがひっきりなしで訪れる店」や「早朝6時にもかかわらずパンの種類は豊富、サンドイッチや飲み物が充実」といった書き込みがあり、博多駅利用者にとって不可欠な存在になっている。
 立地に合った店作りを基本に、商品構成や店舗の雰囲気作りには特に意識しているという。限定商品販売の取り組みや「デニッシュバー」という特設の専門コーナーも設置している。また、月間重点商品の販売にも力を入れており、5月は「檸檬パイ」を限定販売。ポスターや店舗装飾など一連のPOP類をすべて社員が手作りで製作、客の目を引く工夫がなされている。
 「弊社が展開している店舗は、デイリーで気軽にご利用いただける地域密着の店だと考えていますので、毎月推薦する商品を打ち出し、お客様が何時来店されても飽きないような取り組みをしています」と江崎氏。  売れ筋商品は、1位があっさりした塩味のパンにコンデンスミルクを入れた「ミルクパン(税込139円)」、2位がベーコン・キャベツ・トマト・チーズ入り「パニーニ・ベーコン(ハーフ同159円)」、3位が「祇園山笠明太子フランス(同345円)」。食パンも人気があるそうだが、やはり上位は菓子・惣菜系が占めるという。月間重点商品がベスト3に入ることもある。5月単月では取材日現在で「檸檬パイ」が第3位。
 会社として、力を入れているのは商品開発だという。定番商品に加えて話題提供ができる商品を昨年から本腰を入れて発売した。
 江崎氏は「人気第3位の『祇園山笠明太子フランス』は、他社との差別化を第一義とし博多祇園山笠振興会の認定も取得しました。福岡は、明太子フランスの激戦区なので研究を重ね、フランスパン生地(140g/個)にこだわり、明太子は地元メーカーとのコラボによって完成した、この商品だけに合った明太子を使用しています。包材もオリジナルで、今までにない売り方でチャレンジしています。他にも四元豚を使った『特厚カツサンド(同650円)』のような付加価値が高く、価値に合った価格で販売できる商品を開発しています。専用箱には豚の足と鼻を形取った紋章を入れ基調の茶色はソースを、紋章の白抜きは食パンを、オレンジの商品名は辛子をイメージしています。既存の概念にとらわれない発想でお客様に楽しんでいただきたいと思います」と述べた。
 既に始まっている高齢者社会について、卸しビジネスの中で模索しているという。何が高齢者向けなのかはしっかりと吟味しなければいけないと前置きした上で江崎氏は「病院向けの商品などを開発するとともに、パンの原材料の告知、食べ方の提案に傾注しなければなりません。また、パン文化を広げようとするならば、根本や基本を理解していただかなくてはなりません。すべては、誰に何を売りたいのかを明確にする必要があると思います」と語った。
 最近、将来第2の柱にしたいという福岡空港や九州新幹線での車内販売を本格的に始めた。快適な移動空間を提供するだけでなく、旅行者に対して選択肢を増やすというサービス向上でより移動時間を楽しくすることを目指している。
 特に、車内販売は他の新幹線や在来線で廃止が相次いでいる中、嬉しい取り組みだといえる。  今まで培ってきた地域に愛されるベーカリーをベースにして継続し、厳しい競争を勝ち抜くための展望を次のように述べた。
 まず、店舗では、お客様が常に五感で楽しいと思っていただける店作りを目指します。そのためには、商品開発、接客、店舗デザインに注力し差別化をしたいと考えます。
 上場を目前にしているJR九州グループの一翼を担うベーカリー事業会社としては、店舗と外商(卸し)を中心にした展開で、更なる事業規模の拡大を図りたいと考えます。具体的には、5年後50店舗と既存店の効果的な改装を行います。
 加えて、価値あるものを高く売る努力をしなければならないと考えます。他業界から参入した者の目でパン業界を見ると、従業員の待遇等は発展途上だと思います。パン業界の発展のためにも、ホールセールとの歴然とした差を出して、圧倒的な商品力で激しい競争に臨もうと考えます。

【トランドール博多駅店】
〒812-0012福岡市博多区博多駅中央街1-1
TEL092-471-9482
▽営業時間=6時〜22時30分
▽アイテム数=100〜120
▽従業員数=正社員:10名、パート・アルバイト:約50名

【Mトランドール】
〒813-0044福岡市東区千早4丁目92番24号
TEL092-681-8711、FAX092-681-8715
▽設立=平成4年4月1日
▽株主=九州旅客鉄道M、Mマーメイドベーカリーパートナーズ
▽事業内容=パン・菓子製造販売、飲料品及び清涼飲料小売、飲料品及び清涼飲料卸売、飲食店など
▽店舗=福岡県23 ・大分県2・宮崎県1、佐賀県3、長崎県5、熊本県3・鹿児島県3・山口県2・計42店
▽従業員数=正社員:約100名、パート・アルバイト:約800名

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檸檬パイ

特厚カツサンド