 入賞者と審査員
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 量販製品部門大賞作品
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 オールスクラッチ製品部門大賞作品
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カリフォルニア・レーズン協会(ジェフリー・マクニール駐日代表)は6月9・10日の2日間、アメリカ大使館農産物貿易事務所後援、一般社団法人日本パン工業会・全日本パン協同組合連合会協賛の下、東京都江戸川区の日本パン技術研究所で「第31回カリフォルニア・レーズンベーカリー新製品開発コンテスト」の最終審査を開催、大賞2人を含む合計11人の入賞者を決定。審査終了後には、江東区のホテルイースト21東京で表彰式を執り行った。
同コンテストは、カリフォルニア・レーズンを使った新製品の開発とその商品化を目的に、製パンに携わる全ての技術者を対象に同協会が実施しており、今回で31回目となった。今回は「量販製品部門(工場生産し完全包装で販売する作品とベイクオフ・QBD製法で生産し販売するパン)」と「オールスクラッチ製品部門(店舗や工場でのオールスクラッチ製法で生産し販売するパン)」、今回新設された「育成機関部門(オールスクラッチ製法の作品)」の計3部門で作品を募集。全国から合計152作品の応募があり、第一次書類審査(5月10日/ベルサール飯田橋駅前)で選出された「量販製品部門」「オールスクラッチ製品部門」のファイナリスト21人が最終審査に臨んだ。
ファイナリストたちは、2日間に亘る計7時間以内に作品を製作し、作品の製作意図や特長などのプレゼンテーションを行った。その後、質疑応答と試食審査が行われた。審査は、マクニール駐日代表が審査員長を務め、製パン技術関係者6人が、レーズンの使い方・活かし方、味のバランス、見た目、市場性、製品開発力を総合的に評価した。なお、育成機関部門は、作品制作およびプレゼンテーションによる審査は行わず、レシピと作品提出による実物試食審査のみを行った。
審査の結果、量販製品部門で敷島製パンM長谷川美里氏の「フロマージュレーズンショコラ」、オールスクラッチ製品部門でKamo bakery傍島加織氏の「色彩レーズン〜バニラの香りと共に〜」がカリフォルニア・レーズン大賞に輝いた。育成機関部門では、専修学校日本菓子専門学校久住清剛氏の「ベルクルーブ レザン」が優秀賞を受賞した。大賞2人を含む11人の入賞者には楯が授与され、副賞として、量販製品部門とオールスクラッチ製品部門の10人にはカリフォルニア・レーズンの故郷「カリフォルニア州フレズノへの研修旅行」(2023年実施予定)、育成機関部門の1人には賞金15万円のギフト券が贈られた。量販製品部門とオールスクラッチ製品部門の受賞作品は、これから続々と発売開始される予定。
入賞者は次のとおり(敬称略)。
《量販製品部門》
▽金賞=太田雅人(タワーベーカリーM)「オレンジ香るショコラレザン」
▽特別賞=中山珠洲(敷島製パンM)「レーズンぎゅうっと モーモー食パン」
《オールスクラッチ製品部門》
▽金賞=宮_義仁(スカイプロバンス ベーカリー&カフェ)「よしひとラムレーズン&バターのブリオッシュフーガス〜プレッツェルザルツとチェダーを添えて〜」、永田輝(MOROPAIN)「レーズンの宝箱〜スパイスをつめ込んで〜」
▽特別賞=早川さくら(ヒルトン東京)「イスパハン・レザン〜スモーキーな香りを纏わせて〜」、小林優太(Mドンク)「抹茶ショコラレザン」、伊藤博文(P六曜舎)「Couronne raisin〜ぶどうの恵み〜」、(ホテルグランヴィア京都)「Sigmoid of Raisins」
審査員は、第一次書類審査:高江直樹氏(東京製菓学校)、伊藤快幸氏(辻製菓専門学校)、渡邉睦氏(ベーカリーコンサルタント)、山_豊氏(同)、山本剛史(日本パン技術研究所)、佐藤淳氏(同)/最終審査:ジェフリー・マクニール氏(審査委員長)、伊藤常至氏(東京製菓学校)、川瀬幸司氏(服部栄養専門学校)、目黒誠一氏(ベーカリーコンサルタント)、後藤一宏氏(名古屋ユマニテク調理製菓専門学校)、西村一雄氏(ベーカリーコンサルタント)、高家正史(全国パン専門新聞協会代表)。
表彰式の開催に先立ち、主催者を代表してマクニール駐日代表が次のように挨拶した。
カリフォルニア・レーズンベーカリー新製品開発コンテストは、今年で開始してから31年目を迎えた。この間、5000件を超えるレシピの応募があった。当コンテストの入賞者には、クープ・デュ・モンドやibaCupといった世界的なベーカリーコンテストに日本代表で出場する人もおり、大変嬉しく思う。今日この場にいる人々も、今後そのようなチャンスが得られることを願っている。今年の最終審査に勝ち残った作品は、優れたものばかりで、日本全国から参加されたファイナリストの独創性と高い技術が反映されていると感じた。審査員の一人として、ファイナリストには自身の才能をぜひ誇りに思ってもらいたい。全ての作品を試食審査することができ光栄。今後益々技術を磨かれることを期待している。
審査員の伊藤常至氏は次のように最終審査の総評を述べた。
このコンテストで難しいと感じることは、コンテストでありながら、最終的に職場で商品として販売しなくてはならないこと。顧客にカリフォルニア・レーズンの美味しさをより知ってもらうため、手に取ってもらうための工夫がたくさん盛り込まれていた。和素材を使ったものや地元食材を使ったもの、アレルギー対策やSDGsを意識したものなど、時代を反映し、趣向を凝らした作品を多く見ることができた。技術はもちろん、作業性やロスなく仕上げる工程、作品のアピールポイントと味わいの整合性などが、審査のポイントになったように思う。今後、このコンテストが10年20年と続くためにも、パンに関わるひとりひとりが、少しずつ努力を重ねて業界を発展させることが必要だと思っている。皆さんのような前向きな人たちが業界を引っ張り、よりレベルの高いコンテストにすることが必要だと考える。
【大賞受賞作品】
◇量販製品部門「フロマージュレーズンショコラ」
レーズンにチーズクリームとビターなチョコを合わせて、甘味、苦味、酸味の三位一体をバランスよく仕上げた。後味にチョコの余韻とレーズンの甘酸っぱさが楽しめるデザートのようなデニッシュ。生地にチップ状マーガリンを練り込み、さらに油脂を折り込みさっくりした食感を出した。また、発酵風味液を加え旨味を付与し、3日目も美味しく食べられるようにした。白と黒のコントラストを出すことでレーズンの存在感を引き立たせた。
◇オールスクラッチ製品部門「色彩レーズン〜バニラの香りと共に〜」
彩り豊かにレーズンのパンを楽しんでもらえる色彩レーズン。主役であるレーズンを引き立てられるようなバランスで配合した。カリフォルニア・レーズンをラム酒とバニラペーストに漬け込み、レーズンのジューシーさと甘さを閉じ込めた。歯切れの良い食感のパンにピスタチオを練り込み、圧倒的なレーズンの存在感を楽しんでもらいたく、レーズンの存在がより引き立つよう酸味のあるパイナップルとアプリコットを合わせ、ふわっと香るバニラでバランスを取った。お客様に「どんな味がするのだろう」とワクワクしてもらえるような、目でも楽しい、食べても美味しい、レーズンのおいしさを伝えられるようなパンを考案した。
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