イーストウィンド・ベーカリー〈カリフォルニア州〉
ソノマ郡唯一のアジア系ベーカリー
ペイストリーの存在をPR

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トニー・タムさんとドーグ・クイックさん(右)

店舗外観

店舗内の様子

 2014年11月、カリフォルニアワインで有名なソノマ郡の中心地、サンタローザに、初めてのアジア系ベーカリーが開店した。

 オーナーは、16年間ウェブ開発会社を経営し、グラフィックデザイナーだったドーグ・クイックさんとプログラマーのトニー・タムさん。
 「ウェブ業界は変化し続けていて、第2のキャリアを探さなければとずっと頭の隅で思ってきました」とドーグさん。2人とも料理好きだが、子どもの頃からベーキングをしてきたのはドーグさんで、トニーさんは、商品の幅を広げるため新たに湯種パンの作り方を学んだ。湯種を使ったミルクブレッドは日本の食パンのようにしっとりしている。
 「最初はパーティに出すパンなどを作り、その後、ファーマーズマーケットで販売したところ、好評だったので、ベーカリーを始めることにしました。ソノマ郡は、年中、新鮮な果物や野菜があるので、ベーカリーをするには最適な土地です」
 市の南西部にできた新興住宅街の大通りに面している店舗は、少々分かりにくい場所にあるが、知る人ぞ知るという雰囲気だ。モダンアジアンスタイルの店内は広々としていて、2人掛けのテーブルが5つ、6人掛けのテーブルが2つある。
 「開店当初は、何も知らずに西洋風の一般的なカップケーキを食べに来たお客様がいて、当店の特長を伝えることが難しかったです。私達は、お客様が食べたことも聞いたことのないジャックフルーツなどのエキゾチックな果物やカヤを使った商品など、まず、どんなものかを知ってもらうことが必要ですので、どの商品も試食ができるようにしています」
 カヤは、南アジアのパンダンという葉で作ったぺーストだが、同店では、その風味をココナッツミルクやバナナと混ぜて、西洋風にアレンジし、食べ易くしている。他にも、ライチを挟んだスポンジケーキに、アーモンド味のホイップクリームを載せた「焦がしアーモンド・カップケーキ」や、いちごとライチを挟んだスポンジケーキに、ローズウォーター入りホイップクリームを載せた「イスパハン・カップケーキ」がある。
 クロワッサンは、アメリカではどの店にでもあるチョコやハム&チーズだけではなく、ココナッツ、BBQポークキムチ、豚バラ、ベーコン・チェダー・ハラペーニョ、チョコベーコン、ガーリッククリームチーズ、スパムわさび、うなぎ椎茸など珍しい種類がある。
 湯種を使った中華まんは、ココナッツ、カレービーフ、カスタード、紫芋、小豆など様々だが、一番人気は、アメリカ人に馴染みのあるBBQポークまんじゅうだそうだ。
 ランチメニューも充実しており、ベトナムサンドイッチの「バインミー」が人気だ。取材日には、地元の病院から190個のバインミーの注文が入ったという。人気商品と同様にランチでもBBQポークまんじゅうがよく売れるが、韓国風ビーフ、東南アジア風ビーフ、レモングラスチキンなど売れる種類の多さが特徴だ。パイ生地を被せたポットパイの味も独特だ。
 「シンガポールチキンは、トニーの作るシンガポールのバターシュリンプを食べて閃いたレシピ。パプリカ、カレー、バター、パリカッタリー(インドのベイリーフのようなもので風味がもっと強い)をチキンポットパイに使ったらどうだろうと試してみたら、うまくいきました」とドーグさん。
 クラムチャウダーも、同店ではインドのカレーリーフを入れるので、ひと味違う。二人とも新しいものを試すことが好きで、常に独自のレシピを考えている。
 飲み物で珍しいものは、台湾で人気のあるシーフォームコーヒー。甘塩辛いホイップクリームと好みのスパイスが入れられるコーヒーで、台湾オリジナルから甘さと塩辛さを調整して提供している。
 この地域にはアジア系の人は少ないが、旅行でアジアを訪れこうした味を既に知っている人もいる。ソノマ群にアジア系ベーカリーは一軒もなく、競争相手は皆無だ。わざわざ1時間半も車を運転してサンフランシスコへアジア系パンやペイストリーを買いに行かなくて済むので、地元民のニーズを満たす貴重な存在。
 二人とも麻雀が好きで、収集した麻雀セットの一部を店内の壁に飾っている。「東風」という店名も、麻雀で新しいゲームを始める時の最初の風なので、新しいキャリアを始めるには良いと思って名付けたという。 アメリカではあまり知られていない麻雀を広めるため、隔週日曜日には店で希望者に教えており、1〜8テーブルが埋まるそうだ。
 ドーグさんとトニーさんは、ウェブ会社を経営している時、基本的に二人で仕事をこなし、必要な時は、そのプロジェクト用に契約社員を雇っていたため、本格的に人を雇うことは初めてで、大変だという。
 「レストランも初めて、商業規模でベーカリーをするのも初めて、全てが新しいことだらけで、沢山学びました。製造スケジュールを効率的にして、私達2人を含めて合計5人で店舗運営をしています。思っていたより大変な仕事ですが、2人とも料理が好きで、お客様から感想を直接聞けるのが楽しいです。素晴らしい人たちにたくさん会えたことが良かったです。これからもペイストリーの種類を増やし、この場所に店があることを知ってもらうために、広告を出すことも考えています」(文・写真:田原知代子)

【East Wind Bakery】
▽住所=3851 Sebastopol Road #109 Santa Rosa, CA 95407
電話=(707)709-6098

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BBQポーク・バインミー・サンドイッチ

湯種を使ったミルクブレッドとバゲット

柿カヤ・クロル、ヌテラ・ロール、BBQポークまんじゅう