業界動向

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〈パンの生産量〉
総出荷量は10月まで1.8%減
 2021年1〜10月のパン全体の出荷量累計は、104万7432トンで昨年同期比1.8%減。内訳は、食パン48万8120トンで同5.1%減、菓子パン35万1758トンで同0.6%増、その他パン18万8000トンで同0.8%増、学校給食パン1万9554トンで同19.9%増。再三の緊急事態宣言の発出や蔓延防止措置で人流が疎になったことが最大の要因だと考えられるが、巣ごもり需要の拡大とパンの生産量は結び付いていないようだ。11・12月に期待をするものの昨年の126万4926トンを上回ることは非常に難しい。年間では、約124万7000トンで2019年を超えられるか否かと予測する。
《消費支出は1.3%減少》
 総務省が発表している家計調査2021年11月分によると、消費支出(二人以上の世帯)は1世帯当たり27万7,029円で、前年同月比実質1.3%減少している。同様に実収入は48万1,838円で、実質1.1%の増加。1世帯当たり1カ月間の米の消費金額は1,817円と2020年11月に比べ3.4%増加しているが、パンの消費金額は2,521円で2.7%減少し、消費支出の減少比率を下回っている。
 新型コロナウイルスで消費行動に大きな影響が見られた食料品は次のとおり。
 在宅勤務などによる巣ごもり需要や外出自粛による影響などがうかがえる。なお、実質増減率は2019年11月との比較。
▽パスタ=6.4%増
▽生鮮肉=2.2%増
▽冷凍調理食品=21.8%増
▽チューハイ・カクテル=31.7%増
▽食事代=▲12.3%
▽飲酒代=▲57.0%

〈課題〉
コロナ禍の波を乗り越える
 微細なウイルスによって依然として人類の文明は大きく揺さぶられている。微かに制圧の希望が見えてきたかと思えば、新たな変異株が現れて再び不安の中に叩き落される。2021年は、感染者数も金融市場も追随しようとすると振るい落とされるほど激しいボラタリティ(変動)を見せ続けた。
 多くの企業や個人が、この疫病によってもたらされた変化の中で苦しんでいる。今は、この危機の激流の中で如何に生き残るかしか考えられないという向きも少なくない。しかし、この激しい波音ノイズの向こう側に耳を澄ませると、時代が大きくうねる音が聞こえてくる。
 経営者やリーダーは、荒波の中で転覆させないように操船しながらも、自分が広い海のどこにいて、潮流はどこに向かって流れているのかを把握する必要がある。
◇インフレはどこまで
 今、世界はコロナ禍によって需要・供給ともに「0」から「100」までメーターが振り切れるように揺さぶられ続けている。グローバリゼーションによって緻密に組まれた供給網は、その緻密さ故にこのボラタリティに耐えられず、至る所で閉鎖や停滞を起こしモノ不足のインフレを引き起こしている。コロナ禍によるサプライチェーンの混乱は企業経営にとって大きなリスクになるが「インフレの直接的な原因は、新型コロナウイルス流行して都市封鎖した後、経済が復活したことで需要が急激に拡大したことにあり、短期的な混乱や問題ばかりに目を向けるのではなく、コロナからの復活という大きな流れを見逃してはいけない。2022年は、いずれやってくる上昇期への備えの年にしてほしい」という国際政治学者もいる。

〈2022年〉
こんな年になる
《食品》
 過去約30年にわたって続いたデフレ傾向が終わり、物価が上がり始めている。2022年には様々な食品メーカーが値上げに踏み切ることを決定しており、原材料としてコスト上昇につながり、利益を圧迫するだけでなく、家計に与える影響は大きくなりそうだ。
 大手製パンメーカーは、1月から製品の販売価格を引き上げると発表した。小麦・砂糖・油脂などの材料費の高騰に加え、最低賃金・包装資材・物流費の上昇が値上げの要因とされる。
 他の食品では、2月に冷凍食品やソーセージ、醤油製品。4月には国産ウィスキーが値上げとなる。また、今後の焦点は賃金の動向で、物価上昇分に見合う賃上げがなければ、消費者は出費を抑えざるを得なくなり、ポストコロナの景気回復の遅れにつながりかねない。
《プラスチック製品の規制》
 プラスチック資源循環促進法に基づき、2022年4月から企業には削減すべきプラスチック製品12品目に関する対策が求められる。12品目として挙がっているのは、CVSや飲食店が無料で提供しているスプーン・ストロー・マドラーなどに加え、ホテルアメニティーのヘアブラシや歯ブラシ、クリーニング店のハンガーなど。対面販売・サービスだけでなく、インターネット通販や配達時に提供するものも対象で、年間5トン以上使用する大手事業者は対策が義務付けられており、すでに有料化や再利用などの取り組みが始まっている。  プラスチックの代替として、木製スプーン、紙製ストローなどへの切り替えも始まっているが、コスト上昇につながるケースが多い。
 海洋プラスチックごみの汚染が深刻化し、2050年までには魚の重量を上回るとの指摘もある。微小なプラスチックによる人体への影響も懸念され、国際的な対策が急務になっている。
《労働力の確保》
 2022年4月、年金の受給開始年齢の上限が現在の70歳から75歳に引き上げられる。年金は、繰り下げて受給すると受給率がアップする。仮に65歳から受給できる年金を75歳に繰り下げると84%の増額になる計算。逆に繰り上げて受け取ると減額になる。
 引き上げの狙いは年金制度の健全化。定年後再雇用など労働人材の確保を図りながら、年金を支える側を増やしたいという考え方。
 2022年10月からは、従業員100人以上規模の企業で働くパートやアルバイトにも社会保険の適用が拡大される(現在は500人超)。雇用する側にとっては、社会保険料の負担が増える面もあるので準備が必要。
 新たな働き方として、週に3日制度も注目されている。必ずしも余暇を増やす目的だけではなく、ボランティア活動、副業を推進することで、労働力を必要とする側が人材を確保しやすくする狙いもある。

〈予測〉
パン業界に関連する業種
《エネルギー》
 国内では、再生可能エネルギーの切り札とされる洋上風力発電を巡り、国の事業公募が本格化する。国は、2030年までに1000万kWの洋上風力発電設備を設置する計画。また、原子力発電も同基本計画で電源構成の割合が、2030年度目標20〜22%に変わった。世界では、原発を脱炭素電源とみる国もあるが、日本では福島事故の印象が強く、原発計画は棚上げのまま。
《ネット・メディア》
 テレワークの浸透やEC(電子商取引)の利用増加など、社会のデジタル化を一気に加速させた新型コロナウイルスの流行。2022年は、ウィズ・アフターコロナへ向けてさらにネット・メディア関連業界が変化するだろう。
 ECを手掛けるネット企業は、巣ごもり需要を追い風に売上を着実に伸ばしている。YAHOOやZOZOを傘下に持つZホールディングス(ZHD)の2021年7〜9月期物販系売上高は、約6860億円で、すでにコロナの影響が出始めていた前年同期比で14%上回った。楽天市場も同様に売上を伸ばしている。コロナが収束するとEC需要がどのように変化するかだが、野村総合研究所では、今後もEC市場の拡大が続くとみており、買い物はできるだけネットで済ませるなど、定着した新ライフスタイルが元に戻る可能性は低いとしている。
 前述のZHDは2021年7月、フードデリバリーを手掛ける出前館を活用し、傘下のアスクルが販売する日用品や食料品を最短15分で配達する実験を始めた。10月には渋谷区の一部でも開始。首都圏を中心にサービスを拡大するようだ。
《CVS》
 人の移動が減り、オフィス街やイベント時などの販売が減少した。2021年3〜8月期と2019年同期の全店舗日販を比較すると、セブンイレブンジャパンは1.4減、ファミリーマートは6.1減、ローソンは7.1減。
 9月以降も前年と横ばいか緩やかな回復程度にとどまった。セブン&アイホールディングスの井阪隆一社長は「コロナの影響が戻りきらない。回復には時間がかかる」と今後を予測している。
 CVS大手が2022年に進める対策が住宅立地店舗の強化。セブンイレブンジャパンは、品揃え拡大の一環で100円均一ショップの大創産業とコラボし、ダイソー専門の売り場を設けた店舗を展開し始めた。2021年8月末時点で76店舗を展開しており、2022年も増やす予定。ローソンは、配達需要の高まりを受けて「ウーバーイーツ」などのデリバリーサービスを導入する店舗を拡大していく。ファミリーマートは、無人決済店舗で小商圏の立地や過疎地への出店を進めそう。2021年11月までに4店舗の無人決済店舗を開業済み。人が担う作業が少ない形態であれば、これまでのCVSでは難しかった立地でも採算が合う可能性があるという。

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