ノーブルフォーク・アイスクリーム&パイ・バー
Noble Folk Ice Cream & Pie Bar〈カリフォルニア州〉
カップケーキのベーカリーで有名なオーナー達が始めたアイスクリーム&パイ・バー

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店舗外観

左からクリスチャン・ソルバーグさん、サラ・デイビスさん、オズヴァルド・ヒメネズさん

白と黒を基調にした店内の様子
 

接客の様子

パイアラモードに「スタンプタウンロースター」の水出しコーヒー

いちご味噌アイス

 2013年3月号で紹介したベーカリー「マスタッシュ・ベイクド・グッズ」の若きオーナー、オズヴァルド・ヒメネズさんとクリスチャン・ソルバーグさんが昨年、ベーカリーから歩いて5分ほどのヒルズバーグの中心街に「ノーブルフォーク・アイスクリーム&パイ・バー」を開店した。

 「マスタッシュ・ベイクド・グッズ」は2011年、経営担当のオズヴァルドさん、メニュー担当のクリスチャンさん、メニューなどのイラストやウェディング担当のサラ・デイビスさん、オズヴァルドさんの姉とで始め、ベーコンを載せたバニラカップケーキなど独特な組み合わせで、新しいタイプのベーカリーと話題になった。
 どうしてベーカリーがある同じ町に、アイスクリームとパイの店を出すことにしたのだろう。「他の都市に2軒目を出そうかと考えたこともありましたが、1軒目を出して3年後、ヒルズバーグに、アイスクリームをきちんと作っている店がいないことに気付きました。既にベーカリーで私達のことは知ってもらっており、コミュニティのニーズも分かっているので、2軒目となる異業態も同じ町に出すことが賢明だと思いました」  同店のパイの特徴は、古代ローマでも食されたという珍しい小麦「ボレロ」や「ファロ」と、地元で採れた旬の果物を使っていること。
 「アメリカでも昔は、1種類の穀物が病気になっても困らないように、様々な種類の小麦を育て、それらを使ってパイを作っていました。観光客は、訪れる土地のものを味わいたいと思っておられるので、地元で採れた穀物と果物にこだわっています」
 ボレロ粉を混ぜたパイ生地は、一般的な小麦粉だけで作ったものよりも硬めで、風味がある。店頭には、瓶詰めのボレロ粉も販売されている。
 パイ(一切れ5ウ)は通常5種類あり、取材時にはブルーベリーのコンポートが載ったメイヤーレモンカスタードパイ、ボレロ粉入りのパイ生地を使ったいちごブルーベリー生姜パイなどがあった。前者は、マイヤーレモンの甘みの強い酸っぱさと、たっぷりのったブルーベリーのほのかな甘さがうまくマッチしていた。後者は、果物の自然な甘みを生かしたずっしりとしたパイで、冷たいアイスクリームと共に、パイアラモード(7.50ウ)にして食べると最高。なんと顧客の8割が、パイアラモードを買うそうだ。オレオクッキー・クラストを使った、ココナッツホイップクリーム入りチョコレートムースパイもおいしそうだった。
 夏の限定期間、シングルオリジンパイ(一つの場所で生産された食材だけを使うパイ)も販売される。
 「同じ場所で採れたコーヒー豆だけを使うシングルオリジンコーヒーをヒントに、パイを作ってみることにしました。地元の同じ農家から、ボレロやファロ、ラードを購入していますが、その農家から熟したブラックベリーが届き次第今週にも作る予定です。チョコレートパイやマッドパイが中心になる冬でも、常に旬の時期に作った果物のジャムなどを使ったパイを1種類は置くようにしています」
 アイスクリームは12種類あり、アーモンドカルダモン、いちご味噌、タイアイスティー、生姜、チョコレートココナッツなど、アメリカでは珍しい味が多い。
 「ヒルズバーグには、地元の新鮮なオーガニックの食材を使って地元で作られたアイスクリームがなかったので、味の違いが分かってもらえると思いました。いちご味噌アイスが1番の人気です」
 ワインの名産地であるヒルズバーグには夏に観光客が多く、アイスクリームがよく売れるが、冬は売上が少なくなる。その分、11・12月のホリデーの季節になると、丸ごとのパイ(30ウ)の売上が伸びる。昨年の感謝祭には、300個以上のパイが売れたそうだ。
 多くの客が一度に来店しても、アイスクリームまたはパイのいずれかを選ぶことができ、どちらも好まない人は土産として買える。パイは、アメリカでは滅多に見ることのない、別売りの木のパイボックスに入れ、付属の皮ひもで結ぶと、高級感溢れるプレゼントになる。店内には、地元の桃で手作りされたジャムやケメックス、北欧関連の本など、クリスチャンさんの確かな目で選ばれた商品も並んでいる。
 コーヒーは、「マスタッシュ・ベイクド・グッズ」で提供しているものとは別の「コーヒー業界第3の波」のひとつ、ポートランド発の「スタンプタウンロースター」のコーヒーを選んだ。
 「小さな街で食べ物商売に携わっていると、様々な新しくておいしいものを紹介する義務があると思います。地元のものにこだわっていますが、地元だから良いとは限らないので、創造力が必要になります」
 アイスクリームに、熱いエスプレッソをかけるアフォガト(4.50ウ)も人気だ。アーモンドカルダモンアイスで北欧風にしたり、タイアイスティアイスクリームと合わせたりと、甘いアイスと苦味のあるエスプレッソの組み合わせが楽しめる。
 「経営者として、決して、目標の販売量や売上だけで満足してはいけないと思います。2軒目がうまく行くことは予め予測できていました。初日から一日の売上がベーカリーよりも多く、相乗効果で『マスタッシュ・ベイクド・グッズ』の売上も去年より増えました」
 26歳で自分の店を始めて一番難しかったことは、同じ年頃の人たちが遊びに行っていても、そんな時間はなく、若さを忘れて、経営者として成長しなければならなかったことだとオズヴァルドさんは言う。努力の甲斐があり、今では両店合わせて22人の従業員を雇用するまでになった。そして、2年前には「マスタッシュ・ベイクド・グッズ」は全国ネットの料理番組「ユニーク・トリート(珍しいおやつ)」で紹介された。  「店はその時、既に軌道に乗っていましたが、番組で紹介されたお陰で、若い私達の商売に対して心配していた年配の人たちが、認めてくれるようになりました。少し時間はかかると思いますが、いつかこの店も紹介してもらえれば良いと思います」
(文・写真:田原知代子)

【Noble Folk Ice Cream & Pie Bar】
▽住所=116 Matheson St., Healdsburg
    Healdsburg, CA 95448
▽電話=(707) 395-4426

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アフォガト2種

メイヤーレモンカスタードパイ

いちごブルーベリー生姜パイ