ザ・ファーマシー・ソノマカウンティ〈カリフォルニア州〉
「食べ物は薬」をコンセプトに
グルテンフリーを中心とした商品を提供

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キムさん(左)とジェニファーさん

店舗外観

店内の様子

 今年3月、カリフォルニア州サンタローザの、病院や個人クリニックが立ち並ぶ一角に「ザ・ファーマシー(薬局)・ソノマカウンティ」が開店した。1968年築の薬局だった建物で、看板も「ザ・ファーマシー」と書いてあるだけなので、カフェだと気づかない人もいる。扉を開けると、店内には大きな窓から降り注ぐ光が溢れ、店の中央にある大きなテーブルに飾られた季節のデコレーションと高い天井が印象的。

 オーナーは、キム・ボーデットさんとジェニファー・マクマリーさん。「ギャップ」や「ウィリアムソノマ」本社などで長くセールスを担当していたキムさんは、「現在、人々は食べ物にとても気を遣い、誇りを持って、最高のものを食べたいと思っています。これは大きな変化です」と言う。「ザ・ファーマシー・ソノマカウンティ」は、「食べ物は薬」というコンセプトで、地元の高品質な有機食材を使い、砂糖ひかえめで、グルテンフリーの食べ物を提供している。卵は、広い敷地で放し飼いされた、有機餌と、チーズ工場から出る乳清を食べて育つ鶏の卵を使っている。
 取材日には、桃グラノラ・スコーン、ブラックベリー・フランシエ、桃ラズベリータルト、ズッキーニマフィン、チョコチップクッキーがグルテンフリーだった。アーモンド粉を使ったブラックベリー・フランシエはアーモンドの風味が香ばしく、ホイップしたクリームチーズを載せたズッキーニマフィンもしっとりしていて、グルテンフリーとは思えない。
 シェフ歴12年のジェニファーさんは、グルテンフリーの需要は多いと言う。
 「たくさんのアーモンド粉とグルテンフリー粉を使っています。私はグルテンフリーのものを新しく作ろうとしているのではなく、私の持っているレシピをグルテンフリーにできるように工夫しています」
 週末の特別メニューは、クラフトペーパーに書いて、貼り出される。地元のベーカリー「レボルーション」による小規模で栽培された在来種穀物のパンをトーストし、高級リコッタチーズを載せ、輪切りした有機在来種トマトに、塩と熟成バルサミコ酢を振ったオープンサンドや、優しい味のトマトソースが絡んだやわらかい七面鳥ミートボールとホワイトチェダーチーズを自家製フォカッチャで挟んだミートボールサンドは、家庭の味でもなく、既製の味でもなく、もう一度食べたいと思わせる特別感がある。キムさんが「ジェニファーは、様々な風味をバランスよく組み合わせるのがうまい」と言っていたが、その通りだ。どのサンドイッチのパンも、ジェニファーさんが焼いたグルテンフリーブレッドに代えることができる。
 人気商品は、地産のベーコンや旬の在来種トマトの入ったBLTサンドと、ケールと自家製パスタ入りベジタリアン・ラザニアだ。テイクアウトの容器は生分解性のトウモロコシでできたもので、デザートの容器には再利用できるメイソンジャーを使っている。
 「この店を始めるまではタルトにしていたレモンクリームとメレンゲや、チョコレートカラメルを、グルテンフリーにするために、ジャー入りにしています。いちごとホイップクリームのシフォンケーキと、自家製クリームチーズ入りキャロットケーキも大きめのジャーに入れているので、お客様は自分に合ったものを選んでいただけます」と、ジェニファーさん。
 キムさんは「最初は小さいジャーだけでしたが、お客様の要望で、大きいジャーのケーキを加えました。お客様の多くはオフィスで働いておられるので、ジャーの蓋を閉じることができると、冷蔵庫で保管できます。オフィスで温められるように、ジャーに入れたスープの販売も始めました。サラダなどもあり、ランチの大口注文も受け付けています」と言う。
 飲み物も健康志向だ。有機牛乳と砂糖ひかえめの自家製アーモンドミルクを使う。客が好みにあわせて有機粗糖を入れる。水ベースのキーファーは、ターメリック生姜味、レモン生姜、ユバマテ味の3種類あり、乳成分を含まず、体に良いバクテリアを含んでいる。秋から冬にかけては、有機牛と鶏の骨スープを作る予定だという。
 「このあたりは医療関係者が多いので、健康的なおいしいものをすぐにテイクアウトできて、喜んでいただいています」とキムさん。
 店中央にあるテーブルには、オーガニックのオリーブ油、酢、はちみつなど実際にカフェで使っている地元の高品質な食材が陳列されている。メニューにも農家や業者の名前が書かれているので、どこから食材が来ているか分かる。
 「販売している商品や食べ物の組み合わせで、『体験』をしていただきたいと思っています。この店の空間に入り、すぐに何かを感じ、見て、食べ物を味わうと、特別な『体験』になります。オープンキッチンで調理しているのを見て、作っている人と食べる人との間で会話があると関係性ができます。健康的でおいしい食品を作って、お客様が家や職場に持って帰っていただくことを大切にしています」
 3月の開店以来、「地域社会に健康的な食の選択を提供したい」という志を同じくしていた業者や、同じ時期に開店した健康志向のオーガニックカフェが閉店する中、キムさんは次の戦略を練っている。近々、月に1〜2度、土曜日に24人限定(2交代制)の夕食会を始める予定。大きなテーブルを囲み、ワインを飲みながら、ゆったりと夕食を楽しめる。ホームページに掲載されたメニューを見て事前にチケットが購入できることや、食事制限のある人に対しても考慮できるので、人気を集めると思う。
(文・写真:田原知代子)

【ザ・ファーマシー・ソノマカウンティ】
▽住所=990 Sonoma Ave #1 Santa Rosa, CA 95404
▽電話=(707)978-2801

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桃グラノラ・スコーンなど

ズッキーニマフィンなど

七面鳥ミートボールサンド