ブーランジュリー・K・ヨコヤマ〈埼玉県川口市〉
キッチンスタジオが完成・稼働
さらなる高み目指し商品・開発力を向上

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横山氏

休日、レジ待ち客が店内を一回りする賑わい

接客の様子

 ブーランジュリー・K・ヨコヤマを展開するK・YOKOYAMAM(横山暁之介社長)は今年3月、会社社屋の駐車場を改築して設けた「キッチンスタジオ」を完成。パン商品に使用するクリームやフィリングなどの大半を同キッチンで製造し店舗に供給。より安全性が高く、上質で美味しいパンの製造を基本理念としている。

 横山社長は、ブーランジュリー・K・ヨコヤマをオープンする前、フレンチのシェフとして活躍していた。同店では、フレンチで培った技術をパン作りに活かし、惣菜パンの具材調理や菓子パンのフィリングアイデアなどもフレンチが由来となっており、従来から、美味しく、安全なパンを提供するために、パン商品に使用するソース・クリーム・餡・フィリングなどを全て店内で信頼できる素材から手作りしていた。常に健康でおいしいパンの開発・提供を目指し、幅広い客層から喜ばれるように、上質のパンを求めやすい価格での提供に心掛けてきた。
 また、ベーカリ―業界との交流、スタッフへの指導、外国人ベーカーの育成などにも力を注ぎ、様々な人々と関わりながら自身の技術や育成環境を高められるよう努めている。現在では、30年以上の海外ビジネス経験を活かして、国内外でベーカリー・レストラン関連企業、ホテル、メーカー等のアドバイザーや各種セミナー講師を務め、同店設立10年で研修を目的としたスタッフを海外(フランス・米国・ドイツ・台湾・韓国)に20名以上派遣している。
 加えて、教育の大切さを最重要視している同社は、積極的に国内外研修生を受け入れ、卒業生は10年で7名が全国各地で独立するという実績を有する。スタッフが、夢を持って一流のベーカーとして働けるよう、ともに店舗を運営し、商品開発や国内外の講習会で様々な経験をして、常に高みを目指している。
 キッチンスタジオは、このような横山社長の基本的な考え方や経歴から生まれたもので、本格的なフレンチを作ることができる機能になっており、一層の商品力・開発力向上とさらなるK・ヨコヤマのコンセプトを充実させるために設けられた。
 厨房設備は、全て特注で、フライパンや鍋などの機器類はフランス料理店で使用されているプロ仕様を揃えている。
 「若い頃、鍋・釜洗いを約2年間、経験しているので、特に機器類の洗浄には注意しています。前に作った料理の焦げなどが付着していると味に影響を及ぼすので、底の部分はピカピカに磨き上げ保管しなければいけません。店舗スタッフがキッチンスタジオで料理をすることもありますが、フレンチの基本を知らないため、後片付けが雑になります。パン作りの次は、料理を作る前にフレンチの基本を少しずつ教えようと思います」と横山氏。機器類をメンテナンスする機材類の中には、横山氏が50年近く使用しているものがあり、包丁を研ぐヤスリは目のほとんどがなくなっているなど、新しい厨房にあってフレンチシェフとしての歴史が随所に見受けられる。横山氏は「自転車に乗るような技術」と謙遜するが、奥深い技術の陰にある努力と情熱の蓄積が感じられる。
 「自腹で買ったフライパンや鍋には愛着が湧き、自ずと大切にします。厨房全体も同じことで、お客様に健康的で美味しいパンを提供するとしている店の環境が不潔であったり、後片付けが徹底していなかったりでは、根本が間違っていると思います」
 皿などの器にもこだわりがあり、色に特長がある。パンや料理の撮影にも使用しており、パン食提案の価値を一層高くしているという。ヨーロッパで見つけたものが多いらしく、日本にはない形や色遣いが印象的であった。
 必要な材料や道具は、全て手の届くところに配置されている。
 「店舗の厨房も同様ですが、原材料の置き場があって、加工・収納スペースがあり、道具類や出来上がった製品・焼きあがった製品の置き場所、使用した道具を洗う設備が、歩き回らなくてもよいように動線効率を考えて設計してあります。そのような労働環境が間接的に、研修生を呼ぶことや求人をしなくても人手に困らないことに繋がっているように思います」
 料理やフィリング類は、一部は店舗の厨房内で作るものもあるが、大半をキッチンスタジオで作り、店舗に持ち込んで加工し商品に仕上げているという。この手作りの流れが、常に健康でおいしいパン、幅広い客層から喜ばれる上質で求めやすい価格のパンの源になっている。
 休日の店舗では、レジ待ちの客が店内に溢れ、焼き上がりを告知するスタッフの声が途切れることがない。店内に入った瞬間に別世界に居るような活気が伝わってくる。これは、客の期待度を上回る商品力とK・ヨコヤマの精神が結実して生まれるのであろう。
 同社では、パンの紹介とは別に、パンの具材になる焼き豚、サラダチキン、焼きコロッケなどの作り方や加工の仕方をfacebookにアップロードするほか、ストリート性を持たせた小ドラマにして紹介している。
 横山氏は、特別なことを考えて実践しているのではないという。
 「おかしなことをしていないだけです。普通に、人に優しくしましょうから始まって、礼儀正しく、良好な人間関係を築き、家族を大切にして、人に対して良いことをするという、人として当たり前のことを教えています。また、労働環境では、パン業界の基準ではなく一般企業並みの給与・賞与の支給や実働時間・休日数に近づけています。しかし、慈善事業でパンの製造・販売をしている訳ではないので、会社活動で得た利益の範囲で最大の還元をするようにしています。弊社の会社運営でもっとも時間を費やしたことは『教える仕組み作り』でした。信頼できる中間管理職がいなければできないことなので、中間管理職の育成には約10年かかりました。ようやく中間管理職が育ってきたので、『キッチンスタジオ』のように次の段階に進むことができたのです」
 今後も一歩先を見据え、中期計画に沿った目標を達成し続けるためには、質の高い人材育成を地道にコツコツ積み重ねることが最も重要であるということを教えられた。

【ブーランジュリー・K・ヨコヤマ】
▽住所=〒333-0857埼玉県川口市小谷場455-1
▽TEL=048-263-0222
▽営業時間=7〜19時
▽定休日=年中無休
▽駐車場=20台
▽アクセス=JR南浦和駅東口より徒歩15分

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