Founee Bakry フォーニー・ベーカリー〈カリフォルニア州〉
旬の地元オーガニック食材を使い
確かな技術で顧客を魅了

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外観

フランク・サリーさん

店内の様子

 UCバークレー校のあるバークレー市は、大学生が集う学生街でありながら高級住宅地でもある。その山の手に2年前、「フォーニー・ベーカリー」が開店した。同店舗は、38年続いたベーカリー「ブレッド・ガーデン」があった場所だ(2009年10月号で取材)。

 「フォーニー・ベーカリー」のオーナー、フランク・サリーさんは、自宅から近いこのベーカリーの立地が気に入り、開店する2年前、前オーナーに会って名刺を渡し、もし引っ越したりする時には連絡してほしいと伝えたそうだ。その時には、そのつもりはないと言われたが、数カ月毎に様子伺いのカードを送り続けた。その甲斐があって、引越しの際に、地主から連絡先を聞くことができ、希望通りの場所で、初めて自分の店を開業することになった。申請許可待ちなどを合わせて、10カ月をかけて改装した店内は、リノリウムの床を_がして、元の木の床に戻したことで、煉瓦の壁が映える温かい雰囲気になった。
 「食の世界に入ったのは15歳で、アイスクリーム店でアイスクリームを作り始めた時です。その後、大学に入学。自分に向いている仕事を模索した結果、料理学校に入りました」とフランクさん。7年間、ホテルやレストランやベーカリーで働いた後4年間、サンフランシスコ・ベイキング・インスティチュートで講師を経験して、ベーカリーの開店に至った。
 「フォーニー・ベーカリー」の品揃えは、ケーキ、ペイストリー、パン、持ち帰りランチと多様。フランクさんは、産直のマーケットで旬の果物を品定めしてから、ケーキやペイストリーの種類を決める。取材時は、ブルーべリーとレモンバーベナ、リコリッシュのブレトン、イチゴとミントのブレトン、桃とびわのタルトなどがあった。どれも甘さ控えめで、素材の良さが引き出されている。又、チョコレートムースには、フランス産「ヴァローナ」の高級チョコレート、モーニングバンには、特に香りの良いセイロン・シナモンを使うなどこだわりを見せている。
 同店のショートブレッドクッキーは、タルトのような形で、黒砂糖、ブランデー、マイヤーレモンジャム入り。フランクさんは、マイヤーレモン(レモンとオレンジの自然交雑種)の、酸味が少なくまろやかな風味が好きで、冬の旬の時期に、たくさんのマイヤーレモンジャムを作り、あらゆる商品に使う。家で子どもの世話をしながら、鍋でじっくり煮るそうだ。
 珍しい種類の穀物にも造詣が深く、2011年には製パン国際コンクール「モンディアル・デュ・パン」のオーガニックブレッド部門でアメリカ代表として、テフ粉&ひまわりの種ローフで参戦したほどだ。
 「テフ粉はオーガニック小麦粉よりずっと高価で、手に入れるのも難しく、送料も高いので、店では使っていません。小麦粉のパンは他の店でも沢山売っているので、テフ粉を使えたら素晴らしいと思います。珍しい味を一度は試してくれるかも知れませんが、お客様がそれだけの金額を払ってくれるか、毎日買いに来てくれるか、などを考えるとビジネスとしてはリスクが大き過ぎます」
 ハード系パンでは、バゲットとパン・オ・ルヴァンが特に好評で、シンプルなパンだからこそ、確かな技術に基づいた誠実な仕事振りが高い評価を得ている。全粒粉パンは、全粒粉100%にも関わらず軽めの食感。ライ麦パンは、挽きたてのライ麦粉を使っているため、香りが良く、ウォールナッツ、カラント、コリアンダー入りでずっしりとしている。
 「開店当初は、小麦を仕入れて全粒粉を挽いていましたが、小麦によって毎回粉質が異なるので、それに合わせたパン作りの指導が難しく断念しました。  私達のパンは水を沢山使うので、パン作り自体が難しく小麦粉が違うと、益々難しくなります」
 ペイストリーでは、クロワッサンが一番人気。プレーン、チョコレート、ハム&エッグの他、季節商品として、根セロリ、レモンの塩漬け、ゴートチーズ、ヘーゼルナッツのクロワッサンがあった。複雑な味が絡み合い、軽食にぴったりだ。
 「クロワッサンを作るのが一番好きなので、それをお客様が気に入っていただけて、とても嬉しく思います。ハード系パンやサンドイッチも、近くの他店でも売っているので、どうなるか心配していたのですが、順調に売れています」
 ランチのテイクアウトは近隣で働く人たちが買って帰れるようなものをと、豚肩肉を一晩ローストして紅白なますと特製ソースを合わせたベトナム風バインミー・サンドイッチやフランス風ハム&チーズサンドイッチ、じゃがいも、シャーロット、ファンネル・チャード入りキーシュやアルグラ、リーク、ローズマリー、チーズ3種のピザなどがある。
 「ケーキ、ペイストリー、パン、テイクアウト各々が全体の売上に相乗効果をもたらしています。始めはどうなるか分かりませんでしたが、売れるようになって良かったと思います。
 開店時は、お客様が求めてくれている店にならなければいけないので、何を買ってくださるかを確認して、売れ筋商品に力を入れました」結果は、2年間で客数は2倍に増え、1日350件から500件のレジ取引がある。  あまりにも開店までの準備が大変だったので、もう二度と新しい店を始めるつもりはないと言うフランクさんの「フォーニー・ベーカリー」は、これからも、旬の地元オーガニック食材を使い、確かな技術で顧客を魅了していくことだろう。
(文・写真:田原知代子)

【Fournee Bakery】
▽住所=2912 Domingo Ave Berkeley, CA, 94705
▽電話=(510) 549-9434

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サセイロンシナモン入りモーニングバンなど

全粒粉パンなど