第13回辻静雄食文化賞受賞作・受賞者決定

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 公益財団法人辻静雄食文化財団が主催する「第13回辻静雄食文化賞」の受賞作品・受賞者が決定した。

 同文化賞は、食分野の教育と研究に生涯を捧げた辻調グループの創設者辻静雄の志を受け継ぎ、2010年に創設され、我が国の食文化の幅広い領域に注目し、よりよい「食」を目指して目覚しい活躍をし、新しい世界を築き上げた作品、もしくは個人・団体の活動を対象に選考し賞を贈るもの。また、特別部門として専門技術者賞を設け、調理や製菓等の現場で活躍する技術者を顕彰している。なお、贈賞式は7月の開催を予定している。

《第13回辻静雄食文化賞》今回は2作品が受賞。
中国料理の世界史―美食のナショナリズムをこえて
岩間一弘/著、慶應義塾大学出版会/刊
◇贈賞理由:中国と世界の様々な場所を大きな視点でとらえ、近現代の中国における料理の変化とその世界的広まりを一望した野心的大作で類書がない。中国語・英語・韓国語の近年の文献にも幅広く目配りしており、今後のこの分野の研究の進展への期待を抱かせる。
◇作品について:近現代の政治、経済、社会のうねりが中国の料理をいかに変化させたか、また国と国や地域の関係とそれに伴う人の移動を通して、中国料理がいかに世界に広まっていったかを総合的に叙述した作品。扱う地域は、シンガポール・マレーシア・ベトナム・韓国・インド・日本などアジア各国から、アメリカ・イギリス・フランスなど欧米各国、ペルー・ブラジルなど南米、オーストラリアまで広範囲に及ぶ。

全集伝え継ぐ日本の家庭料理(全16巻)
一般社団法人日本調理科学会/企画・編集、農山漁村文化協会/刊
◇贈賞理由:このまま誰も記録しなければ失われてしまうものを残そうという、強い使命感に支えられた大変貴重な仕事。地方まで画一化が進む今日、食に見られる多様性を読者に訴えかけ、それを大切にしたいと感じさせる力を持つ質の高い本づくりも評価した。
◇作品について:「100年先もふるさとの味が残ってほしい」という思いから2012年以降、日本調理科学会は家庭料理の全国的聞き書き調査を実施してきた。その研究成果の中から、1960〜1970年代までに地域に定着していた家庭料理で、次世代にも作ってほしいと思う約1900品を選んだ。それらを「すし」「野菜のおかず」「行事食」など16のテーマに分け、実際に再現可能なレシピで収録した。

《第13回辻静雄食文化賞専門技術者賞》
リオネル・ベカ(Lionel Beccat)
「エスキス」エグゼクティブシェフ
◇贈賞理由:異なる文化の中に身を置いて、様々な食材や技法、人々と出会い、学び続けることを通して触発された思索と、高度な技術が生んだその優しい料理は食べる人の心に響く。文化としてのガストロノミーの現代的洗練を体現するその仕事を高く評価した。
エスキス:https://www.esquissetokyo.com/
〒104-0061東京都中央区銀座5-4-6ロイヤルクリスタル銀座9F

 選考委員会は次のとおり(敬称略)。
▽委員長=石毛直道(国立民族学博物館名誉教授、文化人類学者)
▽委員=鹿島茂(フランス文学者)/湯山玲子(著述家、プロデューサー)/福岡伸一(青山学院大学教授、分子生物学者)/辻芳樹(辻調グループ代表、辻調理師専門学校校長)/八木尚子(辻静雄料理教育研究所副所長)

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全集伝え継ぐ日本の家庭料理

リオネル・ベカ氏