PANメンバーズ 第110回例会
ベーカリーのこれからの可能性を探る

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 PANメンバーズ(岩郷雄介代表幹事=Mイワゴー社長)は3月28・29日の2日間、大阪市北区の大阪第一ホテルで2018年3月第110回例会を開催した。

 開催に先立ち、岩郷代表幹事が次のように挨拶した。
 今月、70周年記念号のパンニュースに特集で「製パン業の新時代に向けて」と題し全国のリテイルベーカリー経営者のインタビューが掲載されていた。その中で印象的だったことは『普通の会社でありたい』という言葉。パン業界は、休日が少ない、給料が安いなどの労働環境を改善して大企業に負けないような待遇にして人材を育成しなければならないと感じた。また、ベーカーズタイムスには、フランスのベーカリーにおける労働環境に関する記事が掲載されていた。週に40時間労働という契約制で給与も決して低くなく、年間5週間のバカンスが取れるという。現在のベーカリーでは、夢物語だが少しでも高みを目指したいと思った。
 続く講演会は、高級「生」食パン専門店乃が美代表の阪上雄司氏が「生食パン発祥の店『乃が美』の誕生とこれからについて」を講演した。
 研究会は「これからのベーカリー」パネルディスカッションが行われた。パネリストは、Mケルン代表取締役の壷井豪氏、Mイスズベーカリー常務取締役の井筒大輔氏。コーディネーターは、MP・A・N・Labo代表取締役の河原治氏。
 パネルディスカッション終了後には、協賛会員の鳥越製粉M、M田中食品興業所、友栄食品興業M、Mよし与工房が自社製品のPRを行い、経営・商品各部会より事業の進捗状況が報告され(後掲)、「長時間発酵のハード系パンコンテスト」入賞者発表と表彰式、Mベーカーズタイムス社代表取締役高家正史によりリテイル白書2017年10月版の解説が行われた。なお、M木輪代表取締役芳野栄氏による連続講話「パンの耳」は、欠席のため書面で第29話〈人の良いところに目を向ける〉が紹介された。
 終了後の懇親会では、記念撮影の後、副代表幹事の舩田洋史氏(Mぱんのいえ社長)が「弊社では今年1月から、人件費・原材料費等の高騰でパン商品を8%値上げした。1月は気付かれるお客様が少なく売上がプラスになったが、2月以降はほぼ前年度実績並で推移している。このような事例から、値上げができるベーカリーは是非、実行していただきたいと思う。私ごとだが、今年50歳を迎え健康をテーマに生きようと考え禁煙を決断し現在も続いている。PANメンバーズは今年、役員改正が行われ区切りの年になる。今後も、正会員・協賛会員が一つになって頑張りたい」と挨拶し、M田中食品興業所専務取締役の柴田和典氏が乾杯の発声をして宴が始まった。
 2日目は、坂上雄司氏講演の振り返り、これからのパンづくり(日仏商事M)、これからのパンづくりパネルディスカッション(@3〜5年後の自社のビジョン/Aそれに基づいてやるべきこと)、意見交換会などが行われ、2日間の日程を終了した。

【部会報告】
◇経営部会(南卓治氏)
北関東ベーカリー視察でペニーレイン・リバプール(ペニーレインの工場)・シェレンバウンを視察し、レオン自動機本社を見学した。リテイルベーカリー2社の共通した特長は、冷凍・冷蔵技術を駆使した製造方法と高生産性設備機械の導入。リバプールで働いている人は基本的にパートの女性で、社員がマネジメントを行なっているというスタイル。また、外国人労働者の人数も多かった。
◇商品部会(宮所忠喜氏)
ケンコーマヨネーズを協力でサンドイッチ勉強会の実施。見栄えや健康を意識したものからスイーツのようなサンドイッチが提案された。また2月には、時間短縮や作業効率をテーマにした「長時間発酵のハード系パンコンテスト」を開催した。出品数は少なかったが、中身の濃いコンテストになった。

【長時間発酵のハード系パンコンテスト】
▽趣旨及び目的=常温または冷蔵の生地で効率の良い商品づくり
▽参加条件=@新製品または既存商品A商品の大きさ自由B商品のボップやチラシを使ったPR可
▽結果=最優秀賞:紀博之氏(かめいあんじゅ)/賞金3万円、優秀賞:林直利氏(ヤナギヤ)、森和馬氏(イワゴー)、芳野健氏(木輪)/賞金各1万円

協賛会員の製品PR
◇鳥越製粉
Hケーキドーナツミックス
:使い勝手が良いミックス粉。「仕込みが簡単・生地冷凍ができる・豊富なバラエティができる・加熱時間が短い」ことから作業時間が短縮でき、利益率拡大や人手不足の解消に繋がる。
◇友栄食品興業
旨辛肉みそ神州一:味噌造り100余年の伝統を持つ醸造メーカー「神州一味噌」のみそを使用。「神州一味噌」使用が表示できる。味噌の味を効かせ、豆板醤と甜麺醤を使い、旨味の中にピリッとした辛味が感じられる。パンや他の具材に合わせやすく仕上げた。
◇田中食品興業所
特製カレー:家庭で作るカレーの味が特長。愛されるカレーの味を突き詰めた。/特製れん乳クリーム:圧倒的な口どけの良さが特長。/特製クリーミーヨーグルト(5月15日より発売):乳糖を主原料とする製品。工場の安全・衛生面をクリアして製品化できた。
◇よし与工房
2月に完成した新カタログの案内と新カタログに掲載されている商品の展示。

連続講話「パンの耳」第29話
〈人の良いところに目を向ける〉
 人手不足の問題をかかえている現状です。思うように人が集まらない。人がなかなか育たない。短期間で辞めていく。経営者にとって辛いことです。このうち短期間で辞めていく原因の一つとして考えられるのが、職場の雰囲気や社内の人間関係ではないでしょうか。
 経営者と社員、上司と部下、社員同士の人間関係を良くしていく方法の一つに「人の良いところに目を向ける」ことが挙げられます。
 私たちの習性として、人の欠けているところに目がいきがちになり、その欠けているところを指摘し「そこを正しなさい」と言って正させようとします。しかし、人はなかなか思うようには変わってくれので、その人を責めたり、怒ったりします。人の欠点に目がいくと、他の良いところが見えなくなり、その人のすべてを悪く感じるようになります。その結果、人間関係は悪化してしまいます。そうなると、人は定着せず、人は育たず、良い社風を築くことはできません。
 「過去と他人は変えることができない。変えることができるのは、自分と未来」という言葉があります。自分を変える方法の一つとして「人の良いところに目を向ける」という行為があります。人はそれぞれに他の人とは異なった良いところを持っています。そこに目を向けることで、その人の行動を受け入れ易くなります。その人の良いところを褒めることができます。お互いに良いところを認め合うことで良好な人間関係を築くことができます。社員を採用しようとする場合、私たちは面接に来られた人の良いところを見ようとします。恋愛の場合も同じでしょう。相手の良いところを見て、それを認め合うことで恋愛も成立するのです。
 もう一つ相手の良いところに目を向ける場合に必要なことがあります。それが自分に「寛容さ」があるか否かです。「寛容さ」とは他人のあやまちや欠点を責めたてるのではなく、それぞれの立場で考えることのできる、広く温かい心のあり方をいいますが、「寛容さ」があると人の欠点や悪いところが見えたとしても、気にならなくなります。むしろ人の良いところに目が向くようになります。考え方も「性善説」を取り入れようとします。一方、「寛容さ」の反対は「厳格」です。少しでもルールや規則から外れると、厳しく注意をしたり、責めたりすることです。「厳格さ」を前面に出すと、人の良いところは見えなくなり、人の悪いところに目がいくようになり、その考え方は「性悪説」をとります。こうなりますと、人は育たず、短期間で辞めていくことになります。
 木輪では、人の良いところに目を向けることを習慣化し、同時にお互いに感謝の気持ちで接するために「ありがとうカード」というものを発行しあっています。実践し始め2年になりますが、人それぞれの良いところに目を向け、そこからの行動に感謝するようになり、以前に比べ、社風もおだやかになってきているように思います。

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例会参加者