パン工房鳴門屋 桃谷本店 〈大阪市生野区〉
パンをより価値のある商品として差別化を図り
今後のパン業界を見据えた新しい方向を模索

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長江専務と社長




 

宮田氏(中央)、長江加織氏




 





フルーツデニッシュ
 

caf & dining Jimmy

カンパーニュ 130円

気まぐれタルティーヌ200円

パンの製造・販売を手がける鳴門屋製パンM(長江稔社長/本社:大阪市平野区)が10月3日、「パン工房鳴門屋桃谷本店」(大阪市生野区)と同店2階「カフェ&ダイニング ジミー」をリニューアルオープンした。
 今回のリニューアルは、ブーランジェリーミヤタの宮田顕シェフとのコラボレーションによるものでパン業界では珍しい試みとなる。オープン初日は、朝7時の開店と同時に行列が出来るほどの賑わいで、約2200人が来店し、閉店の1時間前には完売となるほどの盛況だった。

 鳴門屋製パンMは昭和9年創業から、地元を中心に、直営店8店舗ほか、スーパーのホールセールなど、卸先も拡大し、飛躍を続ける。また、『全国ご当地パン祭り』では毎年上位入賞し、昨年は「お好み焼きパン」で1位を獲得するなど、常にアクションを起こしている。
 店舗展開においても昨年は、9月30日に_島屋との共同開発により新ブランドのコッペパン専門店「ナルコッペ」を_島屋大阪店に、12月8日には、JR京橋駅西改札口に、鳴門屋製パン初の駅ナカ店を出店した。  今回リニューアルした桃谷本店は、同社の顔とも言うべき店舗だ。1階がパン売り場と厨房、2階が70席のカフェ&ダイニングになっている床面積90坪の大型店。JR桃谷駅から続く商店街の入り口すぐの場所にあり、地元で愛され続けてきた。
 今回のリニューアルに関して、長江伸治専務は次のように話した。
 「近々、JR桃谷駅に競合店が出店します。駅ナカということで、当店のお客さんが流れてしまう可能性があるので、それまでに何か対策を練らなければと考え、リニューアルを実施しました。当店は地元では老舗として、長年愛され続けてきましたが、それに胡座をかいていれば、お客さんは遠のいていきます。自店が活性化していくためには他店とは異なる価値を提供しなければなりません。顧客にとって価値のある新たなサービス・商品を生み出せるかを、入念に検討する中で、宮田さんの商品を取り入れようと思いました。宮田さんはそれをすぐに快く引き受けてくれました。また、以前から、宮田さんの作る商品に対し興味を持っていましたので、妹の加織を宮田さんの店で修業させていました」
 長江加織氏は「宮田さんの店で昨年より1年ほど働きました。働いていたときには意識していませんでしたが、桃谷店に戻ってきたときに、どれほどブーランジェリーミヤタに影響を受けていたかに気付きました。同じ場所にいるとその中しか見えません。自店では昔から『安くてボリュームのあるパン』が根底にあり、ハード系は売れないと思っていました。しかし、地域の方に合うように生地の配合を変えたり、素材の使い方、商品の見せ方など、学ぶことが出来ました。
 また、視野を広げたいとの想いで、カナダのバンクーバーにわたりドーナツ店で働いていたこともあります。そこではフィリングも全て1から自店で作り、着色料を一切使わず、フルーツや野菜を使用してカラフルな色を演出していました。ドーナツにキャラメルポップコーンが載っていたり、斬新的な発想と見せ方に刺激を受けました。そして1年半後に帰国し、就いたブーランジェリーミヤタでは、デニッシュにキャラメルポップコーンが載っていたり、フルーツや野菜などカラフルな色調の商品などがありました。それを目の当たりにしたとき、まるで海外の発想だと思いました」とこれまでの経験を振り返った。
 宮田氏は「パン屋同士のコラボは、前例が無いと思いますが、きっとお客さんは興味を示すと思いました。この店ではハード系は売れにくいと言うことで、お客さんが購入しやすいように小ぶりにしました。生地の配合もアレンジし、チーズや野菜などを組み合わせ、食べ方の提案をするなど、様々な工夫をしました。今回のリニューアルで間口を広げ、今までに無い商品や敢えて高価格の商品でパンの位置付けが見直されればと考えました」とコラボについて話した。
 当日は、宮田氏が企画したまさに宮田カラーといえる商品が並び、顧客の目を引いた。SNSではお馴染みの旬のフルーツを使用した「フルーツデニッシュ」340円は、この日一番の売上で7%(分析=売上金額)を占めた。店内は終日賑わい、効果的なコラボが実現した。
 専務は「当社では、各店舗常に『地域一番店』を目指しています。この情緒あふれる下町で客単価を上げていくために、今回は、複数ある店舗の中で、本店ならではの差別化を図った店舗展開を考えました。価値ある商品で、ワンランク上るきっかけになればと思っています」とコンセプトについて話した。
 宮田氏は、オープン前に、商品決めのミーティングとともに新商品の指導に当たり、同店で講習を行った。その際の印象について「従業員の人たちは、直ぐに私を受け入れてくれました。向上心が高く、大変熱心でした。皆さんと良い関係が築け、私自身も勉強になりました」また、「この店では、新入社員に作業を任せています。ベテランの人がサポートしながらですが、とにかくやらせてみるといった育成です。この会社のポリシーなんだろうと思いました。私の店ではこれが出来ていません。それが、人の続かない理由だったと思い知らされました」と宮田氏は話す。
 同社では「焼きたての美味しいパン」と「親しみやすく明るい接客」でおもてなしする。それを実現できるのは人の力で「企業は人なり」の理念のもと人材育成にも力を注いでいる。
 専務は「パンをより価値ある商品として、お客さんに見直してもらうことと、もう一つはこれからのパン業界を見据えた新しい方向性を模索しながら、常に進化をし続けたい。今回のリニューアルがその第一歩だと思います」と、今後の展望について話した。

【パン工房鳴門屋桃谷本】
大阪市生野区勝山北1-1-2〒06-6718-1001
営業時間:7〜22時
定休日:元旦を除き年中無休

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