パナデリア・オカダ〈大阪府摂津市〉
時代を反映せずブレないパン作り
安らぎを感じるパンを作り続ける

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岡田健史氏

店舗外観

店内の様子

 パナデリア・オカダ(岡田健史代表)は、約40年前、先代(健史氏の父)が脱サラして母方の祖母宅の一部を店舗に改装し、アローム(現オイシス)のフランチャイズとして起業した。順調に顧客の購買心理を射るベーカリーとして成長したが、店舗周辺が駅前再開発事業に係り商業権を残し一旦休止した。その間に先代が心臓病を患い健史氏が意志を継ぐことになった。

 岡田健史氏は、栄養士専門学校を卒業後、栄養士資格・調理師免許を取得しホテルやレストランで約3年間修行した。ベーカリーの継承が決まると、東京に出て日本パン技術研究所に入所。著名講師や有名ベーカリーシェフと出会いパン作りのおもしろさに開眼したという。
 同店は、JR東海道本線千里丘駅東口のフォルテ摂津1Fに立地している。1992年に同駅前再開発事業の一環として建設された複合商業施設で、残していた商業権により、フォルテ摂津のオープンと同時に再出発した。
 「当時、外国でパンの勉強をしたいと思っていましたが、決断する勇気がありませんでした。今でも行くチャンスはありますが、その時の感性ではありません。20歳と18歳の子どもがいますが、夢と目標を持ち、実現する勇気を持てと言っています。子どもは、親を越えなければなりません。現状に甘んじていると成長が止まり、さらなる高見を目指さなければ前には進めないと思います」と岡田氏は述べた。
 他人と比較して、良し悪しや勝ち負けを決める風潮が覗えるが、岡田氏は比較をしないという。勝ち組や負け組は、相対的な現象であって自己満足に過ぎない。有名になることが勝ち組ではないと考えている。何もしないで勝ち組になれることは不可能だが、時代背景やタイミングに大きく左右されるため、有名でない店が必ずしも「良くない店」とは限らない。本人がブレないことが最も重要という。
 同店のコンセプトは「今の時代を反映していないパン作り」。
 「即席法でパンを作ると、焼き立ては美味しいが1日経つと不味くなります。また、全く異なった姿になってしまいます。パンは生き物で、正直であることを理解しなければ、良いパンを生み出すことはできません。クォリティーの高い商品をなるべく抑えた価格で提供すること。時間を惜しまずパン作りに没頭することが私のコンセプトです」
 パン作りは、作りたい商品を頭の中で描き構成する。モノづくりは、何でもプロセスが大事だと考えている。「若いパン職人たちがどのような思いで日々パンを作っているかは分からないが、少なくとも美味しいものを大切な人に食べていただきたいという純粋な心でなければいけないと思います」
 製法では、食パンは基本的に中種法と湯種法。菓子パンとバターロール生地の配合は、先代から引き継いだレシピを変更していない。
 6年ほど前から、ライ麦で起こした種を継いでいる。ルヴァンやフェルメント(発酵液種)を使用し、12時間冷蔵発酵法を用いて、バゲット・カンパーニュ・セイグルなどの食事系、ヴィエノワ類、クリスマス限定でシュトーレン・クグロフなども手掛けている。長時間寝かせることで、粉の旨みを引き出し、外皮は、軽くカリッとして口溶けの良い食感に。内相は、モチモチして噛むほどに旨みが増し、鼻から抜ける小麦粉の香りが楽しめる。料理の名脇役として、食卓に上がることを期待している。
 店舗厨房では、約20種類の粉を常備し、ムール・ド・ピエール石臼挽粉(熊本製粉)、十勝産小麦、ライ麦粉、全粒粉をブレンドし、深味のある味に仕上げる。これらは、日替わりで通常の粉を使ったパンとともに製造している。
 塩は、赤穂の天塩・沖縄のシママース・ゲランドを使用、パンの種類によって使い分けている。
 売れ筋商品は次の通り。
◇パリーネ食パン(1本・2斤分/税込640円):さっくりとして、もちもちとした確かな口当たりの食パン。同店No.1商品。好きな厚さにカットして食べられる。
◇ドイツパン(同小160円・大220円):よつ葉バター、新鮮な卵など高級材料を使用している。成形後発酵させずに焼くため、腹もち感があり濃厚な味。同商品のみを目当てに来店するファンも多い。
◇バターロール(5個入/同400円):よつ葉バター使用。そのままでも美味しいが、野菜・ハム・卵などを挟んだ朝食メニューに、アイスクリームなど挟んで食べると美味しい。
◇和(なごみ)食パン(1本・2斤分/同640円):生クリーム、よつ葉バターなどを使用。そのままで美味しく食べられる。好きな厚さにカットできる。
◇レーズン食パン(1本・2斤分/同820円):ラム酒に漬けた葡萄が香り豊かににおうこだわりのパン。  売れる時間帯は、12時前と夕方。仕事帰りの働く女性と主婦がメイン顧客。
 従業員不足が問題視されているが、同店ではほとんど影響がないという。勤続37年という先代からのパートを筆頭に勤続10年以上が数人。高校生アルバイトも1年以上続いており、大学生になっても続けたいという意志がある。「私と妻の2人で運営していることが要因だと思っています。そして、働く人の考え方や仕事の進め方を尊重していることが好循環しているようです」
 岡田氏は、将来の展望を次のように述べた。
 「パン作りは、子育てと同じだと思います。手をかけていつも見守ることが必要です。いい加減に作れば出来も悪くなります。仕事帰りの人たちがパンの香ばしいにおいにホッと安らぎを感じるような本物でおいしいパンを作り続けたいと思います」

【パナデリア・オカダ】
大阪府摂津市千里丘東2-10-1フォルテ摂津1F
電話072-621-6999
▽営業時間=9〜20時
▽定休日=日曜
▽駐車場=約150台(有料/フォルテ摂津内)
▽従業員数=正社員2人、パート・アルバイト4人
▽主な設備=ミキサー、オーブン、フリーザー、ホイロ、フライヤーなど

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パリーネ食パン

カンパーニュ