BOO〈京都市伏見区〉
商品も価格も「らしい」パンを作る
目標を人材育成に絞り2店舗目に繋げる

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店舗外観

横田智寧氏

店内の様子
 

パン棚

食パン類

カレーパン

 インターネットで京都市伏見区のベーカリーを検索すると、関西地場の中堅チェーンベーカリーの店舗も含め約70軒がヒットする。同区は、約128000世帯で約281000人が暮らす。ヒット数だけでの平均は、約18300世帯に対し1軒のベーカリーが存在することになる。さらに、カウントされていないベーカリーも当然存在し、厳しい顧客の争奪戦が想像できる。そのような激戦区にBOO(ブー)は昨年10月26日に新規開業、近隣を中心に固定客を増やしている。

 京都市営地下鉄烏丸線くいな橋駅と京阪本線深草駅とのほぼ中間地点の道路沿いにある同店は、龍谷大学深草キャンパスに隣接し周囲にはパチンコ店やラーメン店、学生マンション仲介店などがあるものの、基本的には住宅地に立地する。
 代表者の横田智寧氏は、摩里夫人とともに新規オープンする店舗を探し、最終的に5カ所に絞り込んだという。
 「開業する2年ほど前からこの場所は知っていて、良い場所だと思いましたが、家賃が高い上にスケルトンだったので躊躇していました。しかし、家賃が若干下がったことを聞き付け具体的な交渉に入りました。ベーカリーの厨房設備は高額なので7割近くはリユースですが、それでも開業に至るまで資金調達が大変でした」と横田氏は語った。
 店名は、昭和42年までNHKで放映されていた人形劇「ブーフーウー」に由来する。「自分の店を持つ以上、3店を展開したいという想いから1店舗目を長男のブーにしました。近い将来『フー』『ウー』に繋げたいと考えています」。
 店のコンセプトは「楽しく、丁寧なパンを作ること」。子どもたちが100円玉を握りしめて店に来ても買えるパンを作り、子どもたちに喜ばれる優しいベーカリーになることを理想としている。
 横田氏は、神奈川県出身。高校を卒業後、和歌山県有田郡にあるMカワグループで2年間パンの修行をし、その後、京都のルパンベーカーズで4年間勤め、パン製造以外に商品企画や広報、広告等の企画を経験した。京都で店を持ちたいと強く思っていた訳ではなかったが関西に長く住んでおり、横田氏が京都のベーカリーで働いていたことから地の利があったこと。また、40歳までには自分の店を持ちたいという夫婦共通の目標を実現できる場所が京都であったという。
 自店での製法は、長時間発酵の生地が基本。「現在は、一人でパン製造を行っているので生産効率を考えてオーバーナイトを多く採用しています。朝が早く長時間労働のベーカリーは、人材の確保が思うようにできなくなっていることから、将来の3店舗展開を考えると今からオーバーナイト製法を確立しておく必要があると考えます」。
 開業に当たり、店舗のイメージ作りや内装、接客に関するハウトゥーは、夫人が担当。商品アイテムは、横田氏が知恵を絞り技術を結集した。
 「誰でも食べたことのあるあんぱん、クリームパン、カレーパンなどは、より美味しく買い易い価格で提供したいと思っており、仲間からは『安過ぎ』と言われることもありますが、この想いは変えたくありません。より美味しくのポイントは、クリームパンならクリームがとろけるように、そのパンの特長を引き出し『らしさ』を強調することを目指しています」
 売れ筋商品第1位は「カレーパン」。第2位は「塩パン」で、第3位は「食パン」または「クリームパン」。子どもたちがよく買うパンも「カレーパン」。摩里夫人は「『スーパーで買う食パンは、子どもが耳を残すのでもったいないが、BOOの食パンは耳まで食べてくれる』と小さな子どもを持つ母親の客から言ってもらえます」と話した。
 客層は曜日や時間によって異なるらしいが、子ども連れの主婦が比較的多く、京都市内でも遠くから車でバゲットや食パンを目当てに来店する客も増えているという。平日の昼間は、大学が傍にあることから学生客は多いが価格には厳しいらしい。「毎日、少しずつ買ってくださるお客様がいらして、来店されないと体調をこわされたのかと心配になることもあります」と夫人。
 パンの価格と価値の兼ね合いを横田氏は「原価計算上、当店の分岐点を上回ったり下回っている商品はありますが、原価とは関係なく、そのパンが持つ価値が重要だと考えます。例えばクリームパンのクリームにこだわって最高のクリームを使用したとしても破格のクリームパンはあり得ないと思います。商品も『らしく』なら、価格も『らしく』でなければなりません」。
 また、摩里夫人は「今のところ、どの商品が特に美味しいということではなく、全てのパンが美味しいと思っていますが、オープン9カ月で定番商品がある訳ではなく、今後、二人で努力を重ねて定番商品を築きたいと思います」。
 横田氏は、今後の展望を次のように語った。
 「はっきりとした展望は、正直に言って見えていません。まず、自分の代わりができる若いパン職人を育てることです。その前に人を雇えるように生産能力と売上を安定させなければなりません。目の前にある展望は人材育成で、3〜5年で2店舗目をオープンさせることです」
 大学に近いという立地を活用して、部活動などで腹を空かせた学生にパンを供給することも考えたいとしている。

【BOO(ブー)】
〒612-8403京都市伏見区深草ヲカヤ町33-5
TEL・FAX075-634-8013
▽従業員数=4名
▽営業時間=9〜19時
▽定休日=日・祝日
▽駐車場=なし
▽客単価=約500円
▽主な設備=オーブン、フリーザー、ドウコン、ミキサー、シーター、フライヤーなど

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塩パン

クリームパンなど